後藤「(ジャルジャルの)DVDに入っているネタだけで144本あります。そして僕らの全部のネタ数ですけど、福徳が説明します。どうぞ」
福徳「……8000個です」
後藤「大喜利の答えのような数になりましたけど」

ボケでも大喜利でもなく、ジャルジャルは本当に今まで8000本のコントを作ってきたという。一体どうしたらこんなことが可能なのか?

若手芸人たちのサバイバル合宿『笑けずり シーズン2〜コント編〜』(NHK BSプレミアム 金曜22時)。先輩芸人の講義を受け、新ネタを作り、一番評価が低い組が脱落する。第5回の講義はジャルジャルによる「コンビの力」だった。


意外性が生まれる「即興」の力


ジャルジャルは単独ライブで12〜13本のネタをやる。ライブ用のネタを作るときは即興コントを100本作り、そこから絞るという。ライブでかけなかったネタも全てカウントすると合計8000本近くにもなるのだ。

「日常にコントは潜んでいる」というジャルジャル。若手に向かって話しながら、さっそく演台に置いあったペットボトルを巡って即興ネタを1本作ってしまう。このスピードでネタができるなら100本なんてすぐなのだろう。

ジャルジャルは単独ライブ以外にも、即興コントのライブも開催している。「超コント」と名付けられたこのライブは、観客が書いた「上の句」「下の句」を壇上で選び、それをテーマに即興コントを行うというもの。「戦後最大の」「ペット」なんていうお題が出来あがり、ものの10秒後にはコントを演じないといけない。

コンビの力を鍛えるため、若手芸人たちも「超コント」に挑戦することに。「いまにも壊れそうなエビフライ」「不健康そうな練習」といった突飛なお題に苦戦する若手たち。設定が飲み込めなかったり、パスを拾えなかったり、ボケに乗らなかったりする。ただ、追い込まれることで新たな展開にたどり着くコンビもいる。

机上でネタを考えるよりも、即興のほうが意外性のある展開が生まれやすい。意外な展開は観客を裏切り、爆発力につながる。ただし即興コントに欠かせないのは「信頼」だ。相手が何を考えているか察知し、次にどう動いたら展開しやすいか予測する。コンビとしての信頼関係が鍵になる。

後藤「やっぱりコンビというのは対等で、お互い信用しあってネタを作っていくのがベストなんじゃないかなと」
高校時代の同級生でコンビを組んだジャルジャル。ヌード写真集『SUPER JARUJARU』ではキスしたり互いの股間を握り合うほど。それはやり過ぎだとしても、お互いを信頼しきっているからこそ8000本という数字が生まれるのだろう。

オオハシくん、恋敗れる


今回の課題は「全員同じお題で新しいコントを作る」。お題は講義で使った超コントの上の句・下の句から「驚くべき日曜日」に決まった。審査は3日後の朝8時。早朝すぎてどよめく一同。

これから必死のネタ作り期間になるのだが……これまでこのレビューでは触れていなかったおべんとばこのオオハシくんの恋について、いよいよ書く時がきました。

坊主姿にチェックのシャツ、小太りの体で元気いっぱいのキャラを演じるオオハシくん。合宿所に到着早々、女性コンビオダウエダの小田に恋をしていた。合宿中に誕生日を迎えた小田のため、ダンボールでバースデーケーキを作り、サプライズパーティーも開いいた。スタッフから「小田がダンボールのケーキを抱きしめてた」と聞いて有頂天になるなどしていたオオハシくん。

一方第3回の放送では、視聴者に向けて小田は見た目に反してバリバリの元ヤンだと明かされており、テレビをご覧の皆さんは「元ヤンの小田さんはオオハシくんの攻勢にブチギレたりしないだろうか……」と、テラスハウスで恋愛を見守るのとはまた違う意味で固唾を呑んで見守っていた。

その恋があっけなく終わりを迎えた。オダウエダの部屋で二人きりになったオオハシくん。さりげない会話を装って「彼氏いるの?」と聞いてみると「います」とあっさり答える小田。オオハシくん、癒やしを求めて男性ブランコ浦井の手を引いて話を聞いてもらうは、朝方に部屋の窓を開けて大黒摩季「あなただけ見つめてる」を熱唱するは、わかりやすい傷心モードに入ってしまう。

ベッドにうつ伏せになったまま動かないオオハシくんを見守るのは、相方の中川。オオハシくんが落ち込んでいるときは待つのが一番だとわかっている。オオハシくんが傷心のあいだにネタを作り、復活を待ってからネタ合わせを始める。

まるでオオハシくんが子供で、中川がお母さんだ。失恋がきっかけになったが、ジャルジャルが説いた「信頼」が、おべんとばこの2人の間で結ばれているのが伝わった。

全てのアドバイスを活かすオダウエダ


運命のネタ見せ。5組から1組が削られる。審査する芸人はジャルジャル、ずん飯尾、アンガールズ田中。「田中さん審査大丈夫ですか?」というお約束のイジりで審査は幕を開けた。

ここ数回でグッと上手くなったと感じるのがオダウエダだ。今回披露したのは、遊園地に来た親子が機械の反乱に巻き込まれるというもの。荒削りだった初回と比べると、これまでの講義で受けたアドバイスを全て活かしているのがわかる。ロバート(第2回)からの「オリジナリティーを追求する」、サンドウィッチマン(第3回)からの「植田が最初から出ていたほうがいい」、シソンヌ(第4回)からの「日常ををきちんと演じることで非日常が際立つ」という言葉を全てクリアしているのだ。

審査結果は3位だったが、持ち味の突飛な設定を見やすくプレゼンできるようになり、面白さが増したと感じた。やはり先輩方のアドバイスは伊達ではない。

審査の結果、削られたのは男性ブランコの2人。全員で涙の見送りとなった。この日のオダウエダ植田の日記にはこう書かれている。

けずられたのは男性ブランコさん。また優勝候補がけずられた。
優しくて、あこがれの男性ブランコさん、
前日、夜中にまたムカデを部屋に放ったからかもしれない。

2行目と3行目が全然つながっていないのだった。

今夜10月7日(金)22時からの『笑けずり シーズン2』#6、講師は満を持しての千原ジュニア。残っているのはハナコ、おべんとばこ、オダウエダ、マスオチョップ。いよいよ最終決戦に進む3組が決定する。今夜も誰かが、け〜ず〜ら〜れ〜る〜。
(井上マサキ)