グリードアイランドの世界に足を踏み入れたゴンとキルア。プレイ開始からまだ数分しかたっていないところに、突然、ラッパーみたいなプレイヤー(以下、ラッパーと呼ぶ)が現れた。


ここは……スタート近くの平原か
──ってことは君達ゲームは初めてかい? ん?

“追跡(トレース)”使用(オン)!!
キルアを攻撃!!

キャハハハハァ──!!
バーカ ゲームの呪文(スペル)からはどうやったって逃げらんね───よ


ラッパーが発動させた呪文の効果は「対象プレイヤーの現在位置を常に知ることができる」というもの。たぶん、キルアとゴンがなにかしらのカードを手に入れたときに、何らかの方法で強奪してやろうと目論んだんだろう。
“追跡”を掛けられたキルアの怒気に怯え、ラッパーはカードを使って逃げてしまった。

初心者狩り狩りはルール違反なのか


ラッパーがやったのは、オンラインゲームやアーケードゲームなどで見られる“初心者狩り”に等しい。ストリートファイター2のキャッチコピー「俺より強い奴に会いに行く」という思想の真逆をいく行為である。
マナーの問題もあるが、気持ちはわかる。ビギナーならではのぎこちない動きやおどおどした雰囲気を見ているとついつい無慈悲に蹴散らしてしまいたくなる。後ろめたいが中毒性もある。

「オレに呪文をかけた奴だってむしろまっとうにゲームしてるよ」
狩られる側の人間からしたら腹が立ってしょうがない行為だが、ゲーマーのキルアは寛容な姿勢を見せていた。ルールの範囲内であるならそれはズルではなく、戦略のうち。初心者狩りはマナー違反かもしれないが、ルール違反と呼べるのかどうか。
初心者狩りに遭った人は「これもゲームの一部である」と受け入れてある程度は諦めるしかないのである。

初心者狩りはルール違反なのか


次にラッパーが登場したとき、彼はうつろな表情で倒れていた。
ゲームを始めたてのフィンクスとフェイタンに声をかけて殺されてしまったのだ。
「ちっ…こいつも安い方の地図か」
フィンクスが「こいつ“も”」と言っていることから、ほかにもたくさんの初心者狩りの人たちが、彼らに声をかけてきたんじゃないか。初心者狩り狩りである。

ゲーセンなどで初心者狩りを楽しむのには、危険が伴う。バトルが始まった途端、向こう側の人間が席を立って、いきなり殴りかかってくる可能性があるのだ。フェイタン、フィンクスがやったのは、それ以上の行為である。

ラッパーを殺したとき、フィンクスはジャージを着てこんなこと言っていた。
「どっちが多くプレイヤー殺すか競争な」
スポーツ感覚で人を殺しているのがよく分かる。ゲーマーの風上にも置けない男だ。
(山川悠)

参考→『HUNTER×HUNTER』14巻。パパス的ポジションのビスケを振り返る