非常時でも野菜をおいしく食べるには…

備蓄している災害食では「野菜」を補えない――。そう指摘するのは、災害時に活用できるレシピ本などを執筆している今泉マユ子さん。

4月の熊本地震、5年前の東日本大震災でも、避難所で配られる食事はおにぎりや菓子パンを中心とする炭水化物がほとんどでした。たんぱく質やビタミン、ミネラルが不足し、体調不良をうったえる方が多かったそうです。

ただでさえ野菜が不足しがちな現代。非常時となればなおさらです。発災後、3日、1週間と経つうちに、野菜や果物への欲求が高まるといわれています。みなさんも、自宅や職場の備蓄を考えてみてください。水やカンパン、パンの缶詰はあっても、野菜をはじめとするおかず系はほとんど無いのではないでしょうか。

では実際には、何を備蓄して、それをどう生かせばよいのでしょうか。今泉さんに、非常時でも効率よく野菜を食べられるレシピを教えていただきました。簡単なのはもちろん、これがとってもおいしいんです! あわせて、野菜を備蓄するコツもご紹介します。

非常時に野菜をとるためのポリ袋レシピ、今泉マユ子さん
自治体の備蓄についても詳しい、今泉さん 野菜も含むところは少なく自分で蓄える必要があるといいます

◆ポリ袋レシピのメリット
ポリ袋レシピとは、ポリ袋に材料を入れて混ぜてつくるレシピのこと。簡単でお手軽だし、洗い物を減らせたり、味がしみこみやすくなったり、といったメリットも。忙しい人を助けるライフハックとしても人気を集めています。

非常時には、この方法がとっても役立ちます。材料を工夫すれば包丁もまな板も使わずにすみ、袋ごと器にかければお皿も要りません。

◆おいしいレシピたち
それでは、今泉さんが考案した、非常時に役立つおいしい野菜レシピをご紹介します。普段の食事にも生かせるので、気になったものがあれば作ってみて。

【コンビーフコレイチごはん】

材料(2人分):無洗米160g(1カップ)、野菜ジュース200ml(足りない場合は水を足す)、コンビーフ缶(1缶)、黒こしょう(好みで)

作り方:

(1)ポリ袋に全材料を入れて混ぜる。それを水の中に沈めて空気を抜き、口をねじりあげ、固く結ぶ。そのまま30分ほど置いて浸水させる。

(2)水を張った鍋に(1)を入れフタをしたら火をつけ、沸騰したら中火にして20分。火を止め、フタをしたまま10分間蒸らす。

非常時に野菜をとるためのポリ袋レシピ「コンビーフコレイチごはん」
炒めなくてもつくれます

ケチャップご飯のような一品。コンビーフの塩気がご飯とよくあっています。子どもはもちろん、「お肉が食べられるのは嬉しい」とお年寄りも喜ぶメニューだそうです。

ところで、ポリ袋を加熱するときに、破れてしまったら…と心配になりませんか? 鍋と直に接する底の部分はどうしても熱くなりやすいのです。そこで、鍋底に皿を1枚沈めておきましょう。そのうえでポリ袋を2重にするのも有効だそうです。

非常時に野菜をとるためのポリ袋レシピ、加熱するときのコツ
お皿を敷いてクッションに

とはいえ、火が使えるとは限らないし、水が無いかもしれません。そんなときでも活用できるのが、火も水も使わず混ぜるだけでつくれるレシピ。

例えば、「イタリアン切り干し大根」。切り干し大根(30g)、鶏ささみ缶(1缶)、トマトジュース(100cc)、おろしにんにく、オリーブ油を袋に入れて、混ぜるだけで出来上がります。

「ドライカレー」も混ぜるだけでOK。大豆のお肉のミートソース(1缶)、ミックスビーンズドライパック(1缶)、カレー粉(小さじ1)と、材料もシンプルです。温めなくてもおいしいし、普段の食事のときには、トルティーヤとあわせたり、レタスなどで包んで食べてもおいしいそうです。

◆かしこい野菜の備蓄方法
「阪神淡路大震災から21年が経ちました、東日本大震災から5年が経ちました、ではなくて、震災が来る前だと思っていただきたいんです」と今泉さんは訴えます。

では具体的に、何を備蓄すればよいのでしょう。野菜だと、野菜ジュースやトマトジュース、惣菜缶などがあげられます。しかし、味付け済みの惣菜缶は好き嫌いが分かれるので、ドライパックの豆やコーン、ひじきといった、素材缶(味がついていないもの)がおすすめだそう。ほかにも、レトルトのスープ、ピクルスやらっきょうなどの酢の物などなど、意外と多くの選択肢があります。

これらを、「ローリングストック」のサイクルに組み込んでおくとマル。普段食べるものを少し多めに購入して、定期的に食べながら備蓄する方法です。

例えば、棚の左から順に古いものを置きます。左側の食品を食べたら、右側に新しい(期限が先の)食品を足していくようにすると、常に期限の近いものが棚に残ります。

これだと、普段食べているものをちょっと多めに買うだけでよく、わざわざ非常用のものを用意する必要はありません。バリエーションがぐっと広がるし、賞味期限が1年程度あればよいので自分の好きなものを置いておけます。

非常時に野菜をとるためのポリ袋レシピ、カゴメ「野菜の保存食セット」
第1回日本災害食大賞で入賞した、カゴメ「野菜の保存食セット」 このように野菜に特化したものも登場しています

月に1度「食べる日」を決め、「棚の食品と非常用設備(カセットコンロなど)だけで調理してみる」というふうに取り組めば、非常時のための立派な訓練になります。でも、堅苦しく考える必要はありません。以前、えん食べで掲載した「ごちぼうレシピ」も参考にしながら、楽しくつくって楽しく食べてみてください。