今や世界的メッセージアプリに成長したWhatsAppのCEO、ジャン・コウムは共同創業者のブライアン・アクトンが2009年の創業当時、彼のデスクに貼り付けたメモを大切に保管している。

当時、「純粋なメッセージアプリ」を目標に掲げたアクトンは、そのメモに次のような走り書きを残した。「広告無し、ゲーム無し、ギミックなんか要らない!」

そんなWhatsAppは今、競合アプリの進出を防ごうと機能の増強を開始。ライバルのスナップチャットを真似る手段に打って出た。新たなカメラ機能では写真や動画に絵文字を加えることが可能になり、きれいな自撮り写真が撮れるよう、端末前面からのフラッシュ照射も可能にした。

機能の複雑化はWhatsAppにとってリスクでもあるが、スナップチャットのコアユーザーの16〜25歳たちは、そういったギミックを好んで使用する。

フェイスブック傘下のアプリがスナップチャットを真似るのは、これが初めてではない。8月にインスタグラムはスナップチャットと全く同名の「ストーリー」機能を追加。加工した動画や写真が24時間で消える、スライドショーを作成可能にした。

必勝戦略は「ライバルの模倣」

スナップチャットの月間アクティブユーザーは1億5,000万人。インスタグラムは5億人。WhatsAppは昨年2月に10億人を突破している。

WhatsAppは写真機能の増強などに力を注がずとも、利用者数ではスナップチャットをはるかに上回る。しかし、機能の増強はスナップチャットが彼らの牙城に攻め込むことをより困難にするのだ。

調査会社グローバル・ウェブ・インデックスのフェリム・マグラスは「人口の多いブラジルや、南アメリカ諸国ではWhatsAppが強力に支持されている」と語る。「スナップチャットがこれらの地域でWhatsAppに対抗するのは非常に困難だ。とりわけ16〜25歳の年齢層ではWhatsAppが大きくリードしている」

香港やシンガポール、マレーシア、インド等のアジア諸国でも状況は同じで、イタリアやドイツ、スペイン等の欧州諸国でもスナップチャットは大きく引き離されている。

つまり、WhatsAppはスナップチャットの持ち味だった独自の機能(消えるメッセージやフィルターやストーリー)を模倣し続けるだけで「スナップチャットの追撃をかわすことが出来る」とマグラスは分析する。

スナップチャットにとって明るい要素があるとすれば、世界のスマホユーザーらは一つのSNSやチャットアプリにしがみついている訳ではないという点だ。「ユーザーらは機能ごとにアプリを使い分けている」とマグラスは言う。

スナップチャットはWhatsAppよりSNS要素が強い点もメリットだ。「既にWhatsAppの利用が浸透している国でも、ユーザーらはスナップチャットを並行して利用することも考えられるます」

それでも、しばらくの間はスナップチャットの人気機能を模倣するだけで、WhatsAppは優位性を維持可能だ。スナップチャットが今後、世界的な支持を集めるのには多大なコストがかかることは明らかだ。

Parmy Olson