「香川が先発で清武がかわいそう」

 日本代表は11日、ロシアワールドカップアジア最終予選でオーストラリア代表とアウェイで対戦して1-1で引き分けた。この試合中、イングランド人ライターのショーン・キャロル氏に随時話を聞いた。

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――この試合の注目ポイントはどこになるでしょうか?
「決定力。チャンスは非常に少ないだろうから、絶対にゴールを決めないと」

――イラク戦で好調だった清武がベンチスタートとなり、香川が先発です。
「そうだね。清武がかわいそう…。香川のベンチスタートだけじゃなくて、岡崎の代わりに小林が先発しているようにスピードのある選手を使いたいんだと思う。今日の日本はディフェンスラインが引いてカウンターで攻めることになる。イラク戦は清武、原口、本田のポジションが流動的だったけど、今日は固定されると思う」

――本田は1トップでの起用ですね。
「そうだね。本田は香川の前で、原口と小林のワイド。本田のセントラル起用はいいと思う」

――人材難が懸念された左サイドバックは槙野になりました。
「その辺は大丈夫だと思う。槙野はフィジカルが強いからね」

――試合開始早々に原口が先制点を決めました!
「スピーディ・カウンターだったね! これは大きい。決定力もあるし、3試合連続ゴールで調子もいい。でも、大事なのはこの後」

――原口のゴールは本田のポストプレーから生まれました。
「本田は真ん中にいればこのような貢献はできる。ワイドで使うのは少しもったいないね」

――日本は相手にボールポゼッションを譲って、守備から入る展開ですね。この戦い方が日本にあっているのでしょうか?
「アプローチは相手によると思う。もちろん、オーストラリアとのアウェイ戦ではこのような入り方は必要。でも90分は難しいと思う。どこかで主導権を握らないと。あと1時間以上ある。ずっと守ると厳しくなる」

――でも、W杯本大会ではこのような戦い方は必要ですね。
「間違いない」

「前半はVery good」「豪州DFは原口にビビッてた」

――日本は相手にほとんどチャンスを作らせておらず、ロングシュートしか打たせていません。
「その辺からのシュートならどうぞ!」

――オーストラリアはパスの出しどころがないようです。
「今の日本はディフェンスの組織がすごくいい。しっかり集中している。切らせないように続けないといけない」

――29分、原口の突破から本田がシュート。ゴールには至りませんでしたが、いい形でした。
「あれはチャンスだった。原口は非常に自信満々ね。規律があって、左のタッチラインにずっと張ってるけど、これはすごくチームを助けてる。それでピッチを広げているから。オーストラリアはより原口に注意を集めることになると思うから、日本はそれ以外のプランが必要になる」

――スタジアムにはカモメがたくさん飛んでますね。どうやらこのスタジアムはカモメが名物のようですよ。
「良い感じだね。タダでこんなにたくさん見られる。笑」

――オーストラリアはセットプレーが武器ですが、日本はしっかりと守れています。
「そうだね。ここまでのオーストラリアはクオリティがよくない」

――前半の印象はどうでしたか?
「Very good。早い時間帯に先制点を奪ってから落ち着いてプレーしていた。選手はそれぞれの役割をしっかりとこなしているし、集中力もある」

――前半だけを見れば、ハリルホジッチ監督が就任してベストゲームじゃないですか?
「そうだね。戦術はパーフェクトだった。でも、サッカーは45分だけではないね。オーストラリアは後半で絶対に修正するから、その変化に対応しなければならない。今からチームが本当に勇気があるかどうかがわかると思う…」

――前半のMVPは誰でしたか?
「もちろん原口。いつもボールを欲しがっていたから、オーストラリアのディフェンスはビビってた」

「日本の“勇気のテスト”が続く」「日本に精神的支柱となる選手はいない」

――後半の注目はどこでしょうか?
「集中力。日本がビビらないように前半のプレーを続けていかないといけない。ディフェンスももちろん重要だけど、攻撃も非常に大事になる。もしオーストラリアにプレッシャーをかけなければ、日本のディフェンスは壊されると思う」

