22試合ぶりのアウェイ戦勝利

 2つのスーパーカップに出場し、リーガ開幕戦でもゴール・アシストを決めたセビージャ清武弘嗣。新天地で順調なスタートを切ったかと思われたが、ここ最近は出場機会の得られない日々が続いている。チームが順調に勝ち点を積み重ねているいっぽうで、日本代表MFを取り巻く状況は不確定要素の多いものとなっている。(取材・文:ロシオ・ゲバラ【セビージャ/マルカ】、翻訳:フットボールチャンネル編集部)

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 セルヒオ・リコ、マリアーノ、パレハ、イボーラ、エスクデロ、エンゾンジ、ナスリ、バスケス、ビトーロ、ビエット、ベン・イェデル。これが、サンパオリ監督が先週土曜日のブタルケで起用した11人だった。セビージャはそのスタジアムで、もはや単なる逸話の域を越えて義務と化していた課題を片付けることができた。

 セビージャが本拠地サンチェス・ピスファンを離れてのリーグ戦で勝利を収めたのは、2015年5月のマラガ戦以来のことだ。実に22試合ぶりとなる白星をもたらしたのは、非常に質の高い一撃。サラビアが最後に成し遂げた決定的な仕事だった。

 勝利と勝ち点さえ手に入れれば、あらゆることに意味を持たせることができる。チームはこれまでに、リーガでの戦いで勝ち点24のうち17ポイントを獲得している。サンパオリ監督は試合の前から、セビージャが最高の姿を見せたのは2トップで戦った試合(オリンピック・リヨン戦、アラベス戦)であり、システムを固めるためにはそれを繰り返していくことが最善の手段だと認めていた。

 実際に、それは実行された。レガネス戦でも起用されたのは同じ顔ぶれであり、アルゼンチン代表から違和感を抱えて戻ってきたメルカドがイボーラに代わっただけだった。

継続性か、ローテーションか

 元チリ代表指揮官が同じ絵を描き続けたことで被害者となった選手の一人が、負傷やローテーションや代表戦の影響に泣くことになった清武弘嗣だ。

 日本代表でのオーストラリア遠征を終え、疲労を溜めて戻ってきた清武は、招集メンバーから外された。その後、チャンピオンズリーグのグループステージ第3節ディナモ・ザグレブ戦のため月曜日にクロアチアへと向かった19名のメンバーの中には復帰している。

 現状では、清武の存在は不確定要素に取り巻かれている。いつ、どのような形でサンパオリ監督の構想に返り咲くことになるのかは、監督本人にしか分からない。

 ここ3試合の戦い方に継続性を持たせたいと考えるようであれば、チームの入れ替えは最小限にとどめるだろう。今後3週間の慌ただしい試合日程に安心して臨むためローテーションが必要だと判断するようなら、清武も再び選択肢に入ってくるはずだ。

 ハノーファーからやって来た清武は、この夏にモンチSDが獲得した計11人の選手たちのうち2番目だった。基本的にはウナイ・エメリ前監督が獲得を要請したか、少なくとも獲得にゴーサインを出した選手だったということになる。

 スタートも決して順調なものとはならなかった。プレシーズン期間にいきなり負傷してしまった選手の一人であり、1ヶ月の離脱になると診断された右足内転筋の重度IIの損傷から回復するため時間との戦いを強いられた。

出場時間が伴わなければ幸福は完全でない

 8月9日のUEFAスーパーカップに復帰を間に合わせることが彼の目標となったが、それは実現された。サンパオリ監督は彼を120分間プレーさせ、続いてスペイン・スーパーカップの1stレグでも、リーガの最初の2試合でも起用を続けた。エスパニョール戦では清武は1ゴール1アシストを記録している。

 だが、チームに明確なアイデンティティがないという批判を受け、サンパオリ監督は11人の顔ぶれを入れ替え試行錯誤することを強いられた。それが清武の名前を監督のプランから消してしまった。

 清武自身は適応の困難を乗り越えるため加入当初から努力を惜しまなかったし、ソーシャルメディアでの様子やチームメイトたちとの関係を見てもセビージャで幸福な様子は見て取れる。だが、出場時間が伴わなければ幸福は完全なものではない。

 スタイルの共通するナスリが絶好調であることが、セビージャにおける清武の前進にブレーキをかけた。「ナスリがボールを持つとチームが落ち着く」とサンパオリ監督は、アウェイでの悪夢を断ち切った試合の後に話していた。

 その一方で、清武に何かが起こる場合に備えて、ドイツからは彼の動向に横目での視線が送られている。ニュルンベルクとハノーファーで過ごした4シーズンで、清武はブンデスリーガに好感触を残すことができた。早くもシャルケとヴォルフスブルクの2チームが、トップ下の補強を検討することが見込まれるチームとして名前を挙げられている。

 これから冬の移籍市場までに、まだ状況はどう変わっていく可能性もある。清武はその変化が、再び公式戦でセビージャのユニフォームを着るという形に行き着くことを望んでいるはずだ。

(取材・文:ロシオ・ゲバラ【セビージャ/マルカ】)