中国に次ぐ世界第2位の電気自動車(EV)市場である西欧で、バッテリー電気自動車(BEV)の販売台数が4か月連続で減少している。今年8月の自動車全体の販売台数は前年比8%増加した一方で、BEVは同1.2%減少した。自動車業界の専門誌、英「AIDニュースレター」が報じた。

10月6日に発行された最新のニュースレターによると、EU加盟国の一部ではEVの購入を推進するための施策が講じられているものの、「西欧での市場シェアは、昨年の低い水準から変わっていない」。さらに懸念すべき点は、これまでEVの人気が高かったノルウェーで、消費者が急速にBEV離れを起こしているとみられることだ。

AIDの編集者、マティアス・シュミットはこれについて、同地域では全体的にプラグインハイブリッド車(PHEV)への注目度が急激に高まっており、それがBEVの人気低下につながっているもようだと指摘する。

一方、フランスではディーゼル車の所有者がEVに乗り換える場合、政府が10,000ユーロ(約114万4,000円)の「スーパーボーナス」を支給している。同国のこうした奨励策の効果を考慮しなければ、西欧全体でみた場合のEV(PHEVを除く)市場は、一層弱含みの状況となっていただろう。

AIDは、仏ルノー・日産アライアンスのEV「ゾエ」の国内市場での好調な結果がなければ、西欧全体での販売台数は今年1〜8月、前年比で−6.1%、8月には同−6.7%を記録していたと推計している。



テスラの動向も気になるところだろう。テスラの販売台数も、同期間中に21.4%減少した。ただ、同社は8月にSUV「モデルX」の販売を開始。ノルウェーでは同月だけで、前年比53.6%増を記録したと伝えられている。

各社を救うのはPHEV

ディーゼル車の人気が落ちている中で、EU域内の自動車メーカーは排ガス規制が2020年に厳格化されるのを前に、主力をEVに切り替える必要に迫られている。


シュミットによれば、自動車メーカー各社は矛盾を抱えている。消費者が各メーカーのモデルについて、多くが排出量の面で問題があると考えているにもかかわらず、EVの選択肢が少なすぎるという点だ。さらに、EVの価格は高すぎて、消費者が購入を検討するには至らない状況だ。

この問題を解決し、二酸化炭素(CO2)排出量を削減するための一つの方法が、BMWやダイムラーがすでに開始しているようなEVのカーシェアリングだ。この事業に投入する台数を増やすことで、各社は販売台数を引き上げることができる。BMWはカーシェアリング・サービス「ドライブナウ(DriveNow)」に使用する車のうち、20%にEVを投入している。また、ダイムラーの「car2go」は、EVによるカーシェアリング・サービスだ。

シュミットはまた、最終的に各社を欧州連合(EU)規制当局の多額の罰金から救うことになるのは、EVとガソリン車の機能を兼ね備えたPHEVだと見込んでいる。「PHEVは、排出規制に最も問題があるモデルの使用を削減することにおいて、大きな役割を果たしている」という。

AIDニュースレターは、自動車メーカー各社の幹部や銀行家、アナリストらに読者が多いことで知られる。購読料は年間710ドル(約7万3,450円)程度と高めだが、それに見合った情報を提供するといわれている。

Bertel Schmitt