人気下着ブランドのヴィクトリアズ・シークレットは2013年、「セクシーな」スポ―ツブラでスポーツウエア市場に進出した。だが、それからわずか2か月余りで同市場から撤退。消費者がアスレチックウエアに何を望むかについて、完全に読み誤ったのだ。

同社はまた、主力製品である下着の分野でも、相次ぐ競合他社の参入と競争の激化に苦しんでいる。その同社は先ごろ、普段着としても使うことができるファッショナブルなスポーツウエア、「アスリージャー」ラインの新ブランド「VSX」で再び同市場に打って出た。

これで同社は、起死回生を果たせるかもしれない。ただ、それは一時的な成功に終わる可能性がある。ファッション・メディアの間では、アスリージャー人気にはすでに陰りがみえるとの声が出ているのだ。

アスリージャー人気の”終わり”がささやかれ始めた中、ヴィクトリアズ・シークレットをはじめ関連製品を手掛ける各社は今後、トレンドに耐性を持つ企業になるため、どうすればいいのだろうか。

アスリージャー人気はもう下火?

投資コンサルタント会社J.ロジャーズ・ニフェンWWE(J. Rogers Kniffen WWE)のジャン・ロジャーズ・ニフェン最高経営責任者(CEO)は、今秋に向けてアスリージャー製品を仕入れた小売業者らが売り上げの伸びを予想していないことが、同分野の人気が下火になっていると考える主な理由だと説明する。また、カジュアルファションとしてアスレチックウエアを取り入れている人が、男女を問わず減っていることも指摘している。

さらに、人気がすでにピークを越えたことを示すデータもある。各種データを提供するスポーツスキャン(SportsScan)によれば、スポーツアパレルの売上高の伸び率は、2015年にマイナスを記録しているのだ。このデータのみでアスリージャーがもう「終わり」だと判断することはできないが、それでもニフェンCEOは、その時期は近いと予測している。


ブームの終わりを予見しているのは、ニフェンCEOだけではない。フィットネスアパレル、ルルレモン(Lululemon)のチップ・ウィルソンCEOは先ごろ、ビジネス関連ニュース専門のウェブサイト、「ビジネス・インサイダー」に対し、同様の見解を示した。ルルレモンはすでに、アスリージャー以外の分野でのビジネスに着手しているという。

ウィルソンCEOは最新のトレンドである「アスレチックでテクニカル」なウエア、「ストリートニック」の分野でトップになることを目指している。ストリートニックがアスリージャーと異なるのは、パフォーマンスを最重要視したデザインであるという点だ。アスリージャーが重視していたのは、性能よりもデザインだった。

失敗を繰り返さないためにすべきこと

アスリージャーとアスレチックウエアは、同一のものではない。アスリージャーが流行のあるファッションである一方、アスレチックウエアは性能を重視した衣類だ。運動をする人がいなくならない限り、需要がなくなることはない。

ヴィクトリアズ・シークレットは「VSX」ラインにより、ストリートニックの趣を強めた本物のアスレチックウエアを目指しているとみられる。新製品はブランド戦略において、これまで同社の代名詞でもあった「セクシーさ」を前面に出していない。

同社をはじめ、この分野で競合する各社が今後に直面する最大の課題は、間違いなく適切な製品を提供するために、多岐にわたる顧客の個性を確実に理解することができるかどうかという点だ。

各社はあらゆる世代の消費者の声を聞くことで、どのような行動が利益につながるかを確実に把握することができるだろう。ヴィクトリアズ・シークレットは、ファッション性重視のアスリージャー・ブランドを目指す方向に再びとらわれてはならない。

各社の成功は、性能を最重要視した製品を開発する能力と、活動的な女性たちに語り掛け、常に変化する一般的な消費者のニーズから視点をそらすことなく、既存の販売チャンネルを活用していく能力にかかっている。

Greg Petro