避難区域の事業所の再生に取り組む福島相双復興推進機構の官民合同チームが公益法人化の手続きを進めている。与党提言でチームの法制化も盛り込まれた。組織の位置付けが明確になれば内外の認識も変わる。避難区域解除が相次ぐ中で、新たに生じる課題に的確に対応してほしい。 官民合同チームは発足から1年が過ぎた。延べ9000を超える事業者に接触を試み、約4000事業者を直接訪問した。事業再開に向けて助言し、企画を立案するコンサルティング着手件数は200に上る。人材不足や販路拡大の支援、設備投資の補助の紹介など活動は多岐にわたる。 業務の幅が広がり、チームには多彩な業種のスタッフが加わっている。6月に三菱商事から2人を迎えた。ヤマト運輸、パナソニック、富士通、清水建設からの5人を合わせ計7人が専門性を生かした活動を展開中だ。金融機関のOBも在籍している。 三菱商事の食品担当は6次化商品の開発など現場で活躍している。建設や流通などの分野では、業界の言葉が分かる専門家の対応によって訪問先での信頼感が高まっているという。今後、さらに必要な業種は増えるだろう、オールジャパンの取り組みとして民間企業側の積極的な参加と支援は欠かせない。 販路開拓支援も重要度を増してくる。8月にJR上野駅で催したテスト販売は食品関係の7つの被災事業者が出展した。購買者へのアンケートでは、品質は高く評価されたが、パッケージなどには一工夫が要るといったアドバイスがあった。官民合同チームから委託を受けたJR東日本企画は約200の事業者をサポートしていく方針で、東京などで随時、物産展などを企画するという。中小事業者では限界のある販路開拓支援には大いに期待したい。 避難指示の解除が進み、帰還先の生活環境整備が大きな課題として浮上している中、これからの官民合同チームには「まちづくり」の視点が求められる。グループ補助金や復興交付金を活用して事業再開を果たしたり、新規事業に乗り出したりしても、帰還先で安定した収益を上げ続けるのは容易なことではない。中でも中小の小売業などは一定の商圏や購買者がいなければ事業は成り立たない。 市町村や商工会との連携は一層、緊密にしなければならない。官民合同チーム内には、さまざまな仕掛けを戦略的に進める企画グループができた。外部から人を呼び込む事業の展開が今後の鍵になってくる。(安斎康史)