演出・プロデューサーとして『水曜日のダウンタウン』や『芸人キャノンボール』、10月からは『クイズ☆スター名鑑』を手がけ、TBSバラエティに悪意と下世話をお届けしている藤井健太郎さん。

現在、3万部を突破し話題の著書『悪意とこだわりの演出術』を上梓した藤井さんに、各番組の裏話や、自身のルーツとなるテレビ番組などについてお話を聞きました!


『クイズ☆スター名鑑』と『水曜日のダウンタウン』


──この10月から『クイズ☆スター名鑑』が始まります。放送枠の日曜19時台は『ザ!鉄腕!DASH!!』(日テレ)や『モヤモヤさまぁ〜ず2』(テレ東)をはじめ、新番組の『日曜アメトーーク』(テレ朝)『フルタチさん』(フジ)が揃う激戦区になりましたね。

藤井 別に僕がこの枠でやりたいと言ったわけではないんで……(笑) 勝手に周りがそうなったってだけなので。

──前身の『クイズ☆タレント名鑑』から4年半が経っていますが、なぜいま復活することになったのでしょう?

藤井 いま担当している『水曜日のダウンタウン』の他にもう1本という話があり、もう1本……と考えたときに、『水曜日のダウンタウン』はVTR中心の番組なので、それならスタジオをメインにしたものをやろうと。なにか自分の中に面白い考えがあったときに、これはこっち、これはあっちと分けれるほうがいいなと思って。スタジオメインだったら『タレント名鑑』でいいんじゃないか、というのが発端ですね。

──演者のカラーも大きく異なる2番組になりますね。

藤井 『タレント名鑑』チーム(ロンブー、有吉弘行、FUJIWARA、おぎやはぎ)は、気心が知れた人たちで、仲間って感じでやってるじゃないですか。逆に『水曜日のダウンタウン』については、VTRや番組の中身でダウンタウンと良い意味で向かい合っているという感覚があります。ダウンタウンさんとは『リンカーン』で初めてに一緒になったんですけど、浜田さんに段取りを説明するときとか最初は怖かったですね……。おかげで他の人では全然緊張しなくなりました。

──それでも結構ダウンタウンをいじってますよね。「結果発表」とか……
(※「結果発表のコールが日本一上手いの浜田雅功説」を検証。「浜田雅功の結果発表でカラス撃退できる説」などシリーズ化)

藤井 よくやらせてくれますよね。やっといてなんですけど、大丈夫かなって(笑)

──あれから『キングオブコント』の結果発表とか、「言うぞ言うぞ」って意識して見ちゃいます。

藤井 「言ったー!」って思いますよね。いらぬ目線を与えてしまいましたけど……まぁ、新しい楽しみも与えているとも言えるんじゃないですか(笑)


『芸人キャノンボール』は「1年後」


──この夏には『芸人キャノンボール2016 in Summer』もありました。元旦に『芸人キャノンボール2016』の放送が終わったとき、また次もやろうという話はあったんですか?

藤井 元旦の放送終了後は特に話はなかったですね。僕はなんとなく次があるなら翌年の正月かと思いつつ、視聴率も良くなかったんでどうするんだろうなぁてボンヤリ考えてたんです。そうしたら編成から「夏もやりたいんだけど」と声がかかって。ありがたい話なんですけど、夏やるなら次はさすがに正月にはできないですよ、って話はしました。

──それはなぜ……?

藤井 しょっちゅうやるようなことでもないというか……。基本構造は変わらないから、どうしても飽きていくじゃないですか。多くて年1だろうなって。正月と夏の2回やった以上は、次はあるとしても1年後の夏じゃないかと思っています。

──『芸人キャノンボール』は元ネタ(テレクラキャノンボール)へのオマージュの意味もあるのか、テロップやCM煽りなどのバラエティ演出を極力抑えた形で編集されてると感じました。

藤井 元ネタありきなのもありますが、なんかガチャガチャしたくないなって気持ちがありました。スカウトブロックはドキュメンタリー的に見せて、ステージブロックではテロップや音もつけてバラエティ的に、と切り替わりがあったほうが面白いなと思ったので、大半はあえてシンプルにしてますね。
『芸人キャノンボール』は3時間のストーリーでもあるので、1本のドラマや映画になるよう意識もして流れを作りました。4チームそれぞれのディレクターとチームごとにパーツを作ってから僕がまとめて編集していったので、ディレクターやスタッフは自分の担当チーム以外で何があったか詳しく知らないんですよ。オンエアを見て初めて知るという。それも面白いですよね。

──オンエアで気になったのが、出川さんが裸になったカットが何の説明もなくあったんですけど……。

藤井 あれは有吉さんに脱がされるくだりがあったんです。「パンツがてんとう虫柄だ」とか面白いのもあったんですけど、尺には入らなくて(笑) ただ、カットするにも「カットしたぞ」ってわかる編集のほうが面白いかなと。違和感を出して、視聴者に「なにがあったんだよ」と各自でつっこんで頂くパターンですね。


作り手を意識したのは『電波少年』から


──『悪意とこだわりの演出術』には、元々お笑いファンだったわけではなく、テレビっ子だったとありました。どんな番組を見て育ちましたか?

藤井 『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』(日テレ)も好きで見てましたけど、作り手を意識したのは『進め!電波少年』(日テレ)だと思います。松村邦洋&松本明子という出演者はやらされる側で、面白いことを考えて二人にやらせているのは裏にいる人達なんだな、っていうのがわかる作りだったじゃないですか。「面白い企画を考えている人たちが裏にいる」というのを意識したのが『電波少年』ですね。

──1980年生まれですから、ウンナン・ダウンタウン直撃世代でもありますよね。

藤井 ダウンタウンですね。面白さでいったら『ごっつええ感じ』(フジ)が一番だと今でも思っています。

──そのダウンタウンには『水曜日のダウンタウン』で「VTRに悪意がある」とよく笑われてますが、その「悪意」はやはりダウンタウンの影響があるんでしょうか?

藤井 多少はあるんでしょうね。別に意識して悪意を出しているわけじゃなくて、好きなものを作ったら結果として「悪意」と言われるだけなんですが……。やっぱり好きなのは、全員がハッピーな笑いというより、ある人はちょっと傷つくかもしれないけど、ある人には深く刺さるようなやつ。当時で言えばダウンタウンのあの感じなんだと思います。

(後編に続く)

藤井健太郎。1980年生まれ、東京都出身。立教大学卒業後、2003年にTBSに入社。『リンカーン』『ひみつの嵐ちゃん!』などの人気番組のディレクターを経て、『クイズ☆タレント名鑑』『テベ・コンヒーロ』等を演出・プロデュース。現在は『水曜日のダウンタウン』の演出を務め、2016年10月からは『クイズ☆スター名鑑』も手掛ける。趣味は音楽と格闘技。著書に『悪意とこだわりの演出術』

(井上マサキ)