悪天候のインド。指揮官は「何も得ていない」

 今日、オーストラリア戦を迎えるU-16日本代表。既に決勝トーナメント進出を決めている状況ではあるが、いい流れをつくっていくためにもしっかり勝つことが重要だ。スタメンはこれまでと大幅に入れ替わることが予想される。そんななかで失点を抑えることがテーマとしてある。(取材・文:元川悦子【ゴア】)

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 AFC・U-16選手権(インド・ゴア)ですでに8強入りを決めているU-16日本代表。U-17W杯出場権のかかる25日の準々決勝の相手がUAEに決定し、森山佳郎監督も選手たちもさらなる闘志を燃やしている。

「そこに勝つまでは、10対0で勝っても、20対0で勝っても、何も得ていない。達成感は僕の中には何もないし、選手にも気持ちは共有してもらいたい。最後の決定戦で0-1で負けたら、何の得るものもなく帰らないといけない」と指揮官も語気を強めたように、世界切符獲得という最重要テーマに向け、まずは22日のB組最終戦・オーストラリア戦では課題や修正点の確認が重要だ。

 その一戦を翌日に控えた彼らは21日午後、ゴア南部のウトルダの練習場で前日調整を行った。9月も下旬に入り、徐々に乾季入りが近づいていた印象の現地だが、この日は本格的な雨季に逆戻りしたかのようにぐずついた空模様となった。

 こうした気候の変化が影響したのか、FWの山田寛人(C大阪U-18)が練習を欠席。オーストラリア戦の欠場が確実となった。負傷で前日病院に行った小林友希(神戸U-18)は姿を見せたが、トレーニングには参加せず、水出しなどのサポートに徹した。このため、練習は21人で進められることになった。

 森山監督のミーティングの後、いつも通りのランニング、体幹強化、2人1組のパス交換、コーンはマーカーを使ったアジリティ向上メニューが行われ、フィールドプレーヤーにビブスが配られた。

 主力組と見られる側に入ったのは、最終ライン右から桂陸人(広島ユース)、瀬古歩夢(C大阪U-18)、監物拓歩(清水ユース)、菊地健太(JFAアカデミー福島)、ボランチ・松本凪夫(C大阪U-15)、瀬畠義成(JFAアカデミー福島)、右MF鈴木冬一、左MF谷本駿介(ともにC大阪U-18)、2トップに上月壮一郎(京都U-18)、宮代大聖(川崎U-18)。

「オーストラリアで勝たないといい流れでいけない」

 19日のキルギス戦では前日主力組だった選手が外れ、久保建英(FC東京U-18)らが入るサプライズがあったが、指揮官も全員をピッチに立たせたいと希望しているため、今回はこの10人がまずはピッチに立つだろう。GKも入れ替わりながらプレーしていたが、2試合連続控えだった青木心(JFAアカデミー福島)の出場が濃厚となった。

 この陣容だと、前回から8人が入れ替わることになるだけに、連携面がやや不安視される。そういう時こそ、守備陣がしっかりとチームを統率し、失点をゼロに抑えなければならない。瀬古とセンターバックコンビを組む186cmの長身DF監物は、小林の離脱もあって、より重責が託される。そのことは本人もしっかりと自覚している様子だ。

「(小林選手が)いてもいなくても自分はしっかりやらないといけない。出ても出なくても、絶対にこのチームのために全てを出さないといけないと思うので、そこは変わらないでやっていきた。オーストラリアで勝たないといい流れでいけないので、次の試合は失点ゼロで抑えて勝っていい流れで決定戦に行けるように頑張っていきたいです」と彼は言葉に力を込めていた。

 清水エスパルスのアカデミー所属選手ということで、清水の先輩に当たる斎藤俊秀コーチには特別なリスペクトを抱いている。

決勝Tへ向け、失点ゼロにできるか

「斎藤さんが先輩だってことは知っていますし、プレーも見たことがあります。今日も(斎藤コーチが控え組に入って)一緒にやりましたけど、とにかくうまい。相手に蹴られた時の反応がすごく速いし、ポジションの取り方も自分の考えていることの1つ2つ上を行っている。斎藤さんに教えてもらって自分がすごくよくなっていると思います」

 監物はこの発言通り、かつて日の丸を背負って98年フランスW杯に参戦した指導者の教えをピッチ上で実践して、今大会3試合無失点の原動力になるつもりだ。

 そして、ここまで2試合スタメン出場した谷晃生(G大阪ユース)に代わってゴールマウスを守ると見られる青木も「GKの仕事はゼロに抑えること」と強調。オーストラリア攻撃陣完封を自らに課している。

「映像でセットプレーとかも見せてもらいましたけど、クロスの対応っていうのは結構大事になるかなと。自分のストロングポイントはクロス(対応)だと思っているので、そこはしっかり出していきたい。守備のところは『粘り強く』っていうのはホント大事になってくる。そこはみんなで共通意識を持ってやりたいと思います」と彼は自分のやるべき仕事に徹していく考えだ。

 この青木が憧れのダビド・デヘア(マンチェスター・ユナイテッド)のような存在感と落ち着きを示し、チーム最長身の監物が高さとパワーで相手を凌駕してくれれば、日本は危なげなく勝利できるはず。そんな理想的な戦いを期待したい。

(取材・文:元川悦子【ゴア】)