「えっと、ここはみたとこ東京は水道橋かな、バブ」
「いや、ちがうでしょうゴローさん。これどうみてもジャングルだよバブ」
ジャングルに降り立った5人の赤ちゃんのアニメがはじまる。みんな素っ裸で、股間を隠す赤ちゃんもいる。これ、なんだろう……。

その後も、ここには書けないようなやりとりが続き、急にトーンが変わった。
「でも、おれら結局いくつになっても子どものままなのかもしれねぇな」
「そうだなぁ。それなのに忙しさに追われて、あの頃のキラキラした気持ち忘れかけてた……。」
赤ちゃんの会話とは思えない内容だけど、声はSMAP。

ステージに大量のスモークが吹き出すと、手をぎゅっと握って登場を待つファン。想像を越えてすごい角度から入るSMAPのコンサート。そりゃペンライトを握る手にも力が入りますよ。

Pop Up! SMAP LIVE! 思ったより飛んじゃいました!ツアー


2006年9月でデビュー15周年を迎えたSMAP。7月の札幌ドームから「Pop Up! SMAP LIVE! 思ったより飛んじゃいました!ツアー」がスタート。ラストの東京ドームまで、全国8ヵ所をまわった。12月にはライブ映像が発売。VHS販売はこのツアーが最後となる。


メインステージを覆うスモークの中から、ワイヤーアクションでメインステージまで飛ぶように現れたSMAP。『Dear WOMAN』からスタートした。
この頃の木村は、肩につくほどの長めの髪で、香取と中居が金髪。中居はアゴに髭がある。2006年のSMAPはなんだか若い!

前回に続いて、注目していた『BANG! BANG! バカンス!』の絡み。今回も、“木村くん”の歌詞に合わせて、歌いながら木村に近づく香取。木村が香取の頬にキスをすると「ぅわはぁー」と口を大きくあけて驚く香取。ファンも同じく「わぁ」と口をひらく。
ソロパートが草なぎから木村へ移ると、その後ろで香取が頬を指差しながら「チューされた!」とジェスチャー。ダンスの合間にも「ここにチューされた」といわんばかりにアピールしてすごく嬉しそう。そう、これを見なくちゃね!
ちなみに、稲垣が香取にチューをおねだりしたら、「いやいや」とふられていた……。
後半には、木村と香取の二人が『モアイ』を披露するほど、木村くん一筋な慎吾ちゃん。

アッパーチューンを中心に13曲を歌い終えると、音を一旦止める大胆な構成。木村の指示に沿ってペンライトを消す会場。14曲目『星空の下で』を歌いだすと一斉に点灯。ブルーに染まった会場で、気持ち良さそうに歌う5人。
中居のソロ『女の子とLOVE SONG』は女性シンガーとデュエットをする、男性アイドルとしては異例のステージだった。中居が女性の髪をなでる仕草もあれば、衣装を脱がすような大胆な演出もあり。目を丸くして驚くファンの表情が見えた。直後にファンの鬱憤を晴らすかのようなコーナーが始まった。

2006年になるとセットリストにも懐かしい曲が出てくる。
15枚目のシングル『たぶんオーライ』(1994年12月)、『心の鏡』(1992年3月)なんて3枚目のシングルで、当時はまだ8センチCDが主流だった頃。下半分を折らずにプラスチックケースに入れてたっけ。
『心の鏡』で、大歓声があがる会場。中居はなぜか花道をチャリで暴走。しかも歌ってない。リーダー、マイクはどこへ?

司会、俳優など多方面で活躍中のSMAP。どこで仕事をしていてもSMAPの一員であることには変わらないけど、ガシガシ踊ったり歌いながらふざけたり。5人揃ったライブで見せるSMAPは、どの番組でも見ることはできない。ライブでの5人の姿をもっとたくさんの人に見て欲しい。

15周年のお祝い!9月9日国立競技場でのライブ




9月9日でデビュー15周年を迎えたSMAPは、国立競技場でライブを行った。
動員数は6万人。3時間半のライブは2度のアンコールにこたえてステージを終えたとある。「ザ・テレビジョン」(2006年9月29日号)より。

MCでは、ケーキとシャンパンが登場すると、「カッチャマンは?」とチャッカマンを探す中居。ケーキのろうそくに火を付けようとしても、風のせいでなかなか点かない様子をみて、木村や稲垣たちがタオルで覆って風よけになる。お兄ちゃんたちが火をつけている合間に、好きにカメラを独占する香取。末っ子らしい一幕だった。
会場から「おめでとう」の声に合わせて、シャンパンを飲み干す5人。?
「デビューしてからきょうの国立競技場で467回ライブをやってるんですよ、で、今年のライブで800万人の人を動員、今日の国立競技場で833万9400人の方と」と中居がデータを伝えると、木村は「感謝でいっぱい」、稲垣「ずーっと続けていきたい」、草なぎ「幸せなことだと実感しております」、香取「僕1人になってSMAP続けます!」

