ドラマ10「運命に、似た恋」(NHK 総合 金 よる10時〜)episode2「一夜だけ咲く花」
脚本:北川悦吏子 演出:一木正恵  出演:原田知世 斎藤工 山口紗弥加ほか


なななんと、斎藤工の代表作・傑作不倫ドラマ「昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜」(14年)が2年の時を経て映画化が決定。
この手のドラマの映画化というと、鈴木京香と長谷川博己が共演した大ヒットドラマ映画化の二の舞になりそうで不安もあるものの、人妻と純粋に恋する昆虫好きなメガネ男子・斎藤工をもう一度みたい気もしないではない。映画は、人妻役・上戸彩がど修羅後ひとりになって3年、斎藤工と再会する話らしい。
映画も楽しみだが、現在放送中のドラマ「運命に、似た恋」も2話まで観た時点で、「昼顔」に追随する傑作になりそうな予感だ。

「運命に、似た恋」での斎藤工は、イケメンカリスマデザイナー。クリーニングの配達をしてくれる子持ちバツイチのおばちゃん(原田知世)になぜかつきまとう。どうやら、おばちゃんとイケメンデザイナーは少年少女の頃に出会っていたらしい。
「いつか迎えに行く」と約束して別れたふたりがいまやまったく違う世界に生きている。子供の頃ヒーローだった斎藤工が、原田知世を地味な日常から連れ出してくれるのか?・・・という物語。
episode2では早くも、斎藤工の作った素敵な空間のなかで原田知世はキスをしてしまう。

「一夜限り咲く花サガリバナの中のキスはまるで夢の中みたいで
明日には消えてしまいそうな気がしたんだ」(原田知世のナレーション)

ここで気づいたのは、「昼顔」の上戸彩も「運命に、似た恋」の原田知世も、斎藤工を素敵に輝かせる相手役は透明感のある少女性の高い女優に限るということだ。彼女たちの天使のような清らかさによって斎藤工の悪魔的に濃厚な色気という魔法が解けて、中から少年さが顔を出すのが良いのだと思う。
斎藤工、基本的に受け身の芝居のひとなので、相手役でいかようにも変化する。
例えば、視聴率が芳しくなかったドラマの相手役・石田ゆり子は透明感もあるにはあるが、彼女はわりとリアルに色っぽいのとどこか薄幸そうなため、斎藤工とふたり合わさると夢気分が不足する。同じマイナス路線でも「運命に、似た恋」で原田知世のライバルになる山口紗弥加は、斎藤工の悪魔的な色気を増幅させる絶好な汚れ演技をしている。
彼女は、カリスマデザイナーのクライアントの社長夫人。episode2での、ふたりの情事のあとのシーン。黄色人種の肌色が、ある律動によってちょっと赤みを帯びたようになっている感じがなんともやらしかった。椅子のラインをなぞる斎藤工も。

ふたりの関係は以下の台詞のとおり。
山口紗弥加「寝るよりも一緒にご飯を食べてワインを飲むほうがハードルが高いんだ」
斎藤工「そのほうが人間的なつきあいといえるよね。寝るだけなんて動物でもできるでしょ」

社長夫人とは動物的にやるだけ。クリーニング屋のおばちゃんとはピュアな恋。つまり、「運命に、似た恋」は、斎藤工の天使と悪魔の両面を、原田知世と山口紗弥加によって見せてくれる斎藤工史上最高のドラマなのである。

episode2は、夜中に勝手に斎藤工の部屋に入り込み、暗闇のなかで鯛をガンガン叩いて頭を落として調理して待ちながら、椅子にすがって奇声をあげて泣く、「家族狩り」(14年)の“わたし生むから女”役以来の怪演を見せる山口紗弥加VSタクシーの中で雨を伴奏にユーミンの「雨の街を」を歌う原田知世の戦い。
甲乙付け難かったが、「パンパンパン♪ これ間奏です パラパンパンパン・・・・♪」で知世ちゃんの勝利だった。
ふたりの女をこんなに対照的に描けるなんて、北川悦吏子の筆力凄い。
原田知世の純粋性と山口紗弥加の猟奇性の戦いの中で、今後斎藤工がどうなっていくか、楽しみ過ぎる。
ちなみに、山口の 「家族狩り」と斎藤工の 「昼顔」は同じ14年の7月期のドラマで、エキレビ!ではどちらも熱烈レビューしていた。

ほぼ、斎藤工とふたりの女のドラマなのだが、冒頭「かあちゃんまだ?」で突然、照明が当たり、カメラ目線で1話の解説を完璧にわかりやすくする、知世ちゃんの息子つぐみ役の西山潤もなかなか良かった。この西山潤くん、映画「20世紀少年」(08〜09年)のケンヂ(唐沢寿明)の子供時代をやっていた子だった。成長しましたね。
(木俣冬)