男性女性問わず、いま京都で着物を「日常使い」する人が若者を中心に増えている。ちょっとだけおめかしをしたいとき、「よそ行き」の日の格好として着物を選ぶというのが静かにブームとなりつつあるのだ。

着物は「正装」から「ちょっとよそいき」の存在に。

これまで着物といえば結婚式に参列する日や年末年始、かしこまった行事の日など、あくまでも正装としての存在であることが多かった。しかし最近、レストランに行く、ちょっと気合いを入れる、少しおしゃれをしたい、などのかしこまりすぎないノリで着物をひとつの選択肢として選ぶファッショントレンドが、京都の若手を筆頭に始まっている。彼らはしごく軽やかに、普段着の延長として、着物を着こなす。彼らに着物を愛用する理由を聞いてみた。

着物は「気持ちが引き締まる」

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祇園にあるスナック「ぎをんせくめと」に集うのは京都の伝統工芸界の新世代を担うクリエイティブユニット「GO ON」の面々。

金網つじ 2代目である辻 徹さんは改まった席などでスーツの代わりとして着物を着ることが多いという。「着ることで背筋が伸び、姿勢が正しくなることも着物を着るよさ」だと語る。開化堂 6代目、八木隆裕さんは「着ると気持ちが引き締まりますし、お腹を隠せるところもいいですね(笑)」

着物で「個性を発揮」

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着物は表現手段としても優秀なアイテムだ。季節によって小物の組み合わせをいろいろ楽しめるところが着物の愉しさだと話すのは写真家・アーティストの八木夕菜さん。高品質紅茶やハーブティーを通じて、人とのつながりや文化を広めるサロン「ITO salon de the」を主催する各務香織さんは「お祝いの気持ちや、季節を感じてもらうなど、相手の心へ寄り添うことを表現できるところ」を着物のいいところとして挙げる。

「ものづくりの素晴らしさ」を感じて

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「着物の文化的背景に惹かれています。ものづくりとして素晴らしいですよね」とは京都伝統産業ふれあい館 筒井昭彦さん。洋服のブランド「RAINMAKER」のデザイナー、渡部宏一さんは食事会やイベントなどで着るという。「着物の技術の奥深さには頭が下がる思いです。着るたびに、身が引き締まります」。

着物は「愉しい」

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「着物家」として、着物の愉しさを伝える活動を展開している伊藤仁美さんは「祖母のお着物を着た時、似合うと褒めてもらったのを真に受けて(笑)」着始めたのをきっかけに、長年つきあってきたコンプレックスも克服したという。自分に似合うものを身に着けると、気持ちも安定し、自信につながる。日本人の原点として、着物はどこかで私たちにつながっているのかもしれない。

登場した方々はそれぞれ自分らしいファッションとして、着物を洋服と同列に選んでいる。気負わずさらりと着物を着られることがライフスタイルのキホンとして広まっていくのも、どうやら遠い話ではないようだ。

(ヨシザワ)