最前線の新コンビ。グリーズマンとガメイロ

 2018ロシアW杯欧州予選の初戦でベラルーシと引き分けたフランス代表。10月の2試合で連勝し、グループ首位に躍り出た。EURO2016で最優秀選手に輝いたアントワーヌ・グリーズマンが引っ張る攻撃陣に、アトレティコの同僚、ケビン・ガメイロが加わり、新生レ・ブルーはその破壊力を見せはじめた。(取材・文:小川由紀子【パリ】)

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 10月のW杯予選、フランスはブルガリアに4-1で快勝、アウェイでのオランダ戦でも1-0で勝利し、スウェーデンと並んでグループAの首位に立った。初戦はベラルーシに0-0のゴールレスドローだった彼らにとっては、チームの自信回復につながる貴重な2連戦だった。

 この2試合での注目は、攻撃陣の新コンビ誕生だ。ここ最近レギュラーに定着していたオリビエ・ジルーが負傷中で、今夏セビージャからアトレティコ・マドリーに移籍したケビン・ガメイロが呼ばれると、クラブでもともにプレーするアントワーヌ・グリーズマンとコンビを組んでプレーした。

 2011年11月を最後に代表から遠ざかっていたガメイロは、セビージャでの活躍が評価されて、夏のEUROではメンバー候補にも浮上した。しかし最終的にデシャン監督は、バイエルンのコマンやマンチェスター・ユナイテッドのマルシャルら若手を選択、自国開催の大会でピッチを踏むことはかなわなかった。

 しかし次のW杯に向けての今予選では初戦のベラルーシ戦からメンバー入りし、この試合で試合終了直前の83分にジルーと交代して代表復帰を果たすと、ブルガリアとオランダ戦では先発でプレー。ブルガリア戦では、ダイビングヘッドでの先制点に続き、グリーズマンのクロスを押し込んで4点目をマーク、相棒のグリーズマンも1得点と2人で計3点を挙げた。

 次のオランダ戦は両者とも不発で、フランス代表の得点は決勝点になったポグバのミドルシュート1本にとどまったが、デシャン監督もブルガリア戦の後、「2人のコンビは非常によく機能していた」と手応えを口にしたように、クラブでもともにプレーする2人のコンビネーションには可能性が感じられる。

ジルー不在のチャンスを掴む

 スペースを自由に動いてチャンスメイクするグリーズマンと、生粋のフィニッシャーであるガメイロはプレーの面でも相性がいい。ガメイロの最大の特徴は、ラストパスが出された瞬間にボールに飛びつく一瞬の加速の速さにある。

 オフサイドぎりぎりの位置から敵のDFラインを俊速で抜け出し、エリア内でゴールを撃ち抜くのが彼の十八番だ。20代前半に所属したロリアンで頭角を表したのもまさにそのようなプレーで、23歳だった10-11シーズンにはリーグ戦だけで22ゴールをマークした。

 翌年、カタール勢が参画した新生PSGに引き抜かれたが、ここではギャラクシー軍団に押し出される形で出場機会も減り、パフォーマンスも後退気味だった。そのため、以前からの「スペインでプレーしたい」という思いを叶えてセビージャに移籍したが、これは正解だった。

 そして今夏のアトレティコへの移籍も追い風となった。グリーズマンとはプライベートでも仲がいいらしく、リーガでも2人のコンビネーションは徐々に向上している。

 ジルーは今季、アーセナルで先発の座を外されて出場時間が激減している。さらにチャンピオンズリーグの対PSGでは親指を負傷し、怪我による欠場も長引いている。この分だと11月11日のグループ首位対決、対スウェーデン戦もガメイロ-グリーズマンのアトレティココンビが起用されるだろう。

新戦力の台頭で広がるオプション

 彼ら2人を配した今回の布陣は、マテュイディとポグバの2ボランチに、両サイドにはシソコとパイエ、ユーティリティー役のグリーズマンが1.5列目、ガメイロがトップという形だった。

 ブルガリア戦では、デシャン監督は試合終了間際の83分に、リヨンのプレーメイカー、フェキルをグリーズマンに替えて投入した。この試合ではインパクトを残すには時間が短すぎたが、今後はガメイローグリーズマンと共存させての4-3-3など、オプションも広がりそうだ。

 このほか、今回の2試合で見られた特徴は、『技巧派』と『フィジカル派』のバランスだ。たとえば両サイドで言えば左のパイエは技巧派、右のシソコはフィジカル派。コシエルニーやマテュイディが後方から展開するとき、どちらに振り分けるかで違う攻撃オプションが生まれ、相手ディフェンスも別の守り方が要求される。

 ブルガリア戦では、パイエが左サイドからのロングクロスをそのままゴールに収めるという真骨頂のゴールを決めたほか、オランダ戦でも、コシエルニーからのパスをポグバにつないで貴重な決勝点を引き出した。一方のシソコは、アメフト選手なみの体格で、マッチアップする相手を吹き飛ばす勢いでゴリゴリ突破できる。

 守備ラインではEUROは負傷で無念の欠場となったセンターバックのヴァランが戻り、コシエルニーとのCBコンビが復活。オランダ戦では後半、デパイにシュートを打たれたシーンなどやや危うい場面もあったが、視野が抜群で、危険を未然に察知してラストパスをカットできるヴァランと、キラータックルでボールを奪い、的確に前に配球できるコシエルニーのコンビはやはり安定感がある。

不安定も若いチーム。ポテンシャルは大きい

 またサイドバックは、今季PSGでウナイ・エメリ監督のもとレギュラーに定着しつつあるクルザワが左、右ではブルガリア戦の序盤に負傷退場したバカリ・サニャに代わって投入されたモナコのジブリル・シディベが奮闘。俊速で運動量も豊富なシディベは、豪快なオーバーラップなど、特に攻撃面での動きが目立った。ともにエヴラ&サニャのベテランSBの後を引き継ぐ人材だ。

 そして、オランダ戦でのポグバの決勝ゴール。彼に求められている仕事は得点をあげることではないが、EUROでは期待が高すぎたゆえに「空振り感」の強かった彼にとっては、自他ともにレ・ブルーでの存在意義を確認できる貴重な働きだった。

 同じ先発イレブンで臨んだ今回の2連戦では、全体が非常にコンパクトにまとまり、攻守の切り替え時に全員が連動していた点も印象的だった。デシャン監督も、ガメイロが深い位置まで下がってボールを呼び込むプレーを高く評価していたが、トップの2人と両サイドのシソコとパイエも労を惜しまず動き、カバーリングへの意識の高さなどもプレーに表れていた。

 デシャン監督は試合後の会見で「このチームが、EUROのときよりも弱体化しているという理由はない」、つまり、強さを増していると語った。

 実際には「磐石に強い」という印象からはまだ遠く、パフォーマンスも不安定だが、若さとやる気に満ちた現代表には、今後予選を重ねていくごとにどんどん成長していきそうなポテンシャルが感じられた。

(取材・文:小川由紀子【パリ】)