9月24日、スナップチャットは会社名を「スナップ」に改称すると発表。それと同時に動画撮影ができる小型カメラ内蔵のサングラス「スペクタクルズ」を発表した。

スペクタクルズは最大30秒の動画が撮影可能で、「スナップ」のアプリに直接アップロードできる。動画は円形のフォーマットで保存されるため、どの方向からも視聴が可能だという。

スペクタクルズはいわゆる「ウェアラブルカメラ」というカテゴリに属する製品になる。ここで多くの人の心に浮かぶのは「グーグルグラス」だろう。グーグルはかつてこの製品が「人々の暮らしに革命をもたらす」と宣伝したが、大失敗に終わった。その前例を踏まえ、スペクタクルズはどのように成功を収めることができるのだろう。

「グラスをつけた阿呆」にはならない

手短に言えば、グーグルグラスというプロダクトは眼鏡にスマホの機能を持たせる実験的製品だった。グーグルグラスを着けたユーザーは常に視界の中のスクリーンを意識しているため、会話はぎこちなく、脇見運転のような安全上の懸念も浮上させた。ユーザーが町中で突然、「OKグラス。ビデオを撮影して」などという呪文を唱える姿は”グラスホール(グラスをつけた阿呆)”などと呼ばれ、世間の嘲笑を浴びることにもなった。

グーグルグラスが成功しなかった最大の理由が「間抜けに見える」という事だろう。どんなに革命的なテクノロジーであろうと、二流のSF映画のようなガジェットが普及するはずは無いのだ。

それに対し、スペクタクルズはずいぶんお洒落に見える。グーグルグラスがなるべく目立たない外見を意識したのとは正反対に、スペクタクルズは大きく、派手で、人々が気づかずにはいられない。主なターゲット層はミレニアル世代であり、彼らの親の世代よりも動画をシェアすることに熱心だ。

スナップチャットはそもそも「撮影した動画や写真が消えてしまう」というコンセプトで若い世代の人気を獲得した。「映像が残らない」からこそ、ユーザーらは自由に現在を記録することができる。スペクタクルズもまさにこの点で、社会に受け入れられるのではないか。「同意なく撮影されるのは嫌だ」という人も居るかもしれないが、その動画や写真が数時間で消えてしまうのであれば、気にしない人も多いはずだ。

映像が消える事のメリット

スペクタクルズは「周囲を撮影する」というたった一つの目的のために開発されたデバイスだ。面倒な操作は必要無く、個人の視点から撮られた短時間の使い捨ての映像を撮影するのが唯一の機能だ。用途を絞ることにより、スペクタクルズはシンプルな製品に仕上がり、価格も129.99ドルという低価格に抑えられた。これはブランドもののサングラスよりもずっと安い値段だ。

スペクタクルズも一定のプライバシー侵害の懸念を浮上させる製品ではあるが、グーグルグラスと比べればはるかに受け入れられやすい製品と言えるのではないだろうか。

30秒間の動画もプライバシー侵害だと考える人もいるかもしれない。しかし、我々はすでに一定のセキュリティ保証と引き換えに、街角のセキュリティカメラの存在を許している。それと同じことが、スマホのカメラ撮影についても言える。私たちは自分たちが「撮影する自由」と引き換えに、誰かのソーシャルメディアの投稿に写り込んでしまうことを許容している。

ミランダ・カーも絶賛のお洒落さ

何よりもまずスペクタクルズはグーグルグラスほど恐ろしい外見には見えない。この製品はキュートなのだ。いかに素晴らしいテクノロジーであろうと、格好が悪ければ誰も使わないことは、ずいぶん昔にアップルが証明したことだ。だからこそグーグルは現在開発中の自動運転車を人に似せた、かわいらしい顔のデザインにしている。音声アシスタントに「シリ(Siri)」や「コルタナ(Cortana)」といった名前がついているのも同じ理由からだ。

かわいい外見のスペクタクルズにまず必要なのは、誰か有名人がそれをつけることだ。スナップ社創業者のエヴァンの婚約者のミランダ・カーは、さっそくスペクタクルズを装着したエヴァンの写真をインスタグラムにアップし、「本当に誇りに思うわ」とコメントしたが、彼女のようなセレブがこの製品を身につければ、一気に若者たちの必須アイテムになるかもしれない。

Dani Di Placido