Web無料漫画配信サービスジャンプ+にて「ファイアパンチ」第22話が配信されている。前話の最後でアグニは、パワードスーツを着用したダイダにブッ飛ばされ、マンションらしき建物に突っ込んでしまっていた。そして今週は、そのすさまじいパンチで、ドラゴンボールよろしくの殴られた人間の建物貫通描写から始まる。


アグニがどんどん悲惨に・・・


燃え尽きるまで消えない炎で覆われたアグニは、当然触れた建物全てを燃やしてしまう。燃え上がる巨大な建物郡を見たユダは、今まで国民に嘘を吐いてまで守ってきたベヘムドルグの終焉を予感したのか、全てを諦め、まだほとんど吸っていないタバコを箱ごと投げ捨ててしまう。ムリして喫煙することで別人を演じてきたユダの肩の荷が、不本意ながらも下りた事を表すシーンだ。

肝心のアグニはというと、ほとんど意識を失いながらも立ち上がり「いきて・・・いきて・・・」と、妹のルナの最後の願いを呟き始める。そこへもう一度ダイダが現れ、建物貫通パンチ。しかし、ルナという呪縛に取り付かれた怨霊のように、アグニはもう一度立ち上がる。

こうなるとジョジョ4部に登場した完全殺害不可能スタンド、今もどこかの海を泳ぎ続けている「ノトーリアス・B・I・G」や、5分ごとにその物体が2倍の数に増え続けるドラえもんのバイバインによって、今も宇宙のどこかで増殖し続ける「栗まんじゅう」の様な不思議な怖さが出てくる。ここで最終回を迎えたら、人類は絶滅してしまったが、アグニは今もどこかで燃え続けているという、人間ではなく現象に近いものになってしまいかねない。先々週は、王道主人公としてカッコよかったのに、もはや復讐鬼時代のアグニより恐ろしい。

急に強キャラになったモブが今まで目立たなかった理由


ユダがタバコを捨てた後、今まで描かれていたのかどうかもわからないようなニット帽を被ったモブキャラが、「少しでも変な事をしてみろ。私の祝福で殺す」と急に死刑囚達を脅し出した。しかもカッコいい顔で。

死刑囚達を殺せるというのが本当なら、この作品でも最強クラスということになる。では、なぜそんな強キャラが今まで目立たなかったのだろうか?ヒントは「私の祝福で殺す」という部分にあるような気がする。

例えば、ダイダの“筋力を増加させる祝福”や、ユダやトガタの“再生する祝福”だとしたら、祝福以前に自分の格闘能力自体に自信を持っている為、この言葉は使わないはずだ。あえて「祝福で」と言ったという事は自分に自信はないが、祝福には自信があるという事になる。「お前殺すぞ」より、「お前このピストルで殺すぞ」と言った方が弱そうな感じがするのと一緒だ。

つまり、祝福はとんでもなく強いが一人間としては大した事ないのだ。ユダの側近のような立場なのに、ベヘムドルグの現状を何も知らされていなかった事からもそれは予測出来る。さらに、自分の主であるユダが国を諦めた瞬間すぐさま部下にドマを呼びに行かせたのは、自分がトップになる事を考えていない根っからの子分肌だと象徴していると言えるだろう。

ほとんどのキャラクターの底が見え始め、謎の部分を残しているのが現在ドマとこのニット帽と死刑囚の2人くらいしかいない。この余り有能ではないモブキャラだったニット帽が、この先のストーリーを引っ張って展開させていくかもしれない。
(沢野奈津夫)