カナダの通信機器大手ブラックベリーは、アップルやサムスンのようなテック大手に追いつくことができないなか、大きな戦略ミスを犯しつつある。

アウトソーシングを通じて企業の強みを少しずつアジアの競合他社に渡してしまっているのだ。

アウトソーシングに数多くの利点があることは、よく知られている。効率を上げたり、コストを削減したり、製品開発の迅速化を図ることもでき、企業は「コア・コンピテンシー(中核となる強み)」に焦点を絞ることができるようになる。

だが「意図せぬ結果」も伴う。アウトソーシングはサプライチェーンの断片化や崩壊につながり、業界に新たな競合を招き入れ、企業の価格決定力や利益性を損なわせる。

例えば製造のアウトソーシングは、製品開発やブランディング、マーケティング、流通やアフターサービスなどのその他のサプライチェーン活動と切り離して行える場合のみ実行に適している。マーケティングや流通などのアウトソーシングについても、同じことが言える。

実際にブラックベリーがこの数年で行ってきたのは、こうしたアウトソーシングのようだ。同社は3年前、アップルのiPhoneなどの製造を請け負っている台湾企業フォックスコンに、携帯電話機の製造をアウトソーシングした。現在は開発と携帯電話機の製造の両方をティーアイフォン・モバイル・インドネシア(PT Tiphone Mobile Indonesia Tbk)にアウトソースし、ソフトウェア開発とサービスを社内で行っている。

問題は、アウトソーシングの対象とする業務を増やすと、サプライチェーンが統合されたプロセスではなくなってしまうことにある。複数の独立した下請け業者を横断して実行されることで、ばらばらの活動の集まりになってしまうのだ。

それが新たな競合の業界参入を容易にさせ、競争を激化させ、製品を短寿命化し、投下資本に対するリターンを圧迫することになる。1990年代と2000年代に、ヒューレット・パッカードのようなPCメーカーやプリンターメーカーが経験したのがこれだ。

その後の彼らがどうなったかは、皆さんがご存じのとおりだ。

Panos Mourdoukoutas