豪州得意のセットプレーにはパターンが

 今日オーストラリアとのアウェイ戦に挑む日本代表。要注意点は多々あるが、そのうちの1つがセットプレー。明確に高さで不利な状況にあり、豪州は伝統的に空中戦に強い。また、イラク戦ではFKからセットプレーで日本は失点するなど不安要素でもある。(取材・文:河治良幸【メルボルン】)

——————————

 ハリルJにとって予選の大一番になるアウェイのオーストラリア戦。見所は多いが、勝負のポイントになるのはセットプレーの守備だ。オーストラリアの高さを生かしたコーナーキック(CK)やワイドな位置のフリーキック(FK)を跳ね返すことができるか。

 イラク戦はCKから酒井高徳がMFアブドゥラミールに競り負けヘディングで失点してしまったが、オーストラリアの高さがさらなる脅威となることは間違いない。

 オーストラリアはCKや間接的なFKの場合、正確な右足キックを誇るMFムーイがプレースキッカーを担う。そして通常は6人の選手がゴール前のターゲットとなり、ペナルティエリアの手前に2人の選手が構える。セカンドボールの奪取や流れたボールを折り返し、ミドルシュートなどでフォローする。

 なお、ショートコーナーを選択する場合はFWのクルーズがキッカーの近くに寄り、ボールを受ける形を採っている。ゴール前の細かい配置はムーイが狙う位置によっていくつかあるようだが、中央に【3-1-2】あるいは【2-4】といった縦長の隊列を作っておき、キックの瞬間にニアとファーに割れるのが約束事になっているようだ。

 気になるターゲットの選手だが、センターFWのユリッチ(189cm)をメインターゲットとしてセインズバリー(184cm)とスピラノビッチ(188cm)のセンターバック・コンビ、アンカーのジェディナク(188cm)、大型ウィングのレッキー(181cm)、そして右サイドバックのミリガン(178cm)かマッガワン(185cm)が務める。ミリガンの場合は平均184.7cm、マッガワンだと185.8cmとなる。

明確なディスアドバンテージ。5cmが大きな差に

 世界を見渡しても、このクラスに匹敵する国となるとベルギーやデンマークなどかなり限られる。またペナルティエリアの手前にはロギッチ(188cm)とクルーズ(179cm)がおり、変化や厚みを加えてくるから厄介だ。

 前節のサウジアラビア戦では左CKからセインズバリーがヘッドでゴールを決めたが、ミリガンがニアに走って潰れ、その手前でユリッチが2人と競る頭上をわずかに越えたボールを決めた形だった。

 高さだけでなく、その持ち味を生かす戦術を持つ相手のセットプレーを防ぐ確率を高めるために、ハリルホジッチ監督が選手起用で対策を講じてくるかどうかが注目だ。

 日本はイラク戦のメンバーだと吉田麻也(189cm)、森重真人(183cm)、酒井宏樹(185cm)、長谷部誠(177cm)、酒井高徳(176cm)、原口元気(177cm)が相手ターゲットのマーク役で、本田圭佑(182cm)は主にニアのストーンとして、ゴールマウスよりキッカー寄りの位置でクルアする役割を担う。

 イラク戦でもCKをヘッドでクリアする場面があった。オーストラリア戦は酒井宏樹が出定停止となるため、酒井高が右サイドバックに回り、左に太田宏介(179cm)か槙野智章(182cm)が入ると予想されるが、上背と空中戦の強さで槙野が優先される可能性は低くない。

 仮に槙野が加わったとしても、6人の平均身長は181.2cmでオーストラリアより5cm低い。ザックジャパンでは左右のサイドバックの主力が内田篤人(176cm)と長友佑都(170cm)だった。

 そのため、岡崎慎司(174cm)が6番目になることがあり、最終予選のヨルダン戦では前半アディショナルタイムに、岡崎がマークした相手とのミスマッチで敗れている。空中戦は必ずしも身長で決まるものではないのだが、セットプレーは流れの中よりターゲットとディフェンスのサイズの差が結果に反映されやすい。

ケーヒルも当然脅威。日本のセットプレー練習は不十分?

 さらに、オーストラリアは試合の終盤にケーヒルというジョーカーを持っている。180cmという身長以上に空中戦の強さを誇るベテランFWや185cmのギアンヌ、193cmの長身MFグッドウィンといった選手が投入される場合に備え、植田直通(186cm)の投入もプランに入れておくべきだろう。

 その植田が起用されれば相手の一番怖い選手をマークすることになるか聞いたところ「そうなると思うので、しっかり対応していきたい」と静かに頷きながら語ってくれた。

 もっとも、気になるのはこれまでなかなか満足にセットプレーの守備を練習できているように見えないことだ。結局はマンツーマンの勝敗が大きいと言っても、しっかり確認できているかどうかで対応も違ってくる。

「イラク戦でもセットプレーから失点してしまっていますし、そこは練習も含めてみんなが注意するべき点だと思います」と森重。何とかセットプレーでの失点ゼロに抑え、好調のオーストラリアを相手に流れの中での勝負に持ち込んでほしい。

(取材・文:河治良幸【メルボルン】)