グーグルは10月4日、ハードウェアの開発を強化し、様々なカテゴリーで新製品を投入していく方針を明らかにした。今回発表された新製品の中でも特に注目を集めたのが人工知能スピーカー「グーグル・ホーム」とグーグル設計のスマートフォン「Pixel」だ。グーグルは事業モデルの大転換を図り、ハードウェア事業を広告やソフトウェア開発と並ぶ中核事業に育てていくことになる。

「人は、毎日の生活に欠かせない製品に対して愛着心を抱くものだ」とグーグル内に新たに設立されたハードウェア事業のバイスプレジデント、リック・オステロは話す。オステロによると、インターネット上でやりとりされる情報量がますます増えているこのタイミングだからこそ、ハードウェアとソフトウェアを一体で提供することに大きな意味があるという。

「ハードウェアとソフトウェアを同時に開発することで、グーグルアシスタントを最大限活用し、長年に渡るソフトウェア開発のノウハウを役立てることができる。モノ作りの経験があるグーグルにとってハードウェアを強化することは自然な流れであり、長期的に取組んでいくつもりだ」とオステロは話す。

音声アシスタントでアマゾンに対抗

発表された数々の製品の中でも、グーグルの事業に最も大きなインパクトをもたらすのはグーグル・ホームだ。先行してリリースされたメッセージングアプリ「Allo」はグーグルアシスタントに対応した最初のプロダクトで、公開から2週間で500万ダウンロードを記録した。

グーグル・ホームは音声で会話ができるため、Allo以上にグーグルアシスタントの利用機会が増えることが期待される。グーグル・ホームはまた、ユーチューブやパンドラ、Spotifyなどのストリーミングサービスに対応している。

グーグル・ホームは、先行するアマゾンの「Echo」に真っ向から対抗する製品だ。データ量が700億を超えるグーグルのナレッジグラフにアクセスすることができ、「OKグーグル」と呼び掛けて質問をすれば、自分でウェブ検索をしなくても、ウィキペディアなどのサイトから関連情報を抽出して必要な情報を瞬時に提供してくれる。また、グーグル・ホームはグーグルの他のデバイスと連携しており、例えばショッピングリストを作成したら、後でPixelで同じリストを参照することができる。

他にも、カレンダーの予定や交通情報、天気予報などを読み上げることも可能だ。「グーグル・ホームを使えば、大統領のように一日の予定についてブリーフィングを受けることができる」とグーグルのリシ・チャンドラは発表イベントで述べた。

グーグルアシスタントには、オンデマンドで音楽を再生するといった「ダイレクトアクション」と、ウーバーの配車やレストランを予約するといった「会話アクション」の2つの機能が存在する。

他に発表されたグーグルブランドのハードウェアには、人気製品「Chromecast」の最新モデルや、Wi-Fiルータ「OnHub 」の後継モデルなどが含まれる。新型Chromecastは、テレビに接続して簡単にビデオや音楽のストリーミングが楽しめるデバイスで、販売価格は最新のApple TVよりもはるかに低く設定されている。また、Wi-Fiルータは複数台を連携させて家の隅々までネット接続を実現することができる。


業界の大物を続々引き抜き

今回の大型製品ローンチを指揮したオステロは、4月にグーグルに参画するまでモトローラに2年勤務していた。この間、モトローラはグーグルの傘下にあった時期があり、オステロにとっては古巣に復帰したようなものだ。製品開発とマーケティングの分野で豊富な経験を持つ彼は、ハードウェア開発の強化を図るグーグルにとって貴重な人材だ。

グーグルは今週初めに、元アマゾン幹部のデビッド・フォスターがオステロのチームに加わることを明らかにした。ハードウェア業界の大物を立て続けに採用していることからも、グーグルの本気度をうかがい知ることができる。

しかし、グーグルのハードウェア開発の歴史を振り返ると、失敗に終わった製品も少なくない。良い例がスマートフォンの「ネクサス」だ。ネクサスはアップルやサムスンよりも数百ドルも安く価格を設定しながら販売は振るわなかった。今回新たに「Pixel」と「Pixel XL」をリリースしたことにより、ネクサスブランドは廃止するという。Pixelを製造するのはHTCで、価格は649ドルとiPhoneやギャラクシーシリーズに近い価格設定となっている。Pixelは、暗所での撮影能力や手ぶれ防止機能など、高いカメラ性能が特徴となっている。

グーグルは、今回ローンチしたほぼ全ての製品で、先行する競合メーカーに正面から勝負を挑む。例えば、VRヘッドセット「Daydream View」はフェイスブック傘下のオキュラスと、Pixelはアップルやサムスンとの真っ向勝負に挑むことになる。

Daydream Viewの発売開始は11月で、価格は79ドルとなっている。グーグル・ホームは1か月後に店頭に並ぶ予定で、価格は129ドルとなっている。

Matt Drange