内村光良が監督をつとめた映画『金メダル男』が10月22日に公開となる。『ピーナッツ』『ボクたちの交換日記』に続き、監督三作目となる本作。テレビのレギュラーを多数抱えるなか、原作・脚本・監督・主演の4役をこなし、同時に小説執筆まで並行した内村監督。インタビュー前編では、豪華キャスト陣のエピソードを中心に撮影の裏側を聞いた。


「やっぱ『LIFE!』やってよかったなって」


──『金メダル男』では、内村さんとHey!Say!JUMPの知念侑李さんのW主演で主人公・秋田泉一を演じてらっしゃいます。内村さんと知念さんは『スクール革命』(日テレ系列)で共演されてますよね。以前、番組内で心理テストをやったとき、知念さんは内村さんのことを「どうでもいい人」と思ってるという結果が出ましたが……

内村:そうそう(笑)

(相手が差し出した手のなかから指を1本選んで握るという心理テスト。握る指によって相手のことをどう思っているかが分かる。知念は内村先生の小指を握り「"どうでもいい人"と思っている」と診断された)

内村:あれ撮影直後ですからね。あんだけ演出してやったのに、俺のことどうとも思ってない!(笑)

──1人の人物を知念さんと内村さんが演じたわけですが、知念さんが内村さんに寄せてきた部分はありましたか?

内村:出演が決まってから、『スクール革命!』のときの俺の言い方とか物腰とか、手の癖とかを盗んでいたみたいですね。 あと知念は左利きなんで、右利きの練習をしといてくれって言ったんですよ。映画の中でテニスとか卓球とか、箸を持ったりも右利きで自然にやってたでしょ?本当に習得能力が秋田泉一みたいに高い子で、「うめぇなこいつは」って思いましたね。ダンスもさすがジャニーズだなと。あの坂本龍馬のダンスのところは予想以上にいい画が撮れて、一番好きなシーンです

──逆に内村さんが知念さんに寄せたところは?

内村:俺は髪型を知念と同じ分け方にしたりとか、眉毛を濃く書いたりとか。顔の方を寄せましたね(笑)

──『金メダル男』には豪華キャストが多数出演されていて、その中には『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』(NHK総合)で共演されている田中直樹さんやムロツヨシさんもいます。映画で共演されていかがでしたか?

内村:いやもう、田中が素晴らしくて。試写会が何度かあるなかで、田中のシーンで間違いなく笑いが起こるんですよ。しかもあのシーン、テイク1でOKなんです。あの間が抜群なんですね。フレームアウトする感じがさすがプロだな、職人技だな、と。やっぱ『LIFE!』やってよかったなって思いました。

──ムロツヨシさんは劇団「和洋折衷」の座長役でした。

内村:ムロくんもね、いまメキメキと人気が出てきて、やっぱり上手いですから。こちらの意図通りにやってくれました。でも、劇団「和洋折衷」を撮っている時が俺、一番ナーバスになってたんですよね……あの日本語と英語が入り混じった桃太郎の踊りとか、この映画大丈夫かな!?と(笑)ムロくんに「全部カットになったらごめんね」って言うぐらい心配してたんですけど、編集してみたら意外に大丈夫で。結果、ムロくんは美味しかったですね。

──ムロさんはアドリブを入れてましたか?

内村:ムロくんが「和洋?」って言って、劇団のみんなが「折衷!」って返すところ、あれはムロくんが言っていいですか?ってきましたね。 ……渋々オッケーしました(笑)

ダンス、漫才、絵画、歌まで内村監督作



──ヒロインに土屋太鳳さんをキャスティングしたのも『LIFE!』がきっかけですか?(2015年5月、『LIFE!まれコラボSP』で土屋太鳳主演の朝ドラ『まれ』とコラボした)

