優秀な従業員に長期にわたって勤続してもらうことは、米国では困難なことだ。だが、本来そうあるべきではない。この点について企業が犯す間違いの多くは、容易に回避することが可能だ。

企業が誤った態度を取れば、一番先に離れていくのは特に優秀な従業員たちだ。彼らには多くの選択肢が与えられているからだ。コンサルティング会社CEBの調査によれば、エース級とされている優秀な従業員の約3分の1が、自社に対するエンゲージメント(自発的な貢献意欲)を失っており、すでに新たな仕事を探しているという。

優秀な従業員が勤め先を捨てるとき、彼らは突然に辞めてしまうわけではない。時間をかけて徐々に、仕事に対するやりがいを失っていくのだ。ある専門家はこうした現象を「ブラウンアウト(電圧低下)」と呼んでいる。突然に「停電」するのではなく、電圧が徐々に下がって少しずつ薄暗くなっていくように、仕事への情熱が失われていくのだという。

以下に挙げる8項目は、優秀な従業員を維持するため、企業にあってはならない最悪の慣習だ。

1. 幾つものばかげた規則をつくる

企業にはルールが必要だ。それは当然だが、近視眼的な規則であってはならない。不要なルールはほんの幾つかあるだけで、多くの人たちをたまらなく不快にさせてしまう可能性がある。上から監視されているように感じれば、優秀な従業員たちは別の職場を探し始めるだろう。

2. 全員平等に扱う

子どもたちには効果的な方法だが、職場では違う結果をもたらす。全員を同等に扱えば、業績トップの従業員らに対し(大抵の場合、彼らは人一倍働いている)、どれだけ成果を上げようと、毎日ただ出社しているだけの能力のない従業員と同じなのだと伝えているのに等しい。

3. 低調なパフォーマンスを放置

例えばジャズバンドの場合、演奏が一番うまくない奏者のレベルがバンド全体のレベルだと評価されるのだという。どれだけ上手な人がいても観客は皆、一番下手なメンバーに注意が向いてしまうのだ。企業の場合にも、これと同じことがいえる。

4. 部下の業績を認めない

背中をポンとたたいて部下をねぎらってあげることの「力」は過小評価されがちだが、元々やる気がある優秀な従業員に対しては、特にそうなってしまいやすい。部下を持つ立場にある管理職は部下たちと交流して、何が彼らに満足感を与えるのか(昇給、表彰など)を把握し、うまくいった仕事に対しては、見返りを与える必要がある。

5. 部下のことを気にかけない

退職する人たちの半数以上は、上司との関係が原因で仕事を辞めている。部下のことを考えてあげられない管理職の下では、離職率は常に高くなる。個人的な関わりもなく、仕事の成果以外に何の関心も示さない上司のために、1日8時間以上働き続けることは不可能だ。

6. 将来の展望を示さない

優秀な従業員たちは心から仕事のことを考え、人一倍多くの業務をこなしている。そうした人たちの仕事には「意味」がなくてはならない。何のために働いているかが分からなければ、彼らは疎外されていると感じ、目標を持つことができなくなる。

7. 従業員の関心事を無視する

グーグルは従業員に対し、「最も会社の利益になると思うこと」に勤務時間の20%以上を充てるよう義務付けている。従業員たちにやりたい事をさせてきた結果が、Gメールやアドセンスといったグーグルの主力サービスにつながったわけだが、最大の効果は、従業員らが自社に強い愛着を持つようになったことだ。

有能な従業員たちにはやる気がある。そうした人たちにやりたい事をする機会を与えれば、彼らの生産性は高まり、仕事に対する満足感も高まるだろう。

8. 楽しい職場にしない

従業員たちが「職場が楽しくない」と感じているなら、その企業は何かを間違えている。楽しくなければ、人は全力を尽くさないだろう。そして、楽しいということはブラウンアウトに対する重要な防御策となる。グーグルは、職場を楽しくするためのさまざまな取り組みを行っている。その考え方はシンプルだ──仕事が楽しければ業績が向上するだけなく、長時間の勤務もこなし、在職期間も長くなるだろう、というものだ。

最後に

管理職は部下の離職率の高さを、問題の核心を無視してその他のあらゆるもののせいにする傾向がある。従業員たちは仕事からではなく、上司から離れていくのだ。

Travis Bradberry