NHKはパブリックイメージに反し、かなりアナーキーな制作スタッフが揃っていると聞いたことがある。たしかに、今年の『24時間テレビ』の裏で放送された『バリバラ』が掲げた「感動ポルノ」なる言葉はセンセーショナルな話題を呼んだ。

そして、10月5日(夜11:00〜11:30)よりEテレでレギュラー放送がスタートするトーク番組『ねほりんぱほりん』も、かなりアナーキー。この番組の記者発表会が9月28日に開催されたが、遠慮なしだった。

NHKが誇る人形劇の技術が“新しいモザイク”の役割を果たす


「人形劇×赤裸々トークショー」なるコンセプトを掲げる同番組の聞き手を務めるは、もぐらのぬいぐるみ「ねほりん」と「ぱほりん」。


しかして、ねほりんの“中の人”は山里亮太で、ぱほりんの“中の人”はYOUが務めている。


一方、ゲストに訪れるのは“訳あり”な人たちばかり。SNSで超リア充な生活を偽る「偽装キラキラ女子」だったり、“洗濯から政策まで”先生に尽くし続ける「元国会議員秘書」だったり、中学生のとき“アメリカのたばこ”だと言われてマリファナを吸ったことから陥った「元薬物中毒者」だったり……。そして、そんな訳ありさんたちもブタのぬいぐるみとして出演するという。これは、何を意図してる?
「“人の顔色を窺わないでなんでも喋れる空間”ですよね。『顔色』と行っても私はこの色しかないので、変わるような顔色持ってませんので。で、向こうも豚さんなので『怒ってる』とか『これ聞いたら失礼かな?』とかそんなブレーキを全く利かずに行けます」(山里亮太)

もちろん、ただ過激なだけじゃない。NHK制作局青少年・教育番組部に在籍し、『ねほりんぱほりん』のチーフプロデューサーでもある大古滋久氏は、以下のように解説する。


「ドギツい話もどこか優しく聞こえたり、まるで顔出しアリで喋ってるように見えてくるんですね。その秘密は、人形を操ってる方の“技”にあると思うんです。一体に2人の方が付いてすごいコンビネーションで、あらゆる動きを気持ちが表れるように操ってくださる。この職人技により、古くは『ひょっこりひょうたん島』や『プリンプリン物語』など、その時代から続く子ども番組の伝統の人形劇が“新しいモザイク”の形になって大人のトーク番組として進化したという感じであります」(大古チーフプロデューサー)

Eテレらしからぬ下世話な質問をガンガン浴びせるもぐら


実は今回のレギュラー化以前にもこの番組は放送され、各所で話題になっていた。2015年7月には「プロ彼女・没落社長」を、2016年1月には「芸能スクープ記者・カメラマン」を招き、2人が下世話な質問を浴びせかけているのだ。
プロ彼女には「合コンを“狩り場”にしていというのは、都合よく遊ばれてるだけじゃないか?」とツッコミ(疑問)を入れ、会社を倒産させた没落社長には「死んじゃおうと思ったことはあった?」とナイーブなところに探りを入れてみせている。
「ゲストに色んな形でツッコんでいくのが、山里亮太さんとYOUさんです。この2人がEテレらしからぬ下世話な質問をガンガン浴びせ、掘って掘って掘りまくっております。そんな中で、人間の面白さや人生の面白さというのが少しでも見えていけばいいなと思っております」(大古チーフプロデューサー)


YOUが絵面に自信「これからは他局もこれで出る」


記者発表会では、ねほりんとぱほりんを囲んでの質疑応答時間が設けられた。


ねほりん 記者の方々に聞きたいんですけど、僕たちが出てきて拍手した時にどんな気持ちだったんですか(笑)? あっ、皆さん撮ってくださってますね、写真を(笑)。
ぱほりん でも、とても絵面が愛らしいですね。ハハハハハ!
ねほりん そうですねえ。どんなひどいこと言っても許される感じがすごいでしょ、今?
ぱほりん 自信がつきました。なんだったら、いつもこっちで出たいくらいですよ(笑)。言いたいこと言えますからね。ありがたい!
――一つの人形を2人の方が操っているとのことですが、どこをどう動かしているんでしょうか?
ねほりん すみません記者の方、驚かないでください。僕たちも何も知らないんです(笑)。これ、2人でやってるんですね?
ぱほりん いや、2人だろ! これ、1人で無理だろ(笑)!
ねほりん そっか。すいません。……っていう状態です(笑)。
ぱほりん 目も口も手も2人の方が懸命にやってくださってる。
ねほりん NHKが培った人形劇の技術を、こんな無駄遣いありますか?
ぱほりん 薬物中毒者との対談に使うとか(笑)。
ねほりん そうですよ(笑)。プロ彼女がどうやってアスリートをだまし落としたかとかを聞いてたわけです、僕らは。だから今人形を操ってる方々は、この仕事だけは親に言ってないと思います(笑)。
ぱほりん ハハハハ! これだけは(笑)。普通の人形劇を皆さんに見ていただきたいですからね。
ねほりん それくらいディープなやつなんでね、はい。

