3rd season Rec1-2。
すごかった。
フリースタイルダンジョンのバトルで初めて泣きそうになった。


誕生日が全員4月11日のチーム411、DARTHRAIDER、hiero、J平の3名。
2nd Battleは、3on3。
モンスターは、漢a.k.a.GAMI、DOTAMA、T-PABLOWの3人。

DOTAMAが「hieroさんがDJ SAORIさんっていうすっごい美人のDJと付き合ってて俺はアレが超羨ましくて仕方なかったんですよ」と暴露気味にかますが、
hieroさん「……別れてんだよ……」と強烈なパンチを、間と哀愁を込めて、返す。
さらに「もう言わないでくれ涙拭いてDon't wanna cry お前どんくらい?」と続け、チャレンジャーのクリティカル勝利。

そして、3rd Battleは1on1。
DARTHRAIDERと、隠れモンスター崇勲の対決だ。

ROUND1。
崇勲、いつものストレートな強烈さが出ない。
「審査員、大丈夫、2本めまでつなげて下さい 間違いなく俺が挽回する」とラップで懇願。
クリティカルかと思いきや、4人はチャレンジャーだが、Lilyさんはモンスター。
ギリギリ2本めにつながり、次の名勝負が生まれた。

即興だからこそ降りてきた感動のBATTLE。
おおおお!と興奮する勝負は幾度もあったが、泣きそうになったBATTLEはこれが初めてだ。

崇勲が「俺もマイク持った職人 特に言う事はないが」に続けて、「毒に侵されていくようなアンタは病人」と言ってしまう。
「特に」から韻を踏むために「毒に」が導き出され、「職人」から「病人」が、出てしまった。
即興だからこそ、つい出てしまったのだろう。

DARTHRAIDERは、6年前に脳梗塞で倒れ、その影響で失明している。眼帯は飾りではない。
2016年のあるネット番組で本人が語っていたのだが、医師からは現在余命5年との宣告を受けていて、徹底的な健康管理でその恐怖と戦っているという。
その彼に「病人」と言い放つのは、バトルとして完全に失策だ。
時間をとって考え抜いて構築したフレーズであれば、崇勲も、そんな迂闊なことは言わなかっただろう。

DARTHRAIDERが、ガッツリ受け止めて、返す。
「病人だから勝手に心配されるのが病人にとっては一番つらいこと
病気を差別 病気を区別 そういうやつらに向かってマイクを向ける」
そして1ターン目、最後のフレーズが、こうだ。
「病んでるヤツらが常に勝つ 闇の世界へどうぞ」

こうなると崇勲はつらい。
「心配されるのが嫌か じゃあ死んでくれ」
「死んでくれ」というキツイ言葉も、どうにか巻き返そうとして、出てしまったのではないか。
自分で言った言葉に自分でひるんでしまったのか、崇勲のその後のラインは、弱くなる。
韻をしっかり踏むが、話をそらしてしまった感じと、どこかで聞いたことのある印象のフレーズになってしまった。

もちろんDARTHRAIDERは、相手の言った言葉を逃さない。
「絶対言っちゃいけない言葉は「死んでくれ」
そう言われたから死ぬような俺じゃない」
さらに、話を拡げる。
「自殺は絶対ダメだぜスーサイド・スクワッド
悪役になっても生き返ってさらに活躍を見せろ
HIPHOPは逆転現象だぜお前にも教えてやるよ」

ディスに強い崇勲も、さすがにこれは立ち直れないか、と思った。
なにしろ、自分で自分にパンチを打ち込んだようなものだ。
しかもDARTHRAIDERはそれを正確に念押しするように、倫理の問題として打ち返す。
「クロスカウンター型のMC。相手が攻撃のそぶりを見せた瞬間に4倍の威力のパンチラインを叩き込む」
まさに、紹介VTRで、DARTHRAIDER自身が言っていたとおりの戦術。

だが、崇勲、自分を失わず勝負する男の強さが炸裂するラストターン。
「確かに自殺はダメだ 俺の姉ちゃん10年前自殺で死んだ」
天を仰ぐ。
「見てくれてるかな 天国の姉ちゃん 崇勲は今ここで頑張ってんだ」
崇勲にミラーボールの光が降り注ぐように見えた。
「命の尊さ俺だって分かっているからこそ
あえて言うHIPHOPは常識例外 最後に一言、死んでくれ」
嗚呼。
最初、「死んでくれ」という言葉で突進していったところを
DARTHRAIDERのクロスカウンターで強烈なパンチを喰らいながら、
なおも、1度めの「死んでくれ」の意味を超えて、HIPHOPスピリッツで同じ言葉を打ち込む。
これは、まさにダブルクロスカウンターじゃないか!

DARTHRAIDERは、これを真っ向から受けて、返すのだ。
「さらに即興で言おう」
と宣言する。
「あのときに飛び込んだ青森の少女にも伝えたかったよ。このHIPHOPの楽しさを」
2学期の始業式翌日8月25日、青森市の中2女子が「遺書」を残して列車にはねられたニュースが流れた。
その少女に向けて言ったのだろう。
「一緒にパーティーしたら考えも変わっただろう」
ストレートな言葉だ。
荒っぽい、乱暴で、飾りっ気もない。
だからこそ胸に響く。
即興というギリギリの状況で、崇勲とDARTHRAIDERのやりとりから生々しく出てきた言葉達だ。
自分を指差し「こんな俺だって」、崇勲を指差し「こんなこいつだって」、叫ぶ「楽しく生きる人生」。
そして、最後のラインは「HIPHOPに幸あれ」。
祈りだ。

いとうせいこうが的確に評したうえで「よくわからないけど感動しちゃったりして。HIPHOPに幸あれなんて言われちゃって」と語る。

すごいバトルをありがとう。(米光一成)