冬の移籍市場は開いた。清武はどうなるのか

 2016/17シーズンからリーガエスパニョーラのセビージャでプレーしている清武弘嗣。サンパオリ新監督のもとリーグ2位につけるなど、クラブが好調な歩みを進めるいっぽうで、日本代表MFはなかなか思うようなプレー機会を得られていない。移籍に関する噂が立っているが、実際のところはどうなのだろうか。スペイン・マルカ紙のセビージャの番記者が紐解く。(取材・文:ロシオ・ゲバラ【セビージャ/マルカ、翻訳:フットボールチャンネル編集部】)

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 清武弘嗣は、セビージャの選手として夢のようなデビューシーズンを過ごすことはできていない。昨年夏にブンデスリーガからやって来た彼の使命は、自分のサッカーがリーガエスパニョーラにおいても十分に通用すると証明することだったが、様々な理由によりブレーキをかけられることになってしまった。

 欧州初挑戦の監督が率いる新生メンバーのメカニズムの中に清武がうまく組み込まれることを阻んだのは、まずは言葉の問題であり、日本とスペインの間の長距離移動だった。さらに負傷による足踏みも強いられた。

 とどめを刺したのは他ならぬサンパオリ監督だ。”フィーリング”が欠けていたためなのか、アルゼンチン指揮官の好みの上ではより序列が上となる選手たちがいたためか、清武に与えられるチャンスは減少の一途を辿った。

 冬の移籍市場が開いた今、「清武はどうなるのだろか」という疑問を抱かずにはいられない。日本代表MFのファンたちは彼が出場時間を得られることを強く望んでおり、この先数ヶ月セビージャに残留するようなら彼の前進が阻害されることになると理解している。

 セビージャの2列目は恐るべき顔ぶれであり、ムド・バスケスやビトーロ、ナスリといった選手たちに新戦力のヨベティッチも加わった。インテルからレンタルで加入したヨベティッチは、監督によれば最前線あるいはセカンドトップでの起用の選択肢となる選手だが、サイドに置く選手だとはみなされていない。

クラブ周辺筋が明かした日本代表MFの動向

 清武がレアル・マドリーとのスーパーカップに先発起用され、セビージャでの最初の数試合で好印象を残していた頃から、これまで色々なことが起きてきた。

 シーズン折り返しを迎えた現時点で清武は9試合の出場にとどまっており、得点はリーガ開幕戦でエスパニョールから奪った1点のみ。国内リーグでは11月末のバレンシア戦以来、招集メンバーに含まれながらもピッチに立つことはできていない。

 この時期を迎え、ラングレとヨベティッチをチームに加えたセビージャは、3人目の選手を獲得したいのであれば空席をつくらなければならない。今後の数週間でチームを去ることになる候補選手は何人もいるが、一見した印象とは異なり、清武はその退団に向けた序列の前方に位置するわけではない。

 現時点では何も新たな動きはない。クラブ周辺筋によれば、この冬の移籍市場で好条件のオファーが届かない限りは、清武はセビージャを離れはしないとのことだ。

 2月にはチャンピオンズリーグも再開するし、リーガにおいてはセビージャはレアル・マドリーを追い続けている。首位マドリーに次ぐ2位につけており、日曜日には勝ち点差を1ポイントに縮められるチャンスとなる決戦を迎える。サンパオリ監督はその夢想を抱いており、白い巨人への重圧を強めてタイトル候補に名乗りを挙げたいという野心を隠してはいない。

現状ではチャンスを見出すのは容易でない

 セビージャは大きな勝負をしている状況であり、まだ貢献の余地を残している選手たちを手放す必要性を感じてはいない。それは清武にも言えることだ。

 次にチームを去る選手がいるなら、サルバトーレ・シリグかもしれない。イタリア人GKはリコを脅かすことができず、オファーを吟味している状況だ。負傷による長期離脱を経て別のチームで感覚を取り戻したいトレムリナスも、環境を変える可能性はある。

 ガンソへのオファーが届く可能性も否定できない。こういった状況の中、金銭的に好条件なオファーが届くか、獲得したい選手に手が届きそうになったことで誰かを放出する必要に迫られない限りは、清武が動くことはなさそうだ。

 プロ意識の高い選手である清武は、笑顔を失うことなく練習に励みつつ、自身の未来について新たな動きを待っている。現時点では残留の見通しであり、半年という期間を無為に過ごすことにならないよう、サンパオリがどのような形で彼をチームに組み込むことができるかを確認しなければならない。ファンは彼をピッチ上で見たいと望んでいるが、現状ではチャンスを見出すのは容易ではない。

(取材・文:ロシオ・ゲバラ【セビージャ・マルカ】)