会場では「もっとファンの近くに行きたい!」というメンバーの思いから3D映像を用意。ファンに3Dメガネを配布したそうで、その場で見た感想はどうだったのだろう。DVDにもメガネが付属している。

15周年だから語れる「SMAP式」



当時のプレジデントでは、『「SMAP式」マスマーケット攻略の勘所』と題して、SMAPのビジネスモデルを分析。どうすればマスマーケットを攻略できるかを探る企画で、こんな解説があった。

『「Dear WOMAN」は“日本の全ての女性に贈る応援歌”をテーマとしている。その歌詞からも排他性はいっさい感じられず、全女性へのホスピタリティ(=サービス精神)がストレートに表現されている』
(プレジデント/2006年10月号)
当時、資生堂シャンプー「TSUBAKI」のCMソングに起用された楽曲。SMAPは女性が求める理想の男性像を感度よくキャッチしているとして、
「究極の顧客志向モデルの構築、すなわち、多様化し変化する顧客の潜在ニーズに応える体制をしっかり持っているところにあるといえる」
グループとしての強みを解説していた。

セットや演出、衣装、MCなど、3時間ので見るポイントはたくさんある。全てをSMAPに委ねてもいいし、履いている靴から汗で乱れた髪型の変化など、個人的なツボをみつけはじめたら最後、何度だって入りたくなる。
会場にはちいさな子どもと一緒の親子から夫婦、男性同士の姿もあって、初めてでも、何度入っていても、その会場に来た人を楽しませてくれるのがSMAP。この15周年の時点でも前代未聞の存在だった。

舞台裏を告白、香取が厳しい発言



「起きちゃいけない奇跡だったんですよね。本当はそんな奇跡は起きずに、やっぱりもっと準備期間を設けた状態でやらなきゃダメなんだって…」
(ポポロ/2006年10月号)

今回のツアーを振り返った香取のインタビュー。ちょっと厳しい発言が出たのは、コンサート準備にかける時間が過去最低だったから。札幌の初日公演に向けて、前日に会場入りしたがまだセットが立っておらず、リハーサルができなかった。
「だからもう、初日の本番それぞれがそれこそ火事場のクソ力を出してがんばりましたよ。まさに命がけのライヴです(苦笑)」
ぶっつけ本番状態でも無事に終えることができた奇跡。でも、これではダメだと振り返っていた。

「でも、少しはメンバーと振りを合わせたいじゃないですか。だから、僕は前から木村くんとだけはメールでやりとりしてるんで、お互いのスケジュールを合わせていっしょにリハーサル室に行くことにして…」
香取は比較的ゆとりがあったものの、4人とも多忙で、全員揃ってのリハーサルは行えなかったとある。中居はダンサーとの練習もできず、1人で練習をしていたそう。

続いて、新潟公演について。
『24時間テレビ』で草なぎと共に新潟・中越地震の被災地を訪れたときに感じた自分の無力さ。
「せめてここでライヴをしたら、何か伝えられるんじゃないか」
「新潟に来て、新潟の人たちと歌いたかった。だから今歌えてうれしい」
自然と口をついて出た言葉に、ファンからもらった拍手の温かさが心に残っているとある。
リハーサルができないほど多忙なスケジュールでも、想いを実行に移す行動力はさすが。想いを自分たちなりのスタイルで形にして、いまなお継続しているSMAP。

7月から10月にかけて行われた今回のツアー。もっとも楽しかった夏休みの思い出を聞かれると、
『やっぱりコンサートかな。10歳くらいで事務所に入ったときから、夏はずーっとコンサートに出てますからね。それはもう「遊びたい」なんて思わせないくらいのハードスケジュールでしたよ』

アンコールの最後の最後、捌ける寸前まで会場からは悲鳴のような大歓声があがっていた。それはサービス精神旺盛な慎吾ちゃんからのサプライズがあったから。
「コンサートで流す汗は気持ちいいし、遊ぶより楽しいんですけどね」

(柚月裕実)

【SMAPライブDVDレビュー企画】(毎週金曜更新)
SMAPの解散が報じられ、ジャニーズファンのライターとして何かできることはないかと、SMAPライブDVD全作レビューに挑戦することにしました。
これまでSMAPが見せてくれたステージを、改めて振り返ってみたいと思います