本日19時。FIFAワールドカップアジア予選日本対イラク戦がテレビ朝日系列で放送される(キックオフは19時35分ごろ)。
「サッカーとは想像力のスポーツ! この広いグラウンド 自らのアイデアで勝負するんだ」
「キャプテン翼」の師・ロベルト本郷の言葉。ボールをセグウェイみたいに乗り回したり、龍の見えるシュートを打ったりと、『キャプテン翼』の登場人物たちは、確かに想像力豊かなプレイをしている。
信じられない光景を目の当たりにした相手チームのプレイヤーは、動きを止めて思わず「なにィ」と叫ぶ。「あなたのプレイが私の想像力を上回っています!」という意味合いにもとれる行為。実際のサッカー選手たちは絶対にそんなことを言わない。
しかし、石崎くんや森崎くん。漫画の中に登場する人物たちは、対戦相手がどれだけ素晴らしいプレイをしたのか、読者に対して瞬時に短いフレーズで示さなければならない。彼らはサッカー選手である前に、漫画キャラの一人であるのだ。
つまり、「なにィ」の数が多ければ多いほど、見どころが多い試合であるということ。今回は「なにィ」の多かった試合TOP10を発表し、両チームの約10ページ毎のなにィ数を折れ線グラフで示していく。


以下のルールで「なにィ」の数を計上した。



初代『キャプテン翼』、『ワールドユース』編、『ROAD TO 2002』、『GOLDEN-23』、『IN CALCIO』、『EN LA LIGA』、『ライジングサン』で査定。
選手と監督の「なにィ」をカウント。観客などの部外者が発したものは無効。
折れ線グラフ上の吹き出しにゴールを決めた人物を示す。


ランキングは以下の通りになった



第10位 バルセロナVSレアルマドリッド 24回



日本を飛び出し、世界最高峰のクラブ・バルセロナでプレイすることになった翼。初めての1軍戦は同じく世界最高峰のレアルマドリッド。ワールドユース編でラスボスになったナトゥレーザのいるチームである。
ロベルト・カロルス(略してロベカロ)のフリーキック前の独特のモーションを翼やナトゥレーザが真似をして「なにィ」が生まれるシーンもあった(実在の人物とそっくり!)。
試合自体は6対5という乱打戦でバルセロナが勝利。スポーツ漫画主人公お得意のブザービートでケリがついた。
「なにィ」の密度が薄かった試合だが、5巻から15巻まで続く長丁場の試合だったため、合計24回の「なにィ」が生まれた。

第9位 バルセロナVSレアルマドリッド



10位と同じカード。普段のキャプ翼は、「なにィ」が混みあったときにゴールが生まれがち。しかし、この試合では、割と大人しめに時間帯に4ゴールが生まれた。
「なにィ」と言わせる隙もなくゴールを奪う。キャプ翼の中でもヨーロッパのサッカーは超一流である。試合も2対2で「なにィ」数も13対13。ダブルドローである。

第8位 ジュニアユース編 全日本VSハンブルク 29回



ジュニアユース初の海外勢を相手とした試合。対戦相手はS.G.G.K(スーパーグレートゴールキーパー)こと若林くんのいるドイツのクラブチーム・ハンブルク。結果は1対5で全日本のボロ負け。翼くんが試合に出られなかったからである。グラフからも分かるように、コンスタントに「なにィ」を言い続けた。精神的支柱がいないとこんなにも揺らぐのか、日本代表。
GK森崎くんの出場直後には、ダイジェストで「森崎はシュートについていくのがやっとだった」とまとめられ、「なにィ」を叫ぶ隙もなく屈辱の2失点。
最後は日向くんが必死に1点をもぎとり、相手から2なにィを奪ったのだが、若林くんからその姿勢をコケにされ、殴り合いに発展。スポーツとしては後味の悪い終わり方となった(でも初代キャプテン翼ならではの荒々しさが出ていて好き)。
「なにィ」数も17対12でハンブルグよりたくさん驚かされた日本。メンタル面でも敗北した。

