梅田優祐らが2008年に創業したユーザベースは現在、企業・業界分析のための経済情報プラットフォーム「SPEEDA」と経済に特化したソーシャル経済ニュース「NewsPicks」を運営。シンガポール、香港、上海、スリランカにも拠点を置くなど海外展開を進めている。

高岡美緒が取締役を務めるマネックスベンチャーズは、マネックスグループのCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)。ユーザベースには09年に投資を行っている。

梅田:高岡さんをはじめとしたマネックスベンチャーズとの出会いは、創業2年目の09年春。「SPEEDA」を1年かけて完成させ、いよいよ次のステップへという時期でした。ただ当時は、リーマン・ショック直後という厳しい状況の下で資金調達に向けて奔走していました。我々のオフィスはまだ狭いマンションの一室でしたが、なんとか投資をしてもらいたいと綺麗な会議室を借りて、高岡さんたちとミーティングしたことを覚えています。ただ結局、オフィスの見学を希望されたので、無意味でしたが(笑)。

高岡:当時のオフィスは、スタートアップを絵に描いたような場所(笑)。それでも投資をしたのは、明確な事業コンセプトがあったから。「企業情報や金融情報を、Google検索のように、手軽に使えるようにする」というビジョンには、「金融の民主化」を目指すマネックスとしても、共感しました。個人的には、投資銀行時代に、苦労して作成していた資料が、SPEEDAを使えばワンクリックで作れるのが魅力的でしたね。

梅田:サービスの可能性を理解していただけたのも、高岡さんが投資銀行の現場を知っていたからこそ。最初の資金調達先となってくださったことで、事業を成長させられました。

高岡:とはいえ、不安な点もいくつかありました。例えば、友人関係である創業者3人が共同で経営していくことは、"教科書的"にはありえません。しかし現在の姿は、3人の取締役のバランスが絶妙なんです。起業家として秀でた梅田さん、総合商社出身で営業力のある新野良介さん、社内の雰囲気を盛り上げる熱血エンジニアの稲垣祐介さんー三者三様の持ち味を生かして、事業の舵取りをしている現状を見ると、余計な心配だったようです。

また、梅田さんは、家族との生活も大事にしている起業家。当時の起業家のイメージは「24時間仕事。遊びも豪快」でしたが、梅田さんは葉山に住んでいて、飲み会も早々に切り上げるなど、仕事とファミリーにしっかりと優先順位を付けて、両立している新しい起業家だと思います。

梅田:「仕事だけでなく、プライベートを含めたトータルの人生で幸福を追求できる企業にしよう」というのは、我が社の創業理念でもありますから。

金融業界出身の起業家が少ない中、マネックスグループの松本大さんは私にとってひとつのロールモデル。松本さんは創業時に、当時ソニー社長だった出井伸之さんに支援してもらったことをよく話されていて、そこで受け渡されたバトンがいま、私たちのところにまわってきていると感じています。

日本はロールモデルが数多く出てくると、新しい波ができる国。松本さんたちが生み出した流れを、さらに大きくしていきたいと思っています。

高岡:経済危機の時に誕生したベンチャーは、メガベンチャーになることが多いと言われますが、梅田さんたちの成功にはそんな”迫力”を感じます。今後は、「経済情報で、世界中の意思決定を支える」というビジョンを実現し、梅田さんのような次世代の起業家が成功することで、日本に”起業家のエコシステム”ができることを楽しみにしています。

梅田優祐◎ユーザベース代表取締役共同経営者。コーポレイトディレクションにて製造業、商社を中心とした全社成長・再生戦略の立案・実行支援などに従事。その後、UBS証券投資銀行本部にて事業会社の財務戦略の立案、資金調達支援などに従事。2008年ユーザベースを設立し、現在に至る。

高岡美緒◎マネックスグループ執行役員新事業企画室長、マネックスベンチャーズ取締役。1999年、英ケンブリッジ大学自然科学部物理学科卒業。証券会社勤務を経て、2009年にマネックスグループに入社し、現在に至る。主な投資先は、米shift payments、クラウドクレジット、MFSなど。

Forbes JAPAN 編集部