米銀大手ウェルズ・ファーゴは10月12日、ジョン・スタンフ最高経営責任者(CEO)が同日付で辞任すると発表した。退職金は支払わないという。

追い詰められ、辞任に至ったスタンフは同日の発表文の中で、「ウェルズ・ファーゴの今後については、非常に楽観的に考えている」と述べ、後を引き継ぐ幹部たちへの信頼感を示した。スタンフは同行に34年間勤務。9年前にCEOに就任していた。

一方、新たにCEOに就任するティム・スローン社長兼最高執行責任者(COO)は同日、「私にとって、当面の最優先課題は当行に対する信頼の回復だ。これは途方もなく大きな責任だ」と述べている。同行の取締役会長には、筆頭取締役のスティーブン・サンガーが就く。

退職金に加え、スタンフには補足的キャッシュ・バランス・プラン(企業年金制度)が用意されている。ウェルズ・ファーゴが今年3月に株主に送付した委任状説明書によると、この制度からスタンフが受け取る年金の受給額は約2,400万ドル。ただし、退職後6か月間は、支払いを開始することはないという。

責任はトップが取るもの

ウェルズ・ファーゴは9月8日、同行のリテール(個人向け)業務の従業員らが顧客に通知せず、許可を得ることもなく口座の開設やクレジットカードの作成を申請していた問題について、規制当局に1億8,500万ドル(約192億円)の制裁金を支払うことで合意したと発表。スタンフはそれ以来、厳しい批判にさらされていた。

スタンフは同月27日までに、4,100万ドル相当の株式報酬を返上することに同意。取締役会がこの問題に関する独自調査を終了するまで、月給も返上する考えであることを明らかにしていた。スタンフが同月29日行われた下院金融委員会の公聴会で証言するのを前に、批判を和らげるために先手を取った形だったが、これらの発表は遅すぎた上に、内容も不十分だった。

米資産運用会社が運用するスミード・バリュー・ファンド(Smead Value Fund)の最高投資責任者ビル・スミードは、スタンフが問題の行為に関与した従業員およそ5,300人に責任があるとの見解を示し、解雇したことに言及。「責任は常にリーダーが取るものだ」と指摘していた。

元従業員らはウェルズ・ファーゴから非現実的な売上目標を設定され、それを達成するようにとの理不尽な圧力を受けていたという。一部の元従業員は同行に対し、26億ドルの支払いを求める集団訴訟を起こした。同行は、来年1月1日付でこうした目標の設定を廃止する方針を発表している。

問題の発覚以降、下落傾向にあるウェルズ・ファーゴ株は、スタンフ辞任の発表を受け、12日の時間外取引で終値比2%高をつけた。

Maggie McGrath