スカイプなどの通話サービスで遠くの友人と映像付きで会話をするように、外科手術も近い将来、遠隔地にいる執刀医と患者をインターネット上で結んで行われるようになるー。

「遠隔手術」は、医療の機会を拡大し、医師不足の社会問題を解決するとして期待を集める分野だ。

「当社が目指すのはロボットの正確さと、人間の”柔らかさ”を併せ持つ唯一の国産手術支援ロボットの開発です」と話すのはリバーフィールド代表取締役社長の原口大輔。

高度ITの発達による遠隔医療の普及を見越し、約5,000億円とも言われる手術支援ロボットの市場で、日本人の持ち前の”器用さ”と”繊細さ”を売りに、世界初となる空気圧制御で動く次世代の手術支援ロボットを開発している。

「ダヴィンチ」に代表される既存の手術支援ロボットは電動モーター制御であり、外から力を加えても動きが固い。しかしリバーフィールドの手術支援ロボットに触れてみると、まるで人間の腕のような柔軟性を備えていることがわかる。

さらにロボットに加わる力を空気圧センサーが繊細に感じ取り、執刀医の手に「力覚」を感じ取らせることができる。これにより、執刀医は手術部位にロボットがどのような力を加えているかを身体で感じながら手術を行うことが可能になる。

こうしたリバーフィールドの技術の成果は、すでに市販されている内視鏡ホルダー「EMARO」で立証済みだ。患者の身体に小さな穴を開けて行う「低侵しん襲しゅう手術」で、執刀医の目となるのは内視鏡。執刀医は手術を行う「鉗子」を操るため、従来の手術現場では助手を務める医師(スコピスト)が内視鏡を手で保持している。

しかし、術者との意思疎通がうまくいかない、手ブレで安定した映像が得られないなど、運用面での課題があった。

人間の腕のように柔らかく、ロボットとしての正確さを併せ持つEMAROは、これらの課題を解決する技術として医療現場で普及が進んでいる。リバーフィールドは2016年3月に東レエンジニアリング他から6億円を資金調達し、海外向け次世代機を18年に発売する予定だ。

「すでに画像データなどを用いた遠隔診断は実用の域に入ってきている。遠隔治療のコンセプトも近い将来、現実味を帯びてくる可能性はあると思う。日本の最先端技術を駆使した国産初の手術用ロボットを開発したい」と原口は意気込む。

原口大輔(はらぐち・だいすけ)◎1980年、佐賀県出身。2013年に東京工業大学大学院博士課程修了後、同大精密工学研究所特任助教に。14年、リバーフィールドを設立、代表取締役専務に就任。15年より代表取締役社長。

Forbes JAPAN 編集部