朝井リョウ原作のアニメ『チア男子!!』も、いよいよ本日最終回。その前に全国の『チア男子!!』ファンに衝撃を与えた先週放送の第11話「ビタースイート・バレンタイン」を振り返っておこう。お前だよ、トン!


全国チアリーディング選手権まで、あと1週間。しかし、主人公のハル(演:米内佑希)は姉・晴子(演:藤村歩)との間のしこりを解消できておらず、練習にも集中できない状態だった。男子チア部BREAKERSは16人の大所帯。大学生が16人も集まれば、それぞれ事情があって当たり前。さらに高校の部活と違って、団体の目標より個人の事情のほうが優先する場合もある。9話のカズ(演:岡本信彦)、10話の翔(演:小野友樹)もそうだった。そして今度はハル、というわけだ。まさに姉がラスボス状態である。

柔道一家の長男として生まれたものの、柔道を辞めて男子チアという新しい道を選んだハル。柔道のエリートコースを歩む晴子は、ハルが選んだ道を「逃げ」だと思い、ハル自身も晴子に対して申し訳なさを感じていた。自分の気持ちを晴子に伝えることができなかったハルだが、ついにきっかけを掴んで「ごめん!」と頭を下げる。チームメイトの鍋島兄弟(演:木島隆一、弓原健史)の兄弟ゲンカがきっかけになっているところが上手い。脚本はシリーズ構成も務める吉田玲子。

姉に黙って柔道を辞めてしまったこと、柔道を続けることに悩みを抱えていたこと、そして強さを追い求める姉にコンプレックスを抱いていたことを告白するハル。しかし、晴子はハルの気持ちを受け入れられない。

柔道一筋の晴子と大きな挫折を経験したハル。この時点で、どちらが人間的な成長を遂げているかといえば、実はハルのほうだったりする。ハルは挫折の苦渋を味わい、新しい道を歩む中で仲間たちと助け合いながら人間的に一回り大きくなっていた。挫折や失敗がすべて悪いわけではないのである。

思わせぶり女子の5箇条


ハルのもう一つの気がかり……というか、楽しみはバレンタインデーだった。ちょくちょく顔を合わせる女子チア部DREAMSの千裕(演:宇山玲加)のことが気になっていたハルだが、あろうことか千裕がハルのバイト先のカフェまでチョコケーキの作り方を教えてもらいにやってきたのだ。

バレンタインデー当日、練習前のBREAKERSのもとへチョコケーキを持ってやってきた千裕に、顔を赤らめて手を振るハル。やだなぁ、こんなところまで来ちゃって、恥ずかしいよ、でも、うれしいなぁ……と、セリフにはないが顔がそう物語っているハルに衝撃の展開が! 

千裕がチョコケーキを持ってきた相手とは、非モテ集団(翔を除く)BREAKERSの中にあって唯一の彼女持ちと言われていた体重100キロの男・トン(演:林勇)だった! つまり、これまで姿を現さなかったトンの彼女とは千裕のことだったのだ! 衝撃が走ったのはハルだけではない。テレビの前の視聴者も悶絶し、ツイッターのタイムラインには絶叫が乱舞した。

「ああああああああ!!!! ハルうううううううううううううううう!!!!」
「これは辛い…視聴者にもダメージが…」
「なんという寝取られ」
「恋愛系のフラグをこう落としてくるとは思わなかった…ずるい」

他に「こんなに可哀想な主人公いないオブザイヤーだった」というツイートも。実はこれまでのエピソードでも、千裕がハルに手を振っているように見えて、その背後(千裕とハルを結ぶ延長線上)にトンがいるような細かい描写があった。何気ない背景のように描かれていたが、すべて伏線だったのだ。メンバーが16人もいるのに、いずれも単なるモブキャラではなく、それぞれの人生を歩んでいるところが『チア男子!!』の面白さでもある。

ちなみに、恋愛系のまとめサイトによると、「男を勘違いさせる女子の思わせぶりな行動」として、次の5つが挙げられていた。

●距離が近い。
●自分の弱みを見せる。
●二人きりの時間を作る。
●相手を褒める。
●恋人イベントに誘う。

うーん、全部千裕には当てはまっているような気がする……。しかも、いつも迷いのないまっすぐな目をしていたのがコワい。男どもはくれぐれも勘違いに注意しましょう。

姉ちゃんがいれば大丈夫!



失恋のダメージを負ったハルだが、姉・晴子とのわだかまりに比べればささいなこと。ハルはチアの練習を休み、晴子の試合の応援に向かう。誰よりも力強いハルの声援(第1話のOPにつながる)を得て、晴子は勝利! ハルが柔道を辞めてから初めて、晴子がハルに笑顔を見せた瞬間でもあった。

その後、ハルは晴子からバレンタインのチョコ(半額セール)をもらって大団円。まさにビターの後にスイートなバレンタインだったというわけ。女子に振られても、ハルには姉ちゃんがいるから大丈夫! これでメンバー全員の事情が片付き、心おきなく全国チアリーディング選手権に臨むことができる! 

というわけで本日放送の最終回「チアダンシ!」。全国チアリーディング選手権で舞い踊る16人の勇姿がクライマックスのはずだが、予告の絵がビタイチ動かなかったのがスリリング。きっとスタッフはまだ奮闘しているに違いない。泣いても笑っても今夜が最後! ゴー・ファイ・ウィン!
(大山くまお)