清武はチャンスを活かさないと」「日本人選手はCLのレベルにない」

 日本代表は6日、ロシアワールドカップアジア最終予選でイラク代表と対戦して2-1の勝利を収めた。この試合中、現地埼玉スタジアムで取材をするイングランド人ライターのショーン・キャロル氏に随時話を聞いた。

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――まず、この試合の注目選手は誰ですか?
「気になったポイントはもちろん香川がいないことだね。清武はこのチャンスを生かさないといけない」

――香川は代表でも低調なプレーが続いていましたし、ドルトムントでも試合に出場できていないですからね。
「最近は活躍してないので、ずっとスタメンだとは少しびっくりするね」

――イラク戦は引き分けも許されません。
「間違いなく。この2試合は勝ち点4が最低限の目標。でも、イラクは2連敗中だからモチベーションは結構あるね。もしハーフタイムまで0-0なら、イラクは自信を持つはず」

――本田の発言についてはどう思いますか?
「個人的に、両方は良くないと思う。ずっと自分のチームにブーイングするのはダメだけど、ずっと応援するのも意味がない。スタジアムの雰囲気は、試合の流れ次第であるべきだと思う。勝てば嬉しい、負ければブーイングするということではない。すごく微妙なところ。いろんなことが絡み合うので、全ての思いを合わせないといけない」

(※)ミランのサポーターが自チームの選手たちに対して容赦ないブーイングを浴びせることについて「ミランはブーイングがありすぎてダメ」「愛情がない」などと発言したこと。

――海外組の多くが試合に出場できていないことはどう思いますか?
「ヨーロッパのクラブではベストイレブンだけではなく、ベスト20、あるいは22ね。もし結果を出せなければ試合に出られない」

――香川、岡崎、清武はいまだ今季のチャンピオンズリーグ(CL)に出場できていませんね。
「日本人選手はあまりCLのレベルについていけていない。みんな良い選手だけど、クラブの主力は一人もいないね。4、5年前のドルトムントの香川やセルティックに居た(中村)俊輔のような存在感はない。今、そのような選手はいない」

「10番は清武の方がいいのは当然」「自信があるし、緊張してない」

――前半20分が経過しましたが、なかなか攻撃のリズムを作れてないですね。
「ずっとイラクペースだね。得意の“タイム・ウェイスティング”(=時間の浪費のこと)が始まった」

――清武のアシストから原口が先制点を決めました!
「清武の動きも良かったし、ラストパスも良かった。パニックになってなかったね。ちゃんと見て、落ち着いてパスを出した」

――自分でパスを出して、オーバーラップして、アシスト。素晴らしいプレーが続きました。
「自信があるし、緊張してないね。ミスを怖がってない。それは10番にとても大切なこと」

――10番は清武の方がいいですか?
「はい。今は当然だと思う」

――原口はタイ戦に続いてゴールを決めました。
「決定力あるね。ヨーロッパに行ってから成長したと思う

――前半は1-0で日本のリードで終えました。印象はどうですか?
「立ち上がりは少し遅かったが、徐々に日本ペースになった。チャンスはちょっと少ないけど、イラクの攻撃は大体抑えられた」

――後半に注目したい選手は?
「注目は本田。右より中に入ってプレーした方が良い。ベンチから見たい選手は斎藤。何か違いを生み出せる選手だからね。最近のJリーグですごく調子がいい。あのようなドリブラーは非常に少ない。原口とはまた違ったタイプ」

「今の展開では負ける可能性もある」

――日本はセットプレーから同点に追いつかれてしまいました…。
「またセットプレー…。集中力かな。今の展開では負ける可能性もある」

――ハリルホジッチ監督は柏木に代えて山口を投入しました。
「蛍か…。ちょっと分からない」

――日本は同点に追いつかれて焦っているように見えます。
「攻撃のアイデアが少ないね」

――勝ち越すためには何が必要ですか?
「ゼロから生み出すことができる選手が必要。齋藤か浅野がいい」

――その浅野が岡崎に代わって投入されました。
「ワンチャンスが絶対に来る。その時に決められるかどうか…」

――本田、交代直前のヘディングシュートはポスト直撃。勝ち越しには運も必要なんでしょうか?
「いや、運じゃないと思う。世界レベルでそのチャンスを活かさないと」

――時間は残り5分…。引き分けが近づいてきました。
「この状況、日本代表の試合では良くあるね。ずっと主導権を持つことができない。だからこそ、最後の10分はパワープレーになる」

――でも、日本には高さのある選手はいないですね。
「それにもかかわらず、パワープレーは日本のスタイルじゃない」

――パワープレーは“自分たちのサッカー”ではないですからね…。
「そうですね」

「W杯予選にドラマはいらない。できればスムーズに勝ちたい」

――このまま試合終了だとW杯出場が…と思ったら、山口が劇的な逆転ゴールを決めました! このゴールで日本が勝利を収めています。
「信じられない。凄かったね。冷静に決めた。でも、パフォーマンス的に勝ち点3に値する試合だったかどうかは分からないね」

――山口はこの日が誕生日のようです。彼にとっては特別な日になりましたね。
「そうだね。完璧なお祝いだった。最近の蛍はセレッソであまり良いパフォーマンスを見せられてないけど、あのシュートで本当のクオリティを見せた」

――苦しい展開でしたが、W杯出場のためにはこういったゴールも必要ですね。
「逆にこういう展開になったので、あのようなドラマチックなゴールが必要になった。もししっかりとゲームコントロールが出来たていたら、あのようなゴールは必要なかった。もちろん劇的でとてもスペクタクルになったが、W杯予選ではドラマはいらないね。できればスムーズに勝ちたい」

――試合全体の印象はどうでしたか?
「正直ほっとしたね。ポジティブな考え方で見ると、最後まで諦めなかったので精神的に勇気があった。でも、ネガティブの考え方で見ると絶対に勝たないといけないゲームでギリギリの勝利だった。成長をするためには、ネガティブな考えの方が価値がある。今日は勝ったけど、日が違えば負けていてもおかしくない」

――次のオーストラリアはさらに強い相手です。
「その試合の展開はこれまでと違うと思う。オーストラリアはホームだし、アジア王者だからイラクより攻撃的かな」

――オーストラリアは格上なので、これまでとは違った戦い方が必要になりそうですね。どういう戦いをするべきでしょうか?
「自分のプレーに自信を持たないと。オーストラリアに押される時間は結構あるはずだから、冷静に対応しなければならない。そして、チャンスが来た時に必ず決めなきゃ」

――ありがとうございました。次の試合もよろしくお願いします。

▽語り手:ショーン・キャロル
1985年イングランド生まれ。2009年に来日。「週刊サッカーマガジン」「デイリーヨミウリ」「Jリーグ公式ウェブサイト」などに寄稿。高校サッカー、Jリーグ、日本代表など幅広く取材している。過去にはスカパーのJリーグ番組出演も。