日本映画界を代表するオールスターキャストが結集し、吉田修一氏の小説を実写映画化した「怒り」が10月7日(現地時間)、韓国で開催中の第21回釜山国際映画祭のガラ・プレゼンテーション部門で公式上映された。主演の渡辺謙とメガホンをとった李相日監督が、ドンソ大学コンベンションホールでの公式会見に臨んだ。

 台風18号により海雲台ビーチの特設ステージが破壊されるなど、被害は甚大だったがスタッフや市民が徹夜で復旧作業を行い、開催にこぎつけた釜山国際映画祭。3度目の参加となった渡辺は、韓国語で「困難な状況のなかで、今年も再びこの映画祭が開催されたことをとても嬉しく、映画人として誇りに思います。そして、この映画を釜山に持ってこられて幸せです」と万感の思いを口にした。

 メイン会場である釜山シネマセンターでのトークショーでは、約500人の観客が大歓声をもって2人を出迎えた。渡辺とタッグを組んだ「許されざる者」でも釜山の地を踏んだ李監督は、「釜山に戻ってきました。この度、渡辺謙さんと一緒に釜山に来ることができ、嬉しく思います」としみじみ明かし、「心の底から応援している映画祭なので、この作品で釜山に来ることができ、本当に光栄です」とニッコリ。渡辺も「釜山、チェゴ(最高)! 台風が来ていて心配でしたけど、実行委員会の方々が徹夜で復旧作業をされ、映画祭を続けていくんだという強い気持ちを感じ、胸が熱くなりました」と快哉を叫んだ。

 今作はこれまで、カナダ・トロント国際映画祭とスペインのサン・セバスチャン国際映画祭にも招待されており、渡辺と李監督はいずれも現地入り。3カ所への総移動距離は約5万5367キロで、地球1周を超える道のりを旅した。渡辺は「映画祭に参加して、僕らが作った思いみたいなものをきちんと伝えに行くということに、大きな意味があると強く感じました」と語り、充実の様子で「映画が届く経緯を見ることが出来たことは、次に作品へ向かうモチベーションになりました」と感想を述べた。

 「怒り」は、森山未來松山ケンイチ、綾野剛、広瀬すず、宮崎あおい、妻夫木聡らが共演。「怒」という血文字が残された未解決殺人事件から1年後、千葉、東京、沖縄に犯人と似た男が現れ、関わる人々の“信じる心”を変化させていくさまを描いた。日本公開から19日間で累計観客動員91万人、興行収入11億6000万円を記録している。