ミラントリノ相手に劣勢の前半戦。先制許す展開に

 ミランは現地時間12日、コッパ・イタリア5回戦でトリノと対戦。前半に先制点を奪われたが、後半に2ゴールを奪って逆転勝利を収め、準々決勝に進出した。ミランのヴィンチェンツォ・モンテッラ監督はこの試合に向けて大幅なターンオーバーはしないと明言していた。そして、逆転勝利の決定打となったのはリーグ戦でも主力としてプレーする2人のウインガーであった。(取材・文:神尾光臣【ミラノ】)

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 前半27分、アンドレア・ベルトラッチのシュートをジョー・ハートがキャッチした直後、トリノの鋭いカウンターがミランの守備陣を切り裂いた。

 この冬にローマから移籍したばかりのファン・マヌエル・イトルゥベが華麗なターンで2人のマークを振り切り、右サイドにタイミングよく飛び出したマルコ・ベナッシにパスが出る。するとそこに、アンドレア・ベロッティが走り込みスペースを指差した。イタリア代表でもCFとして定着しつつある若手は巧みにポジションを取り、ミランの2CBの間のスペースをかいくぐってパスを受け、そのままシュートをねじ込んだ。

 ミランが攻めに来たところをカウンターで仕留めたという展開だったが、前半で多くのシュートを放ち内容でも優勢だったのはトリノだったのだ。「ヨーロッパリーグ進出を目指す上ではコッパ・イタリアも重要だ」と語っていたシニシャ・ミハイロビッチ監督は、このカップ戦に主力をぶつけて来た。アデム・リャイッチやダニエレ・バセッリも、繊細な足技で次々とチャンスを作る。正直前半は、果たしてミランとどちらが格上なのか分からない印象だった。

 もっともそんなに良いサッカーをしていても、奪った得点は1点だけ。チャンスを決めきれなかった彼らは、後半16分からの3分間で試合をひっくり返された。ペースが弱まった隙を突かれ、ミランのタレントたちにやられたのである。

逆転勝利を呼び込んだスソとボナベントゥーラ

 決定的だったのは、ヴィンチェンツォ・モンテッラ監督がこの試合でも温存せずに使った両ウイングだった。先制点では、スソが中央からカットインでボールを運んだ末にシュート。これはハートに弾かれるが、そのこぼれ球を左サイドでジャコモ・ボナベントゥーラが拾う。そしてグラウンダーで折り返した先には、ファーサイドからユライ・クツカが詰めて来てシュートを豪快に叩き込んだ。

 そしてその3分後の追加点にも、やはりこの2人が絡んでいた。トリノがカウンターに出ようとした際、前線でボールキープを図ったベロッティからグスタボ・ゴメスが勇敢に上がってボールを奪う。するとそのボールは、やや内側のポジションを取っていたスソへ。スソは左足で浮き球のパスを前線へ送ると、そこに左サイドから鋭角に走りこんで来たのはボナベントゥーラ。そのままダイレクトで合わせ、ミランは逆転に成功したのだ。

「正直何が良かったのか自分でも分からない」とモンテッラ監督は試合後に語っていたが、やはりターンオーバー制を自重してミランの調子を左右する2人を使ったから、ということに尽きるだろう。相手が強いトリノだったからこそ、苦しい展開の中で試合を決めることできる『個』の力が余計に重要だったのである。

 なお本田圭佑は後半1分からアップを命じられていたものの、スソとボナベントゥーラの調子が持続していただけに出場はならなかった。

(取材・文:神尾光臣【ミラノ】)