「キスしてるの見たんだけど」
オイオイ、マジで勘弁して〜〜!(テラシマの心の叫び)
口火を切ったのはバーンズで、アーマンが追撃する。
「そーゆーことするんだったら、ホテル行ってくれって話、メーン」
オイオイ、マジで勘弁して〜〜!(りこぴんの心の叫び)


新『テラスハウス』地上波放送、残すところあと1回。地上波でご覧のみなさんは今どんな気持ちでしょうか? もやもやしてますよねぇ。お察しします。そしてこの後、騒動にどんなオチがつくのか色々と考えちゃってますよね。

ありません!
オイオイ、マジで勘弁して〜〜! ってなる。(視聴者全員の心の叫び)

番組終了による退去のゴタゴタでこの問題も何もかも消え去る。ああ、本当に台本ないんだなと、のみこむしかない。キメ台詞だった「いい日だね!」の一言も出ないなんてどうかしてる!

シーズン2の名場面回想をするものの……


僕はさっきまで新『テラスハウス』シーズン2の名場面を回想していた。(前回)

僕がテラハをレビューするのはおそらく最後。記念にイラストを描こうと思いたち、無心に描き出したら、おのずとテラシマとりこぴんが現れた。やはりこれがもっとも印象に残った場面というわけだ。ごりごりと描き進めるうちに理性が薄れていく。

テラシマを描いてる時はテラシマの感情が、りこぴんを描いてる時はりこぴんの感情が、オレの中に入ってくる。オレはオレ自身、すなわち47歳男性の傍観者なのだが、描くという行為にどっぷり浸っていくと、ふたりに加え、バーンズ、アーマン、タモサン、マーサの感情も入ってくるからぐっちゃぐちゃ。

もはやオレがテラスハウス。オレ自身がテラスハウス。そんな感じ。

『ハウス』(1977年、大林宣彦)って映画って知ってる? 家が訪問者をパクパク食べちゃうホラー映画の傑作。これは犠牲者目線の映画だけど、それを反転したのが『テラスハウス』じゃないか! オレは『ハウス』になり、テラシマとりこぴんを食うのだ。

絵を描いていて、はじめて気づくことがある。りこぴんの顔のラインって丸っこくて、とても可愛いらしい。テラシマのやつ、チューしたんか、うらやまー! ありえねー! 許せねー! って描きながら憤怒の感情が生じてくる。

しかし、そもそも恋愛って自由だし、カップル誕生は番組の最大の盛り上がりポイントなので推奨項目だ。ふたりとも「恋愛感情はない」で通してきたから、そのウソ、許せねー!ってなっちゃう。

でもですよ、同時代に生きる人間としてテラスハウスのメンバーたちには不自然な点がある。だって、ただの一度も『シン・ゴジラ』『ポケモンGO』『君の名は。』の話をしてないよ。

スポンサーへの配慮などはあるだろう。おそらくメンバーたちはカメラの死角で、ポッポやコラッタを捕まえているだろう。ウソとは異なるが、「リアルじゃない」という観点では、テラシマりこぴんの罪とそれほど変わらない。と、ハウスであるオレは思うな。

ラシマとの対話


テラシマを描きすすめる。テラシマの声が聴こえくる。
「オレはこの家にやってきてキッチンで腕をふるった。りこぴんはちゃんとした料理を初めて食べた、って言ってたよ。パイセンの住人たちって何なの? こんな育ち盛りの18歳にジャンクフードばかり与えていてはいかんでしょ。マーサって子に料理教えたけど、あの子、手伝うわけでもなく食ってるだけ。覚える気ないわ」

「よっしゃ、りこぴんにはオレがうまいもん食わせてやる。オレの料理以外にも肉フェス、築地、花火大会の屋台もいい。東京には色々ある」

りこぴんってなんでもおいしいおいしいってパクパク食べるからシェフ冥利に尽きる。頬をふくらませモグモグやってるりこぴんの笑顔を見ていると、可愛い!チューしたい!」

「待て待て。オレには役者を挫折した苦い経験がある。古参住人にそこをエグられて思わず嗚咽してしまったことがあったよ、オレのウェルカムパーティになんなんだよ!」

「はー。りこぴんのこと好きだなー。恋人になりたい。しかりこぴんは次世代アイドル。テラハ出演で名を売ろうとしているのは事務所の意向もあるだろうし、つきあうのはマズイよなー。元役者としてあの挫折感をりこぴんに味わせるわけにはいかない」