内村:そうですね。アドリブの反応が早くて、すごいついてくる子だったんで。あと単純に「か〜わいいな〜」って(笑)これは絶対ヒロインの横井さんだと、ダメ元で頼みました。出演してもらえてラッキーでしたね。ダンスが上手いのも知っていて、知念との「ジャニーズ&創作ダンス全国大会出場」のコンビでアホな鳥のダンスを踊ったら面白いだろうなと思っていたので。あれもすごく好きなシーンですね。上手いんですよ、切れ味が鋭くて。


──ダンスと言えば、内村さんも木村多江さんと『ウリナリ』仕込みの社交ダンスを……

内村:「不眠不休ダンス大会」ね(笑)あれも別日取って稽古しました。多江さんもすごく練習してくれましたね。多江さんとは漫才もやりましたけど、あの衣装を見たとき多江さんすごい遠い目をしてましたね。私これ着るんだ……って(笑) 舞台に出る前はすごい震えていましたけど、出ていったらさすが女優さんで、ちゃんと割り切ったツッコミをやってくれました。

──ダンスも漫才もそうですし、内村さんは絵画や劇中歌まで作られていますよね。

内村:曲は自宅のクラビノーバで弾いて作りましたね。絵は……あれはね、美術さんに「こういう感じでお願いします」ってサンプルを描いて見せたら「これ面白いです」「リアルでいいですよ」って採用になったんですよ。俺も「まっ、いっか!」って(笑)それでもだいぶ描き直しました。いろいろやりましたね。ひとりで劇中の「表現部」をやってました。

師匠だから説得力のあるセリフを


──ベテラン勢もたくさん出演されています。秋田泉一のご両親(平泉成&宮崎美子)は50年分を演じられていたので、若く見せるのは大変だったかと……。

内村:もう、(平泉)成さんを若く見せるには大量のCGでやるしかないんですけど、そんなお金はないので(笑)もうだったらカツラで、笑ってくださいと。成さんもすごく理解がある方で「最後に向かっていけばいいんだから、最初は笑ってもらっていいんだよな」と、ズラを気に入ってずっとかぶってくれました。宮崎さんもキュートなお母さんを若い時からおばあちゃんまで演じてくださって。お二人には感謝しています。


──笑福亭鶴瓶さんも「関西弁の江戸前寿司職人」の役で出演されてます。様々なことに挑戦する秋田泉一に対する存在として、一つのことに打ち込んできた人物を登場させたように見えました。

内村:そうですね。あの寿司職人は泉一に結構重要な台詞を言うんですよね。あの年だから言える、酸いも甘いも噛み締めた、師匠だから説得力のあるセリフが言えるんじゃないかなと思って、鶴瓶師匠にお願いしました。ただ、笑いどころに悩むと本当に袋小路に入ってしまって……。鶴瓶師匠にもテイク10ぐらいお願いしちゃったんですよね。「ほんまもんの江戸前寿司をな」って関西弁で言うところを、ブルーリボン賞の人に10回も……(笑)後で悪いことしたなと思いました。やっぱりそれだけナーバスになってたんだと思います

l後編へつづく

内村光良
1964年7月22日生まれ、熊本県出身。[監督・脚本作品]『ピーナッツ』(06年)、『ボクたちの交換日記』(13年)[主な出演作品]●映画『七人のおたく』(92年/山田大樹監督)、『木更津キャッツアイ 日本シリーズ』(03年/金子文紀監督)、『ゼブラーマン』(04年/三池崇史監督)、『恋人はスナイパー 劇場版』(04年/六車俊治監督)、『サヨナラCOLOR』(05年/竹中直人監督)、『西遊記』(07年/澤田鎌作監督)、『内村さまぁ〜ず THE MOVIE エンジェル』(15年/工藤浩之監督)●TV ドラマ「バスストップ」(00年/CX)、「ぼくが地球を救う」(02年/TBS)、「西遊記」(06年/CX)、「ボクの妻と結婚してください。」(15年/NHK-BSプレミアム)

(井上マサキ)