喜多方市で創業約180年の歴史を持つみそ・しょうゆの醸造業「井上合名会社(井上忠蔵代表社員)」が13日までに廃業した。「金忠(かねちゅう)」の名で親しまれ、市内を中心とした喜多方ラーメン店約40軒にスープの原料となるしょうゆを卸していた。会社側は「風評による売り上げ減少が要因」と説明している。 同社によると、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故後、風評などにより取引が減り、工場に併設する飲食店の来店者も落ち込んだ。売上総額は約7割減少したという。東電に平成23年度分の営業損害賠償を請求したが、手続きが煩雑だとして24年度以降は行っていなかったという。現在、弁護士が債権調査などを行っている。 同社が廃業したため、ラーメン店側はしょうゆを他社の製品に切り替えるなど対応に追われている。ある店の店主は「長く取引していたが、急な廃業に驚いている。別の醸造会社にしょうゆの調合を依頼しているが、完成までに時間がかかる。当面は在庫で対応するしかない」と話した。■店舗蔵など国文化財指定 井上合名会社は江戸時代の天保年間(1830〜44)初期に創業した。江戸末期に建てられた店舗蔵など3施設は平成25年3月に国登録文化財に指定され、多くの観光客が訪れる人気スポットになっている。同社は「今後の蔵などの利活用は未定」としている。