第7位 全国中学サッカー選手権 南葛中VS比良戸中30回



中学3年生になった翼くん率いる南葛中学サッカー部。全国ベスト4をかけた戦いでぶつかるのは、のちに全日本でチームメイトとなる次藤くんと佐野くん擁する比良戸中。
高杉くん以上に体の大きい次藤くんは、南葛中の選手たちを次々と突き飛ばし、小回りの利く佐野くんとともに南葛からゴールを前半で3点取る。南葛の森崎くんは体ごとゴールにたたきこまれ、翼くんは肩を負傷してしまった。
後半は、翼くんが日本で初めてドライブシュートを披露。ゴール直前で急激に軌道が落ちるシュートを連発。勝ちを確信した次藤くんもゴールポストによっかかってサボっていたが、びっくりしていた。
決勝点もやっぱり翼くんと思いきや、修哲トリオの一人、来生くんが決めた。4対3で南葛中の勝利だが、「なにィ」数は16対14で南葛中の方が驚きすぎている。

第6位 ワールドユース編 日本対タイ35回



開始早々、翼くんのシュートで先制。しかし、その直後、ムエタイに自信のあるブンナークによってケガをしてしまった。動揺した日本は、セパタクローを嗜んできたコンサクワット3兄弟の空中戦法に手も足も出ず、前半だけで大量失点。勝利を確信したタイ監督はピッチを離れ、控室にタバコを吸いに行ってしまった。

「おまえのシュートコースはもう覚えたぜ」
キーパーの森崎くんは、自分のふがいなさ、これまでのサッカー人生、代表に選ばれなかった同世代のゴールキーパーたちの思いを糧に奮起。4失点後はタイの度重なる猛攻を防ぐ。遅刻してピッチにやってきた日本の正ゴールキーパー・若林くんからS.G.G.K(スーパー・がんばり・ゴールキーパー)の称号を授かっていた(直後に交代)。
後半は遅刻組の若林・葵、そしてスーパーサブの三杉くんの活躍によって逆転勝ち。グラフを見ても、後半以降のタイの動揺が見て取れる。日本の底力を見せつけるお話になった。
試合は4対3で日本の勝利。「なにィ」の数も17対18で接戦だった。

第5位 ジュニアユース編 日本対アルゼンチン 36回



試合開始直後、行方不明になってしまった師匠・ロベルト本郷の名前を聞いて動揺してしまった翼くん。開始早々、ディアスにあっという間にハットトリックを許してしまった。
ここから日本が反撃。日向くんの破壊力抜群のシュート、初見殺しの空中殺法を使う立花兄弟、後半終了間際に投入された国際的知名度のない三杉くんの活躍で動揺を誘い、辛勝。
空手キーパー若島津くんがゴールポストを踏み台にしてセービングを試みた際、それを見越したガルバンくんがポストにラリアットしてゴールごとずらし、コケさせるという離れ業を披露していた。そのうち、筋肉ムキムキなDFがゴールごとどこかに投げてしまう日がくるかもしれない。
スコアは5対4で「なにィ」数は16対20。日本の勝利である。

第4位 全国小学サッカー選手権大会決勝 南葛VS明和 47回



予選で南葛に黒星を付けた日向くん率いる明和FCとの決勝戦。南葛はケガから復帰したS.G.G.Kの若林くんが出場。
ペナルティエリア外からはゴールを許したことがないという若林伝説を打ち破ろうとした日向くんはロングシュートにこだわり続け、ことごとく失敗。リズムが悪くなり、翼&岬に先制点を許してしまった。グラフの序盤を見ても、明和FCの選手たちが動揺しているのが分かる。
その後は、後輩の沢田くんから苦言を呈され、ペナルティエリア内で2点をもぎ取った日向くん。
が、その後は翼くんの3連続得点。試合終了間際で翼との1対1に敗れた日向くんは背後を振り返ることなく「負けた…」の一言。「頼む! 若島津! なんとかしてくれぇ!」みたいな一言があってもよかったんじゃないか。
試合結果は4対2。なにィ数も15-32で南葛の2倍驚いてしまった。自分本位なプレイを見せてしまうという日向くんの悪い癖が出ていなければ、1失点くらいは防げていたかもしれない。