――後半も日本が立ち上がりから積極的な姿勢を見せています。
「オーストラリアのサポーターは静かだね。それはハリル、そして選手のおかげ」

――しかし、日本は後半開始直後に原口がPKを与えてしまいました…。
「微妙だったね…。でもエリア外だったらファウルだと思うから、PKは正解かな。でも、あまり良いPKじゃなかったね」

――オーストラリアは同点に追いついたことで攻勢を強めてきました
「オーストラリアはこれから空中戦をより目指すと思う。日本の“勇気のテスト”が続くね。ビビらないようにプレーしなきゃ。特にケーヒルが投入されたあとは…」

――後半も20分が経過しました。オーストラリアのペースになってきているので、日本は選手交代で流れを変えたいですね。
「そうだね。浅野を出した方がいいかな。スピードでオーストラリアDFの裏を突きたい」

――オーストラリアはケーヒル投入の準備をしています。
「もちろん。日本のディフェンスは怖がらないように…。W杯のドログバのようなシーンは見たくないね」

――精神的な支柱が入ることで流れが変わることはありますからね。
「日本にそのような選手はいないね…」

――一方でハリルホジッチ監督は交代が遅いですね…。
「とりあえずケーヒルには対応したいかな。でも、できるだけ早く攻撃のチェンジが必要だと思う」

「引き分けは最低限」「勝ち点1はフェア」

――日本は苦しい展開が続きます。
「本田の足が止まったね。代わりに浅野か岡崎を投入した方がいい」

――その浅野は本田に代わって出場しました。
「いきなりチャンスがあったね。でも、もっと周りに意識しないといけない。スピードがあるので、オフサイドになったらもったいない」

――日本は終盤に向けてほとんどチャンスを作れなくなってしまいました。
「予想通りの展開。オーストラリアは後半で原口の危険なプレーをほぼ消した。ゴール前で日本は落ち着いていないね」

――試合は1-1の引き分けに終わりました。
「前半は非常に良かったと思うけど、後半は下がり過ぎた。でも、オーストラリアとのアウェイではこんなもんかな。引き分けは最低限。前半のパフォーマンスを見れば勝ち点3が欲しかったけど、後半はほぼオーストラリアのペースだったから、勝ち点1はフェアだと思う」

――前半は守備の統率が取れていたのに、後半は継続できませんでした。これは今後の課題となりそうですね
「まあ、それがサッカーね。特にアウェイで90分間ずっと試合の流れをコントロールできる試合はあまりない」

「10番は変えるべき」「日本の“勇気のテスト”は合格」

――次はホームでのサウジアラビア戦です。
「その試合は勝たないといけない。今夜のサウジアラビア対UAEの試合結果が大事になる」
(編注:サウジアラビアがホームでUAEに3-0で勝利したため、日本は第4戦を終えて3位)

――その前にオマーンとの親善試合があるので、その試合でのテストはこの先の最終予選に向けて重要になりそうですね。
「そうだね。でも、サウジアラビア戦でも今日のようなパフォーマンスができれば良いと思う。今、“本当に試して欲しい選手”は特にいないかな。このメンバーで良いチームが作れそう」

――本田の1トップは継続すべきでしょうか?
「うん、それは良いと思う。ポストプレーは良いし、動きも良かった」

――香川のパフォーマンスはどうでしたか?
「10番は変えるべきだと思う…。香川のパフォーマンスが勝利を逃した要因じゃないし、勝てなかったのは彼のせいではないけど、今は彼よりも良いパフォーマンスを見せられる選手がいるからね」

――ハリルホジッチ監督の交代策に関してはどう思いますか?
「今日の選手交代は良かったと思う。ちょっと遅かったかもしれないけど…。このようなゲームでは常にケアしないといけない。もちろん勝ちたかったけど、それより負けたくなかったね。負けたら精神的な影響は大きかったと思う」

――日本の“勇気のテスト”は合格でしたか?
「はい、合格だと思います。最後まで集中を切らさず、勝つチャンスもあった。そしてケーヒルは全然試合に貢献できなかったので、そこは日本は成長が見せたところだと思う」

――ありがとうございました!

▽語り手:ショーン・キャロル
1985年イングランド生まれ。2009年に来日。「デイリーヨミウリ」「Jリーグ公式ウェブサイト」などにも寄稿。高校サッカー、Jリーグ、日本代表など幅広く取材している。過去にはスカパーのJリーグ番組出演も。