米ラスベガスで開催された家電見本市「CES 2017」は、自動車メーカーの本格参入が話題になった一方、久しぶりに最新テレビの動向に注目が集まり、「新テレビ戦争」の様相となった。夕刊フジで「まだまだスゴい家電の世界」(火曜)を連載中のジャーナリスト、大河原克行氏がリポートする。

 50周年の節目を迎えた今年のCESには、日産自動車が初出展し、トヨタとホンダを含めた日本の大手3社が初めてそろい踏みとなった。トヨタは、人工知能(AI)を活用し、人と対話するクルマ「コンセプト−愛i」を発表。ホンダもAI技術「HANA」を搭載した自動運転車のコンセプトカー「Honda Neu V」を発表するなど、近未来のクルマの姿を示してみせた。

 基調講演に登壇した日産自動車のカルロス・ゴーン社長は、「CESは、まるでモーターショーのようになってきた」として、今後の自動車業界の方向性を示す場として重視していく姿勢を強調した。

 家電メーカーも自動車業界との連携を深める展示をする一方で、その進出に対抗するように積極的に家電の新製品を発表してみせた。

 ソニーは、有機ELテレビ「A1E」を発表。7年ぶりに再参入することを明らかにした。独自の高画質エンジン「X1 Extreme」の搭載と、画面から音を出す新構造を採用。平井一夫社長は、「ソニーがコンシューマエレクトロニクスの領域に正面から取り組んでいることを、CESで示した」と述べた。

 パナソニックも有機ELテレビの新製品「EZ−1000」を発表し、「プラズマテレビを上回る画質を実現したものになる」と自信をみせる。同社のオーディオブランド「テクニクス」の技術を活用したスピーカーも搭載し、音にもこだわっている。

 一方、韓国のLG電子は、薄さ2・57ミリの有機ELテレビ「LG SIGNATURE OLED W」を発表。壁に貼って利用するという新たな提案を行い、来場者を驚かせた。サムスン電子は、量子ドット技術を活用した「QLED」採用の液晶テレビ「QLED TV」を発表。「有機ELテレビよりも高画質である」と訴えてみせた。

 こうした家電メーカー各社が、テレビの新製品でしのぎを削るのは、数年前のCESを彷彿(ほうふつ)させるものだ。会場を視察したパナソニックの津賀一宏社長は、「他社は、テレビを中心としたコンシューマエレクトロニクスの世界にもう一度戻ろうというトーンだった」と指摘。だが、自らについては、BtoB(企業間取引)中心の展示としていることを強調する意味で、「パナソニックは『先祖返り』をしていない」と表現した。

 家電と自動車の両業界の結びつきがより強まる一方で、イベントの主導権争いを巡る駆け引きが始まっているとの側面が感じられた点は興味深い。