リーガの6試合で6つの布陣を採用

 アウェイでのアスレティック・ビルバオ戦で、リーガエスパニョーラ開幕後初となる黒星を喫したセビージャ。日本代表MFの清武弘嗣ベティスとのダービーマッチにひき続き、出場機会を得られなかった。アルゼンチン指揮官、ホルヘ・サンパオリは試合ごとに大きく陣容を変えているが、そのようなローテーションは必要なのだろうか。(取材・文:ロシオ・ゲバラ【セビージャ/マルカ】、翻訳:フットボールチャンネル編集部)

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 どこから話を始めるべきだろうか……。サン・マメスでのアスレティック・ビルバオ戦で、サンパオリのセビージャは初黒星を喫した。いつかは訪れるべきものだが、むしろ不思議なのはもっと早くその時が来なかったことだ。ビジャレアル戦やラス・パルマス戦は最後まで結果がどう転んでもおかしくなかったし、エイバル戦でのセビージャは冴えない戦いをしていたからだ。

 土曜日のビルバオでの試合のように、負けるべき戦いをすれば負けるものだ。いくらナスリがチームの中心になろうと奮闘し、前線をサポートしつつ後方からプレーを組み立てるためセンターバックの前まで下がってきていても、周囲はそれに噛み合わなかった。マリアーノやサラビアは時折絡んでいたが、それくらいだ。

 アルゼンチン人指揮官は、リーガの6試合で6つの異なる布陣を用いた。そのローテーションの方針に沿って、ベティスとのダービーマッチを制したメンバーからまたも半分以上を変更。シリグ、コロジエチャク、クラネビッテル、サラビア、コレア、カルロス・フェルナンデスが先発入りとなった。そのシリグがPKと退場の場面で披露した愚行については、もう少し先で語ることにしよう。

 メンバー変更が正当化されるのは、その賭けが的中した場合だ。だがセビージャは、試合が始まるとすぐに守備面の力不足を露呈し、危険を生み出す局面においても無力だった。程なくセビージャのゴール前へ顔を出し始めたビルバオは、30分が過ぎたところで最初のゴールを奪う。CKからの低いボールをデ・マルコスが触ると、ボールは誰も妨害する者のいないサン・ホセのもとへとこぼれた。

試合日程は休みを与えず。我慢を求めるのは贅沢

 ナスリは昨季までのバネガの役割をこなそうと努め、チームを操りプレーを動かしていた。その能力に疑いの余地はない。マンチェスター・シティからのレンタルでやって来た選手が力を発揮したおかげで、セビージャは少し何かを見せられるようになってきた。ビルバオでの試合で明確な意識を持っていた唯一の選手であり、後半立ち上がりに生まれた同点ゴールの立役者だった。自らプレーを生み出し、最後は高い打点からのボレーを叩き込んだ。

 セビージャファンはアドゥリスの退場やイボーラへのPKを要求していたが、エルナンデス・エルナンデス主審は障害のひとつでしかなかった。本物の敵は、同点後にトーンダウンしてしまったセビージャ自身だった。

 バレンシアガはセビージャのミスの連続を逃さず、ゴールががら空きになった隙を突いてリーガでの初ゴールを記録。ポジショニングも、説得力も、積極性も、セビージャは何もかもどこかに置き忘れてしまっていた。ビトーロ、フランコ・バスケス、ビエットが投入されたが、結局はナスリの閃きが全てであり、誰もそれに付いてきてはいなかった。あとは、とにかくシリグだった。

 イタリア人GKは、ビルバオの2点目の場面でポジショニングを誤ったのに続いて、愚かな退場劇で反撃の望みを完全に潰してしまった。何の意味もない肘打ちをアドゥリスに食らわせる姿に、セビージャファンは何を思っただろうか。退場とPKは当然だった。イボーラがゴールを守ったが、アドゥリスがセビージャに最後のとどめを刺した。

 サンパオリについては、彼のプレー哲学を浸透させるために時間が必要だとも言われる。だが試合日程は休みを与えてはくれないし、この時期に我慢を求めるのは贅沢すぎることだ。プレーの最後を締めくくるファイナルサードでの精度が欠けていると監督は言うが、足りないものはそれだけではない。

直近2試合で清武は代案にならず

 シリグがセルヒオ・リコに代わって出場したのも、サンパオリのローテーションの一環だった。コンディションが同じなら両方に出場機会を与えると監督は言っていたが、現時点ではカンテラ出身のリコがイタリア人GKの二歩は先を行っている。リコがこれまでの試合で決定的なセーブを披露してきたのに対し、ビルバオでのシリグは場違いな存在でしかなかった。

 コロジエチャクが戻ってきたのもローテーションだった。左サイドを危険に晒していた彼は、不正確なプレーにより一度サンパオリから外されていた選手だ。ビルバオ戦でも何も改める様子はなく、窮地に陥って精度を欠くプレーをしていた。

 ロングボールを送っても、カルロス・フェルナンデスはビルバオの獅子たちの間に飲み込まれて消えてしまっていた。ベン・イェデルはといえば、またしても招集外とされてセビージャに残っていた。ラミとカリーソの負傷によりセンターバックを務めたメルカドは引き続き仕事を遂行しており、クラネビッテルは前進している。コレアは、サン・マメスのような場所ではもう少し強さが必要だった。

 清武はどうだろうか。サポートを提供することができ、運動量も推進力も、ラストパスのクオリティもある。プレスをかわす力もシュート力もあるが、リーガのここ2試合ではサンパオリにとっての代案にはならなかった。

 火曜日にはチャンピオンズリーグ(CL)が戻ってくる。今季初めての、サンチェス・ピスファンでのCLの試合だ。正しいやり方を求めて、また新たなローテーションが実行されることになるだろう。オリンピック・リヨンと観客席のファンが、セビージャのプロジェクトに対する試験官となる。

(取材・文:ロシオ・ゲバラ【セビージャ/マルカ】)