清武の前に立ちふさがるサミル・ナスリ

 UEFAチャンピオンズリーグ、グループステージ第2節リヨン戦でベンチ入りするも出場機会の得られなかった清武弘嗣。CLデビューはならず、ここのところ出番なしが続いている。だが、日本代表MFは適応に失敗しているわけでも、サンパオリ監督の信頼を失っているわけでもない。競争相手には名手が揃っているが、セビージャの背番号14にもチャンスは訪れるだろうと指揮官は語っている。(取材・文:ロシオ・ゲバラ【セビージャ/マルカ】、翻訳:フットボールチャンネル編集部)

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 代表戦による中断以来、清武弘嗣はセビージャが戦った最近の試合で出場機会を得ることができていない。火曜日に行われたチャンピオンズリーグ(CL)のグループステージ第2節、オリンピック・リヨン戦もまた同じだった。招集メンバーには含められた日本代表MFがだが、今回もベンチから試合を見守り続けることになった。

 清武は、セビージャやリーガエスパニョーラに適した選手ではないのだろうか? サンパオリに好まれていないのだろうか? 適応に問題があるのだろうか? そのいずれでもない。セビージャでの彼の前進を阻んでいる一人の選手がいる。サミル・ナスリである。

 本来の姿を取り戻すべく、買い取りオプション無しの期限付き移籍の形で今季セビージャに加入したフランス人MFは、アルゼンチン人指揮官のシステムに力強く割って入った。プレミアリーグで再評価され、何よりグアルディオラ監督の評価を得るためにトップレベルの輝きを取り戻す必要があったナスリは、ここ最近のプレーを通して上質な選手であることを改めて証明している。サンパオリ監督の推進する激しく熱情的で攻撃的なサッカーを実現できていなかったセビージャを先導する力を持った選手だ。

 セビージャでのCL初出場となったリヨン戦では、彼の存在がチームのプレーを楽にする役割を果たし、後半の戦いぶりは今シーズン最高のものとなった。招集メンバーと先発に復帰したベン・イェデルが監督からの叱咤激励に応え、後半立ち上がりにこの試合の唯一のゴールを奪ってみせた。

指揮官は清武にも機会は来ると語る

 ナスリはリヨン戦でボールポゼッションの9.6%を占め、セビージャで最もボールを持っていた選手だった。さらにGKロペスの守るゴールに向けて4本のシュートを放っており、これもビエットと並んで最多。63本のパスを成功させ、11回ボールを奪い返していた。

 サンパオリ監督はシステムもメンバーも入れ替えると試合前に話していたが、現状ではナスリがセビージャの布陣の鍵を握っている。サン・マメスではスペインでの初ゴールを記録し、チームの進むべき道を示す針を持った選手であることをサンパオリ監督に示した。これまでリーガで3試合(ラス・パルマス戦、ベティス戦、ビルバオ戦)と、今回のサンチェス・ピスファンでのCL初戦を戦い、徐々に調子を上げてきている。

 最近の清武の欠場について会見場で質問を受けたサンパオリ監督は、ナスリの好調ぶりがここ数試合での他の選手たちの投入に繋がったことを認めつつ、清武にも機会は巡ってくると保証した。「清武はチームに活力をもたらしてくれる。機会が訪れた時には応えてくれるだろう。ナスリ、ビトーロ、サラビアなど、そのポジションは選択肢が豊富なんだ」と話していた。

3つの大会を戦うセビージャ。機会は十分にある

 清武はセビージャの最初の公式戦4試合中3試合に先発出場し、欠場したのはバルセロナとのスパイン・スーパーカップ2ndレグのみ。それも1stレグで敗戦がほぼ確実となっていた試合だった。だがエイバル戦以降は、サンパオリ監督が様々な布陣を用いる中で、清武は主役の座を失ってしまっている。

 ここ最近の試合では、清武の不在を惜しむサポーターも多かった。欠場の理由は監督の提示する戦い方によるものだ。ヨーロッパで、あるいはセビージャで成功するために清武に何も欠けているわけではない。そのために必要な条件は有している。だがナスリがやって来たこと、チームの戦い方を見つけるため変化を加える必要があったことで、外れるのは清武ということになった。

 その時を待つしかない。サンパオリ監督のプランの中に清武弘嗣をどう組み込むのか、確認できる機会は十分にやってくるだろう。6試合を戦い終えたリーガはまだ始まったばかりであり、CL決勝トーナメント進出に向けた視野も良好(ユベントス戦とリヨン戦を終えて勝ち点4)。これからコパ・デル・レイも控えている。3つの大会で可能な限りの前進を目指していくセビージャには、メンバー全員の準備ができていることが必要になる。ナスリも清武も、コレア、フランコ・バスケス、ガンソも、誰に出番が回ってくるとしてもだ。

(取材・文:ロシオ・ゲバラ【セビージャ/マルカ】)