千原ジュニア「コントって、なんだと思いますか?」

若手芸人たちのサバイバル合宿『笑けずり シーズン2〜コント編〜』(NHK BSプレミアム 金曜22時)。残る若手はハナコ、おべんとばこ、マスオチョップ、オダウエダの4組。最終決戦に進めるのは3組。今回脱落する1組が最後の「けずり」。講義は千原ジュニアの一言から始まった。


衝動から生まれたコントかどうか


冒頭の質問に「自由度の高い笑い」「面白いと思った状況を作る」と答える若手たち。ジュニアは「それぞれが正解。それがコントです」と返す。

ジュニア「ということは、コントには何のルールも無いということです。ですから、コントを作ろうと思ってコントを作らないほうがいいと思うんです」「ここで笑ってほしいねん!っていう衝動だと思います。これおもろいねんなとか。これ腹立つねんなとか。衝動から生まれたコントかどうかが大きいと思います」

センターマイクを挟むなど様式が定まっている漫才と違い、コントは設定次第でどんな立ち位置で何をやっても自由。笑わせるためなら手段を選ばない。ならば、筋道を立てた芝居よりも「ここ!」という衝動を軸にすべきとジュニアは主張する。衝動から「どうしても見せたいシーン」を生み、それをどう見せたらいいか全体を考える。

今までの講義はキャラクターやリアリティなど、ネタを完成形に近づける要素が主だった。最後の講義にして千原ジュニアは「ネタの根っこ」を取り出した。これまで和やかだった教室の空気も、明らかに張り詰めたものに変わった。

では衝動をコントにする方法とは?ジュニアの考えたアプローチは「大喜利のお題を作る」だ。

「自由気ままに楽しんでください」


大喜利のお題はコントの設定になり、答えはシーンやストーリーになるという。例えば、ジュニアが過去に作った「ヘリコプターに育てられた少年」というコントを大喜利にすると、「お題:ヘリコプターに育てられた少年の特徴は?」「答え:声デカい」となる。

授業では若手4組にお題を作ってもらい、ジュニアが即興で答え、コントの設定まで考えてのけた。

お題「チャーハンのアホな作り方を教えてください」(オダウエダ)
ジュニア「どっから作るかですよね。まずキッチンからとか。シンクは広いほうがとか、ここに収納ほしいねとか。キッチンが出来て、チャーハン作らへんのかい!みたいな」

お題「改札でチャージが足りなくて通れなくなった人のことを何と呼ぶ?」(ハナコ)
ジュニア「あのICカードは地域性がありますからね。大阪だったらModoroca(モドロカ)とかね、そういうコントになりそう」

ただし、いいお題ばかりではない。マスオチョップが考えたのは「アニメ『とびっきりだね!カオリちゃん』の一番の名ゼリフとは?」というお題。いかにも大喜利でありそうなお題だが、ジュニアの評価は低い。

ジュニア「『とびっきりだね!カオリちゃん』という中にフック(引っ掛かり)が無さすぎて、数式が成り立っていないというか。例えば『のんびりすぎるよ!ノロマちゃん』だと「ゆっくり」「遅い」みたいな引っ掛かりができますよね」

「とびっきり」というお題は「過剰なら何でもOK」になり、広く浅い答えになってしまう。「のんびりすぎる」と対象を絞ることで、深いボケを生み出すフックができる。答えの奇抜さだけでなく、お題の立て方にもコツがある。フリがあってのオチだ。

ジュニアは授業をこの言葉で締めくくった。

ジュニア「この世界ホントに素敵なところは『本当に面白い人は、必ず売れる』。ひとつやっかいなのは面白くない方も売れるというね(笑)でも、絶対に花開く世界だと思って、自由気ままに楽しんでいただきたいと思います」

「頑張れ」とは言わない。「自由気ままに楽しんで」という言葉は、必死の努力より自由な衝動が「面白い」に近づく道であるように聞こえた。

最後の審査。けずられたのは……


最後の課題は、授業のテーマ通り「自由」。ネタ見せは5日後。これまで3日よりも期間が長い。各自、最後のコント作りに入る。

マスオチョップは早々に設定を固めたものの、初めてコンビ間で意見が衝突する。ビデオで自分たちのネタを繰り返し確認して練り上げる。芸歴9年目でテレビ出演はこれが2回目。チャンスをつかみたい。

おべんとばこは天然キャラのオオハシをネタ担当の中川が支える。いつもは掛け合いでネタを作るが、最後の課題は中川の衝動に任せた。合宿を通して(オオハシの失恋などもあり)お互いの信頼度がより高まったように見える。

ハナコは常に上位を保ってきたが、今回はネタ作りに迷走。合宿で学んだ成果を出したいと、審査前日に急遽ネタを変えた。ネタにストイックな岡部に、秋山と菊田がついていく。

オダウエダは疲労からか合宿中に初めてケンカをしてしまう。「解散」の言葉も飛び出すも、再び和解してネタ作りへ。お互いを「ネタやってくれる姉妹」「血の繋がってないお姉ちゃん」と慕うコンビだ。

最終審査を行う芸人は千原ジュニア、スピードワゴン小沢、バイきんぐ小峠。緊張のネタ見せの結果、4組からけずられたのはハナコだった。

ハナコが演じたのは、野球少年にガラスを割られたカミナリ親父を中心にしたコント。この設定に千原ジュニアは「時代劇ですよね」「この設定を、今どうしてもやらないといけないのかな……」とコメント。まさに「衝動」を問われた形になった。残念な結果になったハナコだが、先日の『キングオブコント2016』では笑けずりメンバーで唯一準決勝まで進んでいることを書いておきたい。


最終決戦に残ったのはオダウエダ、おべんとばこ、マスオチョップ。今夜10月14日(金)22時からの『笑けずり シーズン2』は生放送。3組がネタを披露し、審査員と視聴者投票で優勝者が決まる! 親のような気持ちで見届けたいと思います。

(井上マサキ)