世界のスマホ市場において、サムスンとアップルは過去5年間に渡り不動の1位と2位をキープしてきた。「Galaxy Note7」の爆発問題や「iPhone 7」の出足不調によっても両社の地位が揺るぐことはない。一方で、トップ5の残り3スポットには大きな変動があり、今では全てを中国企業が占めている。

ファーウェイ(華為技術)は、米国市場に進出していないにも関わらず世界3位に入り、5年以内に1位になることを目指している。急成長を遂げたBBKエレクトロニクス傘下のOPPOとVivoは欧米では無名に近いが、それぞれ4位、5位で初めてトップ5入りを果たした(香港の市場調査会社、Counterpoint Technology Market Researchによる7月末のデータ)。

これら3社の中国企業が脚光を浴びる一方で、今では話題にのぼることが少なくなった、かつてのトップブランドがある。それはレノボだ。PCで世界1位のシェアを握るレノボは、スマホの分野でも2014年初めまでは中国で2位の座にあったが、わずか2年で11位まで転落してしまった。一体何が起きたのだろうか。

レノボは、2014年にモトローラをグーグルから29億1,000億ドルで買収した。ガートナーによると、当時のモトローラはモバイルの分野で世界トップクラスの技術と特許資産を保有し、ラテンアメリカとインドで大きなシェアを握っていた。

キャリア依存の販売モデルの崩壊

レノボは2005年にIBMからPC事業を買収して大成功を収めており、モトローラの買収によって今度は世界のモバイル市場で覇権を握ることが期待されていた。しかし、調査会社Canalysのアナリスト、ベン・スタントンは「レノボは買収後の統合に長い時間を要したことで、2つの大きな潮流に乗り遅れた」と分析する。

「最初のつまずきは、通信キャリア主導の端末販売からブランド自身による直接販売にシフトできなかったことだ。ライバル企業たちは、新たな販売チャンネルを構築に成功してレノボを抜き去った」とスタントンは話す。

例えば、ファーウェイは「Honor(オーナー)」シリーズの販売をオンライン限定にし、低コストで無駄のない流通体制を作り上げた。また、Oppoは中国国内に20万もの店舗網を構築して急成長を遂げた。スタントンによると、店舗網の運営や維持には多額のコストが掛かるが、顧客と長期に渡る信頼関係を築いたことで、より高額な商品の販売が可能になったという。

レノボはこうした変化に対応することなく、通信キャリアに販売を依存し続けた。しかし、IDCのシニアアナリストであるシャオハン・テイによると、2014年に通信キャリアがスマホの値引き販売を停止したことで大きな打撃を受けたという。中国政府が国営通信キャリアに対してマーケティング費用を3年間で400億元(約6,100億円)、もしくは20%削減することを課したのだ。

「電話会社による大幅な値引きがなくなると、消費者はブランド力に劣るレノボよりも他社のスマホを選ぶようになった」とテイは話す。

製品の陳腐化

レノボのもう一つの失敗は、「際立った機能を生み出せなかったことだ」とスタントンは指摘する。「この2年間でサムスンは曲がるディスプレイを、アップルは大型スクリーンのスマホを開発するなど革新的な製品を次々と生み出した。これに対し、レノボとモトローラはローエンド製品とみなされ、価格競争に巻き込まれてしまった」とスタントンは言う。

ガートナーのレポートも、レノボを「マスマーケット・ブランド」と位置づけ、消費者はデザインや機能の革新性を感じていないと分析する。同レポートが成功事例として挙げているのが、Oppoの「R9」シリーズだ。R9は急速充電機能によって中国の消費者から絶大な支持を得て、2016年上半期のリリースから3か月弱で700万台の販売を記録した。

挽回のチャンスは?

レノボにもまだ挽回のチャンスは残されている。同社は今年の夏、LGやグーグルの先例に倣い、スマホに専用モジュールを合体させることでカメラやスピーカー、バッテリーなどの機能を拡張できる新製品を発表した。「最新機種のMoto Z Playに外付けモジュールMoto Modsを装着できるようにしたことは、レノボが製品で差別化することの重要性に気が付いた証だ」とスタントンは話す。

しかし、中国のライバル企業との競争は熾烈だ。「レノボがシェアを伸ばす余地は大いにあるが、中国市場においてはOppoとVivoが強敵になるだろう。高い成長性を実現するためには、他社との厳しい競争に打ち勝たなければならない」とスタントンは話す。

John Kang