ニューヨーク市は今年、デジタルデバイドを解消するための取り組みとして、市内各所に無料WiFiスポットを設置し始めた。しかし革新的な取り組みには常に、産みの苦しみが付きまとう。無料WiFiサービス「LinkNYC」の運営団体は先週、ポルノ閲覧の多さを理由にウェブ閲覧サービスを中止した。

LinkNYCの運営団体CityBridgeは「WiFiを独り占めし不適切な使い方をしている人がいる」との不満が続出しているのを受け、WiFiスポットの機能を停止すると発表した。ブログポータルのGothamistによると、”不適切な使い方”の多くは、ポルノ閲覧を指しているという。CityBridgeはプレスリリースで、「無料WiFiは度を過ぎた私的利用を目的としていない」と強調した。

ニューヨーク市長のビル・デブラシオはラジオ番組で「意図しない結果に対処するため、利用中止は適切な方法だった」とコメントした。

New York Magazineの報道によるとCityBridgeはこれまで47万5,000人がサービスにサインアップし、2,100万回超の利用があったという。ネットへの接続環境を持たない数百万人の米国人のために、LinkNYCの活動は始動した。ニューヨーク市の2014年の調査によると、全世帯の27%は自宅にブロードバンド環境がなく、そのうち40%の学歴は高卒未満だった。また、34%は職についておらず、21%は18歳未満、45%は高齢者だった。

ニューヨーク・タイムズは、「家庭でインターネットに接続できない生徒は宿題をすることもままならず、彼らの多くは、図書館やファストフード店などでネットにつないで対処している」と報告した。また、低収入で機動力のない成人も、インターネットが無ければ、日々の生活の維持も難しい。求人情報や公的サービスのほとんどはインターネット経由で提供されている。

ポルノ視聴は「人としての権利」ではない?

そして、公的には誰もそれを推奨していないが、インターネットはポルノ産業を支えている。米国だけでも100から120億ドル(約1兆〜1兆2,200億円)、世界では970億ドル(約9兆8,700億円)の収入を生み出している。LinkNYCや他の公共のネットサービスは、ポルノ動画閲覧に使われることを許容していないが、「ポルノへのアクセスが人間の権利か否か」という問題も、この数年間論議されている。

ポルノには医学的、精神的なプラスの効果があるという研究結果や主張がある一方で、様々な人権保護団体が、暴力や女性に対する不当な扱い、プライバシー侵害、そして人身売買や児童虐待を含むことを理由に、ポルノは正当な公共財と認められないと主張している。

ポルノコンテンツの是非については専門家の間でも決着がついていないが、ニューヨーク市は当面、ポルノ視聴のために無料WiFiを開放する気はないようだ。

Janet Burns