「オレこう見えて新劇出身なんだよ。だからシェークスピアとかやってた。りこぴん、若いから『ロミオとジュリエット』知らないだろーけど。これでいくべ。一部、状況が似てるから。」

「カメラの死角は把握した。キスしたいと申し出たら、まさかのオッケー!イエーイ!」

「最後はヘタ打っちゃったけど、フルコースの〆はデザートだ。シェフとしてここは譲れない。りこぴんにフルコースを提供してきた以上、とにもかくにもデザートは食べてもらわなければいかん。まぁ状況が状況だけに店に来てもらうことにしよう、TVショーだしな」

「は? 来ないの? んーんーんー。あ、オレ振られたってカタチね。そもそも公式につきあってたわけじゃないからいいけれど、ドラマってもんをわかってねーな。これじゃカタルシスがないだろうけど、テラスハウスに帰りますかー」

絵を描いてたら、テラシマの言い分にもそれなりに一理あることを理解した。人としてちょっとズレてるとこもあるけれど、それもご愛嬌だ。これほぼ妄想だけど。

りこぴんとの対話


りこぴんを描いていく。りこぴんの思念が入ってくるが、テラシマに比べればシンプル。バレの瞬間。
「あ、ヤベ、アタシ終わった。バーンズの野郎、何考えてんFだ。ま、テラシマくん10歳も歳上なんだからうまいこと取り成してくれるよね? は〜? 全然ダメじゃん。使えねーわ、こいつ」

「なんとか自力で清純イメージ回復しなきゃ。どうしたら有効打が打てるのかわかんないけど、とりあえずテラシマくんに泥を被ってもらうわ」

「試しにみんなの前でちょっと詰めてみたところ、案の定テラシマくんフニャフニャ。あたしの事好きって言ってじゃん? 遊びだったわけ? こんな感じで涙ながらに追求すれば、清純派のイメージは多少回復出来るかも。インスタ炎上してるだろうなー。でも番組はもうすぐ終わるし、最後に最高の笑顔をキメれば、なんとかなるはず!」

以上、やはり妄想でした。

しかし、絵を描いてはじめてわかることがある。緊急会議でのりこぴんの前髪は巨人の進撃を防ぐ壁のような堅牢さだった。

りこぴんの内面世界はもう5階F層くらいディープな思念が渦巻いてる。だが、いまのオレにはそれを言語化するキャパはもうない。りこぴんのカオティックな心情はきっと絵に現れているだろう。ぜひそこから読み取ってほしい。

結果的に、テラシマが泥を一方的に被りつつ、道化も引き受け、りこぴんのダメージは最小限で済んだと思う。テラシマって、なかなかの千両役者だ。もしオレが映画プロデューサーだったら妖術使いの忍者役とかでオファーしてみたい。

やっと名場面を振り返る


タモサンは、夏実(冬美)が去ってからすっかりいい人になり、結果、バーンズと結ばれた。おめでとー。アーマンの犬かきには大いに笑わせてもらった。番組終了ギリのタイミングでマーサと結ばれた。おめでとー。

初登場時の好感度の高さを最後までキープした半さんもよかった。「結局、いくら能書きたれたところで、建築家は建ててナンボなんだ……オレなんてまだまだ……」半さん、オレはずっと応援するぜ! 

など名場面はあったんだよ。でも「りこぴんBOMB」でぜんぶ吹っ飛んでしまった。

NETFLIXでは11月からハワイ編がはじまる。アーマンはハワイに帰ったが、彼の出演予定はないとされている……。ならば、いっそテラシマとりこぴんの再登場を! 

いやいや、このふたりはもういいや。ハワイより北極のような過酷な環境でのバチバチを期待する。

次週は、執筆者が交代し(レビュアーはサプライズゲストとの噂)、ほんとの大総括となります。新『テラスハウス』、最後の最後まで楽しみ倒しましょう!
(イラストと文/飯田和敏)