3戦連続大勝の日本。オーストラリア戦は控え組が奮起

 インドで開催されているAFC・U-16選手権に出場しているU-16日本代表は、22日にグループステージ第3戦でオーストラリアと対戦して6-0で勝利。初戦のベトナム戦、第2戦のキルギス戦に続いて大勝を収めた。攻撃陣は6人で15得点を挙げており、最も競争力の高いポジションでもある。選手たちは互いに刺激し合い、成長を続けている。次のUAE戦は2大会ぶりのU-17ワールドカップ出場権獲得が懸かる重要な一戦となるが、森山佳郎監督は躍動する攻撃陣に「嬉しい悩みですね」と語っていた。(取材・文:元川悦子【ゴア】)

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 16日の初戦・ベトナム戦と19日の第2戦・キルギス戦に2連勝し、AFC・U-16選手権(インド・ゴア)グループB組1位通過を早々と決めたU-16日本代表。22日のオーストラリア戦は消化試合となったが、森山佳郎監督筆頭にチーム全体が「U-17ワールドカップ出場決定戦(25日=UAE戦)につながる重要な一戦」という共通認識を強く持って、グループ最終戦に挑んだ。

 前日練習でここまで控えだった選手の多くを主力組に抜擢していた通り、指揮官はキルギス戦から8人を大胆に入れ替えた。

 先発に名を連ねたのは、GK青木心(JFAアカデミー福島)、DFは右から桂陸人(広島ユース)、瀬古歩夢(C大阪U-18)、監物拓歩(清水ユース)、菊地健太(JFAアカデミー福島)、ボランチには松本凪夫(C大阪U-15)と瀬畠義成(JFAアカデミー福島)、右MF鈴木冬一、左MF谷本駿介(ともにC大阪U-18)、2トップに宮代大聖(川崎U-18)と上月壮一郎(京都U-18)の11人だった。キャプテン・福岡慎平(京都U-18)も、2戦4得点の久保建英FC東京U-18)もベンチから戦況を見守った。

 開始早々に相手のミスを突いて結果を出したのが上月。開始4分にいきなり先制ゴールを決めたのだ。

 キルギス戦で「言われて動くようなやつは出さない、と。このピッチに立つには、心も体も100%で準備ができてなかったら出さないってだけの話」と森山監督にバッサリと切り捨てられ、久保にスタメンの座を奪われた彼は「2試合目で出れなくてすごく悔しかったんで、この試合に賭ける思いは誰よりも強かった」と闘争心をむき出しにしていた。それがいきなり結果につながり、チームにも大きな弾みがついたはずだった。

 だが、ここから20分間で数多くの決定機を逃したことで、日本は相手にぺースを握られてしまう。松本と瀬畠の両ボランチが低い位置を取りすぎて最終ラインに吸収されたうえ、タテに急ぎすぎて何度もカウンターを繰り出されたのが、バタバタ感の要因だった。この時間帯は失点を食らってもおかしくなかったが、日本は瀬古を軸に何とか乗り切って後半へとつなげることができた。

攻撃陣が躍動。森山監督も…「嬉しい悩みですね」

 そして後半開始11分、左サイドからのクロスを鈴木が折り返したところに宮代が詰めて待望の2点目をゲット。「この2点目が大きかった」と森山監督も強調したように、日本は背番号11の一撃で勝利をほぼ確実にした。

 その後、瀬畠、松本、上月、後半途中に宮代と代わった棚橋尭士(横浜ユース)がゴール。守備陣も青木中心に相手のビッグチャンスを阻止し、終わってみれば6-0。グループリーグ通算21得点という派手な結果で、日本は大一番への挑戦権を得たのである。

 この3試合でGK大内一生(横浜FCユース)を除く22人がピッチに立ち、3戦連続無失点で乗り切ったことは、森山監督も大きな収穫と位置づけている部分だ。

「サッカーだからうまくいかない時間があるのは当たり前。今日も前半は厳しかったが、我慢してゼロで抑えた。青木の超スーパーセーブもあったし、サブメンバー中心でこのゲームをやれたんで非常に自信になるし、日本の底力を見せられたかなと思います」と指揮官も前向きに語っていた。

 通算21得点の大半をFW陣が挙げているのも、今後に向けての力強い材料だ。オーストラリア戦で棚橋が1点を加えて通算4点の久保に並び、宮代と上月、この日出番なしだった中村敬斗(三菱養和)が各2点、今回体調不良でベンチ外になった山田寛人(C大阪U-18)も1点と、前線のアタッカー陣だけで合計15点もの数字を叩き出したことは、やはり特筆に値する。

「(山田を含めてUAE戦に)前線の誰を出すかは大激戦ですね。あと(練習が)2日あるんで、しっかり悩みたい。これは嬉しい悩みですね。前のやつらが点を決めて、それぞれの持ち味を出しているんで」と指揮官も目を輝かせていたが、彼らが高いレベルでしのぎを削ってくれれば、チーム全体が活性化されるのは確かである。それは上月も指摘していた点だ。

「前線の選手が結果を残してみんなが刺激し合うことで、より強い前線が生まれる。誰が出ても刺激し合えるような、そんな前線にしていきたいです」と彼はさらなるサバイバルに向け、今一度、気持ちを引き締めていた。

UAE戦に勝利すれば2大会ぶりのU-17ワールドカップ出場権獲得

 さしあたって、UAE戦の前線に誰を起用するのか。それは森山監督にとっての重要命題と言っても過言ではない。ここまでの流れを踏まえると、ゴールとチャンスメークで異彩を放っている久保を右MFに据えるのは確実。左MFは上月の可能性も出てきたが、中村が最有力候補と言える。

 2トップはゴールラッシュを見せている棚橋が山田に代わってレギュラー格上げとなり、宮代とコンビを組むのではないだろうか。棚橋と宮代は今大会に入ってまだ一度も同じピッチ上でプレーしていないが、鋭いドリブルとキレのある動きが光っている棚橋とオールラウンドの能力を備える宮代なら、息の合ったコンビを見せてくれるはずだ。

 彼ら前線4枚がUAEゴールを切り裂き、2大会ぶりのU-17ワールドカップ出場権をもぎ取ってくれれば、日本サッカー界にとっても朗報だ。

 実際、UARにはA代表が2018年ロシアワールドカップアジア最終予選初戦(埼玉)で苦杯を喫したという因縁もあるだけに、絶対に負けられない。

「僕たちが借りを返すって意味でもそうですし、ワールドカップの切符をつかむために僕たちは1年半やってきたんで、その集大成を出すだけです」という菅原由勢(名古屋ユース)の発言通りの結果を、森山監督率いるチームには強く求めたいものだ。

(取材・文:元川悦子【ゴア】)