アップルのスティーブ・ジョブズ氏に健康不安説、企業の公表責任は――フィナンシャル・タイムズ
(フィナンシャル・タイムズ 2008年7月23日初出 翻訳gooニュース) サンフランシスコ=ケビン・アリソン
スティーブ・ジョブズが先月、アップル社の世界開発者会議で基調講演のために登壇したとき、やせ細ってやつれたその様子に心ざわめいた人は多いだろう。アップル創設者のジョブズ氏が2004年にすい臓がんと戦ったことを知っている人は、複雑な思いにかられたに違いない。
この会議の後に飛び交ったジョブズ氏の「がん再発説」を、アップル社は急いで火消しして回り、自分たちの最高経営者はただ単に「ありきたりな」風邪を引いているだけだと説明した。
しかし今週になって、ジョブズ氏の健康不安説が再浮上。アップル社の四半期ごとの電話会議で、ウォール街のアナリストが聞きにくそうにではあったが、ジョブズ氏の体調はどうなのかと質問したのだ。
このときのアップル側の回答は、53歳のジョブズ氏が「アップルを去る予定はない」、そしてジョブズ氏の健康状態は「プライベートな事柄だ」というばかりで、事態をさらに不透明にしただけだった。
この電話会議の後、ジョブズ氏の健康不安説にきちんと答えようとしないアップルの姿勢は、同社の株価判断に影響するという意見が、アナリストたちから出された。
パシフィック・クレスト証券のアナリスト、アンドリュー・ハーグリーブズ氏は「アップルの反応から私は、『スティーブ・ジョブズはまたガンにかかった』という感触を得た」と話す。
投資家の立場からすると、過去10年にわたるアップル復活の最大功労者だった人物の健康状態は、「プライベートな事柄」などではあり得ない。ハーグリーブズ氏はこう言う。「自分の健康はあくまでもプライベートな問題ということにしておきたいのなら、ジョブズ氏は株式を非公開にすべきだ」
ほかのアナリストたちも口々に心配している。アップル社の発表はほとんど何も明らかにしていないが、その数週間前の「ふつうの風邪」発表とは意味合いが違うものだと、多くの投資家が感じている。シティグループのアナリスト、リチャード・ガードナー氏はそう言う。
「(アップルが)この件についてはっきりと説明したがらない以上、当面は株価に影を落とす材料となるだろう」 ガードナー氏は市況分析でこう書いている。
しかし投資家たちのこうした懸念とは裏腹に、アップル社の広報担当は23日の時点でも、ジョブズ氏の健康状態について新情報を何も提供してくれなかった。ジョブズ氏の健康状態は「プライベートな事柄だ」と繰り返すだけだった。
「それが会社としての立場です。噂や推測についてコメントはしません」とアップル広報。同社は以前にも、ジョブズ氏の健康状態を開示するかどうかで外部ともめた経験がある。同社は2004年に、ジョブズ氏がガンと戦っているとだけ発表した。しかし翌2005年になって初めてジョブズ氏自身がスタンフォード大学での講演で、事態はもっと深刻だったことを認めたのだ。当時は医師団から自分のガンは治療不能で余命半年と宣告されていたと、ジョブズ氏自身が明らかにしたのだ。ジョブズ氏のガンが珍しい、治療可能なタイプだと判明したのは、後になってのことだった。
企業は昔から、社長や重役たちの健康状態についてどのタイミングで発表すべきか、あれこれ悩んできた。しかしアップルのジョブズ氏ほど、会社の将来に大きな役割を演じるだろう重役は、滅多にいない。
「ウォーレン・バフェットが大腸内視鏡検査を受けたときは、検査を受けたんだとみんなに発表して、その検査結果も全部公表したものだ。アップルはそれと比べると、情報開示に消極的だ」 アップル社の株主でもある投資ファンド「ウオールマン・リミテッド・パートナーシップ」のスティーブ・ウォールマン氏はこう言う。
アップルが21日に来年の利益幅は減少する見通しと発表したのを受けて、同社株価は急落した。ジョブズ氏の健康に対する懸念も、この株価の動きに影響しているのではないかというのが、一部のアナリストの見方だ。
