現時点でのベストをぶつけたドルトムント

 チャンピオンズリーグ(CL)グループステージ第2節、レアル・マドリーをホームに迎えたドルトムントは、昨季王者を相手に真正面から立ち向かった。勝利こそ逃したものの2-2で引き分け、その「実力」を示したと言えそうだ。香川真司はベンチ外となったが、これは純粋に序列の問題と考えられる。(取材・文:本田千尋【ドルトムント】)

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“実力”を証明した。2016年9月27日のチャンピオンズリーグ(CL)グループF第2節、ドルトムントはホームにレアル・マドリーを迎える。

 レアル戦をドルトムントは[4-1-4-1]でスタートする。

【GK】ビュルキ
【DF】右SBピシュチェク、右CBソクラティス、左CBギンター、左SBシュメルツァー
【MF】ボランチにヴァイグル、右SHデンベレ、左SHゲレイロ、右インサイドハーフにカストロ、左インサイドハーフにゲッツェ
【FW】オーバメヤン

 香川真司はベンチ外となった。

 レアルに対して監督トゥヘルは、現時点におけるドルトムントのベストをぶつけた。奇策に出ることもなければ、[5-3-2]といった超守備的布陣を敷くこともない。今季これまで培ってきたもので、真正面から“エル・ブランコ”に挑んだ。

 一方でレアルの監督ジダンはドルトムント対策を練ってきたようである。ボランチのヴァイグルを中心としたビルドアップを封じるために、ほぼマンツーマンで守備を敷いてきた。ソクラティスとギンターの両CBにはベイルとロナウドが、ヴァイグルにはハメスが当たる。ゲッツェとカストロの両インサイドハーフにはモドリッチとクロースがマークする、といった具合だ。

 しかし、決してレアルは受け身に回ったわけではない。守備で主導権を握った。ボールを持たずとも試合をコントロールすることは可能だ。そうしてドルトムントは序盤の攻勢を凌がれると、17分、ロナウドに先制を許した。モドリッチが大きく左にサイドチェンジして、レアルはダイナミックなカウンターに出る。最後はハメス、ベイル、ロナウドの3人にペナルティエリアの右を崩された。1-0。

レアル相手でも真っ向勝負を挑み続ける

 それでもドルトムントは前半をしぶとく戦う。そして終了間際の45分に同点に追いついた。ゲレイロの直接FKはGKナバスに弾かれるが、ボールはDFヴァランに当たる。こぼれたところを、オーバメヤンが押し込んだ。1-1。

 トゥヘルが格上に対して引かない姿勢を見せるのは、今季これが初めてではない。8月に行われたスーパーカップでも、バイエルンを相手に果敢に挑んでいる。もちろん監督がグアルディオラからアンチェロッティに代わって、チームが出来上がっていない状態だったこともあるが、昨季の後半戦のようにバイエルンに対して[5-3-2]の布陣で引いて構えることはなかった。

 そんな“トゥヘルの勇気”は、後半の交代策にも見て取れる。58分にはゲッツェに代えてシュールレを投入。シュールレは左SHに入り、ゲレイロが左インサイドハーフに入った。1-1では飽き足らず、攻撃的なカードを切る。

 68分にヴァランに勝ち越し弾を許すと、73分にデンベレに代えてプリシッチ、77分にゲレイロに代えてモルを投入。相手の足が止まり始める終盤にかけて、スピードを持ち味とするドリブラーをピッチに送り込んだ。もちろん1-2とリードされたこともあるが、レアルに対して真っ向から挑み続けた。

香川ベンチ外は純粋に序列の問題

 トゥヘルの勇気が結実したのは87分。プリシッチが右サイドをドリブルで突破する。クロスを入れると、オーバメヤンがエリア内中央で潰れて流れたボールを、ワントラップからシュールレが左足で打ち込んだ。2-2。

 香川がベンチ外となった理由は、この辺りにあるのかもしれない。シュールレが戦列に復帰してベンチ入りし、プリシッチやモルといった終盤に勝負をかけることのできるジョーカータイプを取り揃えるためだ。

 しかしレアル戦では、現時点でトゥヘルはインサイドハーフのポジションをカストロ、ゲレイロ、ゲッツェの3人で考えているということがはっきりとした。昨季の後半戦のバイエルン戦で香川は、戦術的な理由でベンチ外となったが、今回は純粋に序列の問題と言えそうだ。ここから巻き返してベンチ入りして、試合に出場するために、香川としては再び練習からアピールする必要があるだろう。

 試合は2-2のドローに終わった。そしてドルトムントは、決して“勢い”ではない“実力”を示した。レアルは本調子ではなかったかもしれないが、昨季CL王者を相手に、2度追いついて負けなかったことは、紛れもない自信に繋がったはずだ。

 シュールレは言う。

「グループで最も強いライバルから勝ち点1を掴んだ。僕らは満足することができる」

 しかし勇気と実力を証明しつつ、トゥヘルは満足してはいないようだ。
「我々はまだ良くすることができる」

 ドルトムントは、本物の勢いに乗りつつある。

(取材・文:本田千尋【ドルトムント】)