サムスンはGalaxy Note 7の販売中止を正式に決定した。この事態は同社の信頼を失墜させ、回収にかかるコストも莫大なものになるだろう。一方でiPhone 7シリーズを立ち上げたばかりのアップルにとっては、その優位性をさらに強固にする、またとないチャンスだ。

Note 7の失敗はサムスンに致命的ダメージを与えた。同社が直面する課題は、今後数週間にわたる非難の嵐を耐え抜き、4か月後と噂されるGalaxy S8の立ち上げに全力を注ぐことだ。さらに、最もダメージを被ったブランドが「Note」なのか「ギャラクシー」なのか、それとも「サムスン」自身なのかを見極める必要がある。その結果が同社のこの先の業績を左右する。

サムスンが抱いた2016年のスマホ市場制覇への夢が崩れ去った今、アップルはiPhone 7でその需要をすくいとろうとしている。彼らはこの事態が発生する以前から、Note 7に幻滅したユーザーを奪う戦略を練っていた。

アップルが直接、Note 7ユーザーに訴えかけることはないにしろ、アンドロイド端末からの乗り換えユーザーを迎える準備は整っている。乗り換えをスムーズに行なうためのアプリ「Move to iOS」は絶好の避難用パラシュートと言える。

iPhone 10周年を勝利で飾るアップル

昨年、アップルのティム・クックCEOはiPhone購入者の3割がアンドロイドからの乗り換え組だと発言していた。最大の競合が新端末を投入するまでの間に、アップルはそのメリットを最大化するだろう。アップルはNote 7のリコール問題が深刻になりつつあった9月上旬、既に部品の発注を10%増加させていた。これは非常に興味深い偶然だ。

グーグルやファーウェイ等のメーカーも、Noteユーザーの争奪戦に参加するだろうが、アナリストらはアップルが年内に800万台の売上を増加させると予測する。

この見立てが正しいとするならば、2016年のiPhoneの売上は2015年と同等の水準に達することになる。今年の第1四半期にiPhoneの売上は減速したが、その流れが逆転するのだ。時代の潮流は再びアップルに向かい、ティム・クックは来年の記念すべきiPhone十周年を大勝利で飾ることになるのかもしれない。

Ewan Spence