伊達「『っぽさ』ってね、自分が思っている以上に他の人から教えてもらうほうが正確なんですよ」
富澤「客観的な見方で自分たちを見るということ」

自分たちが思っている「自分たちっぽさ」と、他人から見た「自分たちっぽさ」は違う。
そして正しいのは、他人から見た「自分たちっぽさ」のほう。主観と客観にはズレがある。

若手芸人のサバイバル成長期『笑けずり シーズン2〜コント編〜』(NHK BSプレミアム 金曜22時)の第3回。今回の講師・サンドウィッチマンの授業テーマは「っぽさ」だった。


唯一無二の存在になるために


「っぽさ」とは言い換えれば「自分たちならではの際立った個性」のこと。他の誰でもない「自分たちっぽさ」をネタで表現し、唯一無二の存在になれとサンドウィッチマンは説く。

講義ではサンドウィッチマンのコント「ハンバーガーショップ」のVTRと台本をお手本に、「サンドウィッチマンっぽさ」がどう盛り込まれているかを説明。そのあとに、「っぽさ」が本当に伝わっているか確かめるワークショップが行われた。そのステップは3段階ある。

1.「自分たちっぽさ」を話し合って考える(時間5分)
2.「っぽさ」を取り入れた1分コントを作る。設定は「警察の取り調べ」
3.作ったコントを披露し、他の人に「っぽさ」を聞く

全員同じ設定のコントを作ることで、芸人たちの「っぽさ」を際立たせる。
さらに他人に「この人たちっぽさって何?」と聞くことで、自分たちが思う「っぽさ」とのズレを確かめる。
思った通りの「っぽさ」が伝わっているコンビもいれば、新たな「っぽさ」に気付かされるコンビもいた。

例えば、「ヘラヘラした二人」が「っぽさ」だと思っていたマンマーレは、「演技がうまい」という全く違う「っぽさ」を指摘された。意外なことに驚きながら「朝の連ドラとか……」とコメントし、富澤に「調子に乗んなよお前!(笑)」と叱られたりするも、部屋に戻ってから「他に言うことなかったからじゃないですかね……」とまだ半信半疑の様子でいる。

ここで冒頭の伊達の言葉に戻る。
「っぽさ」は他の人から教えてもらうほうが正確。自分の思う「っぽさ」を表現しても、他人に別の「っぽさ」が映っているのなら、伝わるものも伝わらない。自分を客観的に見ることができないと、他の誰かっぽくなっていることも気づかなくなってしまう。

これはお笑いに限らず、ダンサーや漫画家、ライターなど、全ての表現者に言えること。唯一無二の存在になるためには、客観的な視点を手に入れ、主観と客観のズレを修正せねばならぬのだ。

自分の気持ち悪さに渋々向き合う


サンドウィッチマンからの課題は「自分たち『っぽさ』を生かした3分の新作コント」。ただし、ワークショップと同様に設定は統一され「先生と生徒」とする。先生と生徒の関係なら、部活動でもいいし自動車学校でもいい。ネタ作りの期間は3日間。

大きな変更を迫られたのが、女性コンビのオダウエダ。これまでのネタは、インパクトある見た目の植田が終盤に登場し、予期せぬオチへ向かうものだった。しかしサンドウィッチマンは「みんな植田を見るよ」と、植田を強調すべきと指摘する。

オダウエダは、植田が序盤から登場するネタを作ろうとするが、2人の掛け合いがうまく作れない。これまでネタ中に会話をする場面がなかったこともあり、どうしても不自然になってしまう。今までにないアプローチにネタ作りは苦戦する。

同じく苦戦したのはマンマーレ。演技力を高く評価されたものの、自分たちには実感が無い。実感が無いので改めて「演技力を全面に出したネタ」と言われてもピンと来ない。いつものネタと何を変えればいいのか?どこを押し出したらいいのか?

対象的だったのは男性ブランコ。「冴えない二人」のつもりだったのに、指摘されたのは「平井の気持ち悪さ」。自分の気持ち悪さに納得がいかない平井だが、過去によしもとブサイクランキング21位にランクインした事実と渋々向き合い、自分が気持ち悪くなるネタを自分で作っていく。

ネタ作り期間が終わり、オダウエダは掛け合いをなんとか完成させた。一方、マンマーレは迷走した挙句に動きをメインにしたネタを作ってしまう。客観的に指摘された事実を受け入れられるか。受け入れたとして、新しいネタを作る技量があるかが試される課題だったと言えるだろう。

「なんでピンク着ねぇんだよ」


運命のネタ見せ。審査員はサンドウィッチマンに加え、TKO木下が参加。7組が順番にネタを披露する。結果、けずられたのはさくらエビだった。

ワークショップでは、さくらエビ「っぽさ」は「桃次郎のキャラクター」で自他共に一致していた。桃次郎が着るピンクの衣装も褒められたのに、なぜか審査では新たな衣装で勝負してしまう。衣装も重要な「っぽさ」のひとつだったのだ。退去後の2人に届けられた、サンドウィッチマンのコメントVTRが優しい。

伊達「今日はね〜わかってると思うけど、お前なんでピンク着ねぇんだよ」
富澤「アッハッハ(笑)」
伊達「山が無かったよね。ネタにね。俺らの言う『っぽさ』ってのを、ちょっと違う方向に捉えちゃったのかなと。これは僕らのミスでもあるんですが……今度会ったらちゃんと言うわ」
富澤「ンフフ」

今夜9月23日(金)22時からの『笑けずり シーズン2』第4回、講師はキングオブコント2014王者のシソンヌ。若手の前で生コントを披露し「リアリティー」を伝える授業。今夜も誰かが、け〜ず〜ら〜れ〜る〜。
(井上マサキ)