第3位 ジュニアユース編 日本VSフランス 48回



ピエールと殴り合って早田くん退場。怒りの猛攻で再三にわたって敵チームのゴールネットを揺らした日本だが、地元びいきのジャッジによって再三にわたるノーゴール宣告を受ける。
若島津くんは4失点したものの、相手から7回も「なにィ」を言わせる。というのも、若島津くんはサッカーと空手をミックスさせた世界でも珍しいゴールキーパー。ジャパニーズ・カラテを目の当たりにしたフランスを動揺させたという意味では、彼の貢献は翼くんの次に大きい。
試合は4対4でPK戦までもつれこんで、三杉くんと若島津くんの活躍によって勝利。「なにィ」の数自体は12体36。トリプルスコアで日本の圧勝だ。


第2位 ジュニアユース編 日本VS西ドイツ 55回



「なにィ そんなのアリかよ」
キーパーの意表を突くループシュートを放ったカルツが思わず叫んでしまったシーン。どう考えても届かないであろう軌道を描いたシュートを、若林くんが自らの帽子で叩き落としたのである。ルール的に大丈夫なのかという考えもあるが、審判が笛を吹かないんだからOKだ。

「ファイヤー!!」
後半終了間際には、さらなるピンチが日本に襲う。この掛け声はシュナイダーが必殺技のを放つ直前に出すもの。ファイヤーショット。若林くんが正面からボールを取りにいき、帽子が焦げてなくなってしまったほど、強力なシュートである。
「根性だァ!!」
このシュートに立ち向かった石崎くんは決死の顔面ブロック。クールなシュナイダーも思わず「なにィ」と叫んでいた。
「おれはここまでみたいだ」ガクッ
自らの顔面を犠牲にした石崎くんは、満足そうな表情を浮かべてピッチからいなくなった。
オフェンスでは、翼くんが岬くんごと後ろから押し込んでゴールにしたり、日向くんのタイガーショットでミューラーのグローブを消し飛ばしたりと、外国人もビックリする方法でゴールを奪っていた。スコア上は3対2で日本の辛勝だが、「なにィ」数は18対37で日本の圧勝である。


第1位 全国中学サッカー選手権決勝 南葛中VS東邦学園



翼くん対日向くんのライバル対決、中学編。
「あと一歩でシュートが打てるというときに反則しやがって」グイッ
「なにィ」「はなせ!!」パチィ
胸倉をつかむ日向くんとそれに激昂して手を振り払う高杉くん。
試合中盤になるとお互いにヒートアップしてくる。チャンスを作った東邦。日向くんが直線的ドリブルで南葛の連中を次々と吹き飛ばす。が、立ちはだかった巨漢・高杉くんに吹っ飛ばされてしまう。進路妨害として反則を取られた高杉君だったが、日向くんはそれだけでは収まらなかった。
ヒートアップした両者をなだめるように、審判から2人にイエローカードが出されてしまう。
「すまなかったな」
「あ ああ…」
高杉くんは日向くんの謝罪を快く受け入れ、結果として東邦イレブンの士気を高めてしまった。
4対4で引き分けとなり同時優勝。しかし、「なにィ」数は29対33で東邦の方が少しだけ驚きすぎている。合計61回で第1位。

「なにィ」をたくさん言った方が負けることが多いキャプ翼


想いおこしてみろ 翼のサッカー人生は常に逆境に立たされていた
その中で絶対に勝てないだろうという相手をそれでもすべて倒し 翼はここまで登りつめてきたんだ
そしておれたちの体を張ったプレイに対し あいつは確かに言ってくれた
勝つと―絶対に勝つと心をこめて言ってくれたんだ―――

小学校時代から翼くんとサッカーをしてきた石崎くん、若林くんがこんなことを言っていた。ワールドユース決勝戦。延長戦を控えたハーフタイムでのやり取りである。一流の選手はみんな逆境に強い。しかし、翼くんのような超一流の選手は、それだけでなく、周りの選手にもガッツを与えてくれるのである。

(山川悠)