仮想通貨「ビットコイン(BTC)」市場をめぐる動揺が中国で広がっている。直近では、投資詐欺の疑いが濃厚な「比特幣亜洲閃光電交易中心」の案件が伝えられた。投資資金が回収不能となる事例が報告されるなか、事件化する可能性が高まっている。北京商報などが10日付で伝えた。

同交易中心は、約9月前に発足。騰訊HD(テンセント:700/HK)の無料メッセージ専用アプリ「微信(WeChat)」を利用し、投資会員を募っていた。顧客資金をBTC市場で上手に運用すると説明し、高利を謳って投資するよう勧誘。元本はいつでも回収可能と説明したうえで、投資利益の分配金、投資実績に応じた奨励金を受け取る仕組みを整えていた。SNSで投資家を新たに勧誘した場合でも、奨励金が発給されると説明。少なくとも440人近くから、総額1億人民元(約16億8000万円)以上をかき集めていた。

毎日1.3〜1.4%ずつの投資利益を配分すると宣言。さらに多くの資金が集まるようになっていた。

BTCは2016年通年で270%も高騰。人民元レートが下落に転じるなか、多数の中国人が先を争うように投資してきた経緯がある。

ただ、相場は今年に入り乱高下を繰り返す。5日には、一瞬で2割も暴落する局面もみられた。一方、同交易中心は5日昼ごろ、サイトが突然閉鎖。数百人に上る会員たちは、連絡不能の状況に陥っている。近く集団訴訟が始まる見通しだ。

こうしたなか、当局は取引の管理に向けた動きに着手。中央銀行の中国人民銀行は6日、「ビットコインのリスクを防止するための通知」を発表した。また、第3者の預託機関を設置する方向で、検討に入ったとされる。同時に、主要な3つのビットコイン取引所の調査に乗り出したもようだ。

3大ビットコイン取引所は、「火幣網(huobi.com)」「幣行(w.okcoin.cn)」「比特幣中国(btcc.com)」。いずれも預託機関を設けていないだけに、資産の保管・管理が重要な課題として浮かび上がっている。取引の集中時には、発注が停止されるなどの不具合も発生していた。

「ビットコイン」は09年に誕生した仮想通貨。複雑な計算で作り出された数列で構成されており、だれでもどのコンピュータからでも“発掘”(仮想通貨の発見、取引承認作業)、購入、販売ができる。希少性やネットを経由した支払いコストの低さなどから、特に中国で人気化した。



ビットコイン市場の主要年表

2009年1月3日、世界1枚目のビットコインが“発掘”される。価値「ゼロ」

2013年12月5日、中国人民銀行など政府5部門が金融機関によるビットコイン取引を禁止

2014年2月28日、東京のMt.Goxが破たん。少なくとも85万ビットコインが消失

2015年1月11日、安値の1枚当たり900人民元(約1万5100円)まで値下がり

2016年1月20日、中国人民銀行が「デジタル通貨」の検討会を開催



【亜州IR】