8日かかる参勤交代を5日でせよ、と幕府から無茶ぶりされた貧乏藩が奇策で切り抜けるあの痛快な時代劇が帰ってきた。参勤(行き)があれば、交代(帰り)もあるというわけで、国元への帰途が描かれる映画「超高速!参勤交代 リターンズ」(公開中)は、前作「超高速!参勤交代」にも増して忙しい。

 磐城国(福島県いわき市)の湯長谷(ゆながや)藩主(佐々木蔵之介)ら一行は、江戸の参勤を終えほっと一息ついたのもつかの間。慕われているはずの故郷の民が突然一揆を起こし、目付より早く2日間で戻らなければ藩がお取りつぶしに遭う。陰には前作で失脚させられた悪役老中(陣内孝則)の陰謀があった。

 映画は走ってばかりではない。むしろチャンバラが出色だ。剣に覚えの強敵が行く手を阻む。迎え撃つ湯長谷藩の“田舎侍”たちが格好良い。京都出身の佐々木が、巧みな福島弁で啖呵を切る。

 時代劇のオイシイところを詰め込んだ玉手箱のような展開で、「七人の侍」「大岡越前」「子連れ狼」「柳生一族の陰謀」「必殺仕事人」といった名作が次々と頭に浮かんだ。違和感なく取り込まれているのがスゴイ。

 城戸賞受賞の土橋章宏、「釣りバカ日誌」の本木克英監督による、新たな松竹ヒットの方程式? こうなったら、シリーズ化を期待。そして、スカッとする勧善懲悪とケレン味たっぷりの展開は歌舞伎にもぴったりの題材ではないか。映画で徳川吉宗を演じた市川猿之助を中心とした座組に期待したい。 (中本裕己)