人気コミックを染谷将太主演で実写映画化、2016年に2部作として公開され大ヒットを記録した「寄生獣」が、9月から中国全土で公開。映画.comスタッフが中国第2の大都市・上海で、特別編集された中国バージョンの「寄生獣」を見てきました!

 中国の映画産業は2017年にはハリウッドを追い抜くと言われるほど、目覚ましい発展を見せており、全土にシネコンが次々と新設されています。上海だけで約160館を擁し、「寄生獣」も上海のほぼすべてのスクリーンで公開。中国全土では約7000スクリーン(中国全土の総スクリーン数は約3万)での公開と、やはり、広い国土と人口を持つ国はスケールが違います。

 中国では年間に公開できる外国映画の数が25〜30本と決められており、2012年からは政治的理由で日本映画の公開はストップしていましたが、2015年に公開された「STAND BY ME ドラえもん」が5億3570万元(約90億950万円)という日本映画の興行成績記録を塗り替える大ヒット。今年は「BORUTO NARUTO THE MOVIE」「聖闘士星矢 Legend of Sanctuary」「ビリギャル」がすでに封切られ、「映画ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年」が現在公開中。今後「ONE PIECE FILM GOLD」や日本で大ヒット中の「君の名は。」も公開予定です。

 「寄生獣」公開中に上海を訪れた筆者は、「映画.com」のように上映劇場や作品情報をチェックできるサイト「豆瓣電影」で劇場検索し、上海最大の繁華街、南京路近くにある老舗の「和平影都」へ。アメリカのチョコレート、ハーシーズのカフェが入っており、ブロードウェイ調の電飾が施された、米国風デザインの外観です。ロスのチャイニーズシアターの逆パターンですね。

 上海のいくつもの映画館で、染谷将太とミギーのポスターや予告編が流れているのを見かけましたが、この劇場ではなぜかポスターの貼り出しがなく、一抹の不安を覚えながらもチケット売り場へ。漢字が読めるわれわれ日本人は、指さしで何とかなります。中国のほとんどの劇場は時間帯でチケットの値段が変わるシステムをとっており、日曜の午前中で65元(約1000円)。午後から夕方にかけてはもう少し高い値段で売られています。ハリウッド作では「スター・トレック BEYOND」「ジェイソン・ボーン」などが公開中でした。

 筆者が見た回は、103席の中規模スクリーンで観客は4分の1程度。東京よりも人口に対して劇場数が多く、どの劇場でもほぼ同じ作品がかかっていることもあって、客入りは分散している印象です。この日の客層は、カップルや友人同士などほぼ10〜20代の若者。上映前には高級車や温泉付きマンション、クルーザー、韓国コスメのCMが流れ、経済的に豊かな生活への憧れを喚起するような映像が流れます。日本のように鑑賞マナーを求める広告はなく、客席では上映中もスマホを操作したりと自由な感じでした。

 日本では「寄生獣」「寄生獣 完結編」と2部作でPG12指定、計226分の大作でしたが、中国バージョンはレイティングなしの125分。日本語上映で、中国語字幕が付いており、ミギーは「小右」(シャオミー、かわいい右ちゃんの意)との表記。セクシャルなシーンやセリフ、前編では余貴美子演じる母親とのいさかいや、深津絵里扮する田宮良子の妊娠の詳細などがかなりカットされていました。物語の序盤、最初に犠牲になるのが中華料理店店主だったので、怒って席を立つ人がいないか内心ヒヤヒヤしていましたが、杞憂に終わりました。新一に寄生したミギーが何か話すたびに笑いが上がり、上海の若者たちに大ウケでした!

 「人民網日本語版」によると、公開6日間で3999万元(約6億2000万円)の興行収入を打ち出し、中国で上映された日本の実写映画のトップに躍り出たと報じています。「豆瓣電影」のレビューでは、5万5000人が評価し、10ポイント中7.4と好得点。中国人の日本映画への関心の深さが伺える結果が出ており、今後も日本のヒット作が中国で受け入れられることが楽しみです。