アメリカで、ファミリー向けセダンの人気低下に拍車がかかっている。子どもを持つ親たちが、より大型のクロスオーバーSUVやミニバンの方を好む傾向になっているのだ。

セダン不振の理由を一言で言えば、それは「サイズ」だ。自動車関連のウェブサイト、カーグルズ・ドットコム(CarGurus.com)が18歳未満の子どもを持つ1,400人の親を対象に行った調査によれば、複数の子どもを持つセダン所有者のうち21%が、今の車は家族のニーズを十分に満たしていないと回答した。

SUVやミニバンの所有者で同様の回答をしたのは、わずか7%だった。今の車に対する不満を問う質問では、回答者の62%が”小さすぎる”と答えた。

販売統計がそれを裏付けている。自動車関連データ会社モーター・インテリジェンス(Motor Intelligence)によれば、2016年の1〜8月の中型セダンの販売台数は、前年の同期間に比べて8.4%減少した。

一方で、同期間にクロスオーバーSUVの販売台数は前年比で8.6%増加。ミニバンについては、おそらく1月にクライスラーが新型ミニバンのパシフィカを発表した影響もあり、前年比で23.3%増加した。

クロスオーバーSUVおよびSUVのうち、特にトヨタRAV4やホンダCR-V、フォード・エスケープのようなコンパクトモデルは、自動車販売台数トップ20車種のうち8車種を占めている。これに対してセダンは、トヨタ・カムリ(7位)やホンダ・シビック(8位)を含め6車種にとどまっている。大型のピックアップトラックが依然としてトップ3を占め、トップ20に4車種ランクインした。

ここ何年かの間に大型車の燃費が向上したことに加え、ガソリン価格が安くなっていることも、各世帯がより大型のモデルに買い替える要因になっている。

例えばホンダのクロスオーバーSUV、CR-Vの燃費は、市街地や高速道路の走行時で約12.33km/L(米環境保護庁の推定値)。これに対し、セダンのホンダ・シビックはおよそ14.88km/L。だが、年間約2万4,000キロを1ガロン(約3.8リットル)当たり2.2ドル(約221円)で走行した場合、ガソリン代は約200ドル(約2万円)の差にとどまる。CR-Vの方がシビックよりも座席スペース、荷物を載せられるスペース共に広いことを考えれば、納得のいく差額といえるだろう。

カーグルズの調査によれば、車を購入する際に各家庭が考慮することトップ3は、価格(59%)、安全性(57%)、燃費(35%)。続く4番目に積載量の大きさは(28%)となっている。

「ファミリーカーを購入する際、親たちは多くの要素を検討する。だが特に子どもが大きくなってくると、積載量の大きさが総合的な満足度につながる重要な要素の一つになる」と、カーグルズのマット・スミス編集員は言う。

大型ファミリーカーの人気が高まっている主な理由の1つに、車の中で過ごす時間が長くなっていることが挙げられる。学校やスポーツ、友達との約束やその他の活動に、子どもたちを送り迎えするのにかかる時間だ。調査に応じた親の多く(56%)は、少なくとも週に5日は子どもの送り迎えをすると答え、中学生の子どもを持つ親については3人に1人が、毎週4時間以上の時間を子どもの送り迎えに費やしていると答えた。

なお、調査に応じた親たちの半数近く(45%)は、食卓に着いているときよりも車に乗っているときの方が子供たちと多く話していると答えた。だが、調査によれば子どもたちの多くは車の中で飲食をしたり(78%)、ゲームやオンラインメディアの視聴をしたり(70%)して過ごしていることから、きちんとした会話が成り立っているかどうかは不明だ。

Jim Gorzelany