「彼」や「彼女」など、“何かしちゃった2世”を呼びたい


――特に印象深かったゲストは?
ねほりん あれ、怖くなかったですか? 芸能スクープ記者カメラマン!
ぱほりん 超怖かった……。
ねほりん だって、とんでもないデータ持ってましたもんね(笑)。
ぱほりん だって、ぱほりんの家知ってたもん。
ねほりん そうそう(笑)。
ぱほりん 一応、聞いてみたんだよね。まさか? って。そしたらウチの会社の車のナンバーも家も、全部ばれてたし。
ねほりん で、どうやってそういうデータを手に入れるか全部教えてくれました。あと、元薬物中毒。
ぱほりん しかも、可愛いんですよ……。
ねほりん 今回は匿名でやってるから「もう1回、そっちの世界に戻っちゃうかも」って素直な意見聞けましたよね。
ぱほりん 「今、ここにあったらどうですか?」って聞いたら「やります」って(笑)。
ねほりん 今までテレビで見たことある薬物問題とはちょっと違った面が見れるんじゃないかなって思います。あと、痴漢冤罪の方とかね。あれは、悲しかった……。

――これから先、根掘り葉掘り聞きたい人はいますか?
ぱほりん 留置所の職員さんとか、現役ヤクザの人とか……。
ねほりん あと、YOUさんが言ってたのはNHKの会長。
ぱほりん 会長かなぁ……。会長はあまり喋んなそうじゃない?
ねほりん いやぁ〜、結構色々なことを喋って、記者の人をワクワクさせてる人っぽいですよ。
ぱほりん あ、そっか。じゃあ、会長呼びましょう。
ねほりん 会長呼んで色々聞きたいと思います。「NHKは面白い番組がすぐなくなってしまうんだけど、それはなぜなんですか?」とか。あと、昨今話題の“何かしちゃった2世”とかもいいかもしれませんね。
ぱほりん それは……「彼女」を呼ぶってことですか?
ねほりん いや……「彼」の方かなぁ?
ぱほりん 画面に映ってるのがブタだってことは、誰を呼んだっていいっていうことになるので、そんなこと言ったら個人的に呼びたい人いっぱいいますね(笑)。

――プロデューサーにお伺いしたいんですが、なぜ山里さんとYOUさんを起用したのか教えていただけますか?
大古P 下世話な質問ができるってことですね。好奇心のままに聞きたいことを聞ける人っていうこと、それが一番いいんじゃないかなと思いまして。
ねほりん わかりましたか? 「デリカシーがないから」って理由らしいです。
ぱほりん そんなつもりはなかったんですけどね(笑)。
ねほりん でもYOUさんは、核心突いた時がありましたよね? 没落社長の回で、急に何の脈略もなく「社長、セックスしてるでしょ?」って聞いたら「そうなんです」って(笑)。
ぱほりん やっぱり、“匂い”で会話できますね。
ねほりん この人形がいてくれてよかったですね(笑)。
ぱほりん 本当にありがたいですよ。

自分がゲストだったら「SMにハマったことを話したい」(山里)


質疑応答タイムの終盤では、“中の人”である山里さんとYOUさんが登場!


――山里さんとYOUさんがブタさん側で出るとしたら、プライベートのどんな話をしたいと思いますか?
山里 そうですねぇ……SMにどんバマリしたしたこととか。


――どっち側ですか(笑)?
山里 僕はMの方でして、チャットでやってまして、イギリスの男性から「Hey,God!」と言われたことがあります(笑)。そういう話をブタさんになってしたいなと。この話をして「ブタさん」って言うと、またちょっと違う意味になったりしますけど。
YOU 「ブタ野郎」って(笑)。私に関しては、飲酒時の珍事について。


山里 私も何度か目撃してるんですけど、たしかにブタさんになった方が言いやすいなってくらい色々起きてますんで。

最後に、レギュラー化したこの番組に対する意気込みについて!
山里 今までやってきたのが「プロ彼女」を掘り下げたり、没落した倒産した社長に対して歯に衣着せずズカズカ行くというのをやってたんで、それがレギュラー化でディープな人たちをどれくらい集められるのかな? と思ったんですけど、結構すごいラインナップが出てて、普通だったら聞けないようなことを聞いてるので、そこら辺が皆さんに届けられたらなと思っています。
YOU 最初は「え〜っ!」みたいに否定的にお話をお伺いしても、最後は意外と相通ずるまではいかないけど「わかるような気がするな」とか思ったりするんで、面白いんですよ。結末は、結構みんなと握手したい感じで終わるんですよね。
山里 とんでもない悪党が来るのか? とんでもないダメな奴なのか? と思ったら、すごい愛らしい理由があったり、「そんな解決方法でその苦境を乗り越えたのか」とかわかったりしますよね。
YOU そうなんですよ。だから、私たちがこれだけ興味深いので、たぶん皆さんもとても楽しんでいただけると思います!
(寺西ジャジューカ)