スティーブ・ジョブズが先月、アップル社の世界開発者会議で基調講演のために登壇したとき、やせ細ってやつれたその様子に心ざわめいた人は多いだろう。アップル創設者のジョブズ氏が2004年にすい臓がんと戦ったことを知っている人は、複雑な思いにかられたに違いない。
この会議の後に飛び交ったジョブズ氏の「がん再発説」を、アップル社は急いで火消しして回り、自分たちの最高経営者はただ単に「ありきたりな」風邪を引いているだけだと説明した。
しかし今週になって、ジョブズ氏の健康不安説が再浮上。アップル社の四半期ごとの電話会議で、ウォール街のアナリストが聞きにくそうにではあったが、ジョブズ氏の体調はどうなのかと質問したのだ。
このときのアップル側の回答は、53歳のジョブズ氏が「アップルを去る予定はない」、そしてジョブズ氏の健康状態は「プライベートな事柄だ」というばかりで、事態をさらに不透明にしただけだった。
この電話会議の後、ジョブズ氏の健康不安説にきちんと答えようとしないアップルの姿勢は、同社の株価判断に影響するという意見が、アナリストたちから出された。
パシフィック・クレスト証券のアナリスト、アンドリュー・ハーグリーブズ氏は「アップルの反応から私は、『スティーブ・ジョブズはまたガンにかかった』という感触を得た」と話す。
投資家の立場からすると、過去10年にわたるアップル復活の最大功労者だった人物の健康状態は、「プライベートな事柄」などではあり得ない。ハーグリーブズ氏はこう言う。「自分の健康はあくまでもプライベートな問題ということにしておきたいのなら、ジョブズ氏は株式を非公開にすべきだ」
ほかのアナリストたちも口々に心配している。アップル社の発表はほとんど何も明らかにしていないが、その数週間前の「ふつうの風邪」発表とは意味合いが違うものだと、多くの投資家が感じている。シティグループのアナリスト、リチャード・ガードナー氏はそう言う。
「(アップルが)この件についてはっきりと説明したがらない以上、当面は株価に影を落とす材料となるだろう」 ガードナー氏は市況分析でこう書いている。
しかし投資家たちのこうした懸念とは裏腹に、アップル社の広報担当は23日の時点でも、ジョブズ氏の健康状態について新情報を何も提供してくれなかった。ジョブズ氏の健康状態は「プライベートな事柄だ」と繰り返すだけだった。
「それが会社としての立場です。噂や推測についてコメントはしません」とアップル広報。同社は以前にも、ジョブズ氏の健康状態を開示するかどうかで外部ともめた経験がある。同社は2004年に、ジョブズ氏がガンと戦っているとだけ発表した。しかし翌2005年になって初めてジョブズ氏自身がスタンフォード大学での講演で、事態はもっと深刻だったことを認めたのだ。当時は医師団から自分のガンは治療不能で余命半年と宣告されていたと、ジョブズ氏自身が明らかにしたのだ。ジョブズ氏のガンが珍しい、治療可能なタイプだと判明したのは、後になってのことだった。
企業は昔から、社長や重役たちの健康状態についてどのタイミングで発表すべきか、あれこれ悩んできた。しかしアップルのジョブズ氏ほど、会社の将来に大きな役割を演じるだろう重役は、滅多にいない。
「ウォーレン・バフェットが大腸内視鏡検査を受けたときは、検査を受けたんだとみんなに発表して、その検査結果も全部公表したものだ。アップルはそれと比べると、情報開示に消極的だ」 アップル社の株主でもある投資ファンド「ウオールマン・リミテッド・パートナーシップ」のスティーブ・ウォールマン氏はこう言う。
アップルが21日に来年の利益幅は減少する見通しと発表したのを受けて、同社株価は急落した。ジョブズ氏の健康に対する懸念も、この株価の動きに影響しているのではないかというのが、一部のアナリストの見